国内最高峰のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」が、5月21日(日)にスタートする。8日間のステージレースの見どころ、コースや出場チームなどを紹介しよう。



国内最高峰にして最大規模のステージレースとなったツアー・オブ・ジャパン国内最高峰にして最大規模のステージレースとなったツアー・オブ・ジャパン photo:Hideaki TAKAGI
UCIアジアツアー2.1、全8ステージ・743.75kmと、国内最高峰にして最大規模のステージレースとなったツアー・オブ・ジャパン。20周年となる今年の最大のトピックは、大会初の冠スポンサーにベアリングメーカーのNTN株式会社が就く事だ。これに伴い、大会名は「NTN Presents 第20回ツアー・オブ・ジャパン」となる。

昨年は伊勢志摩サミットのため開催時期が5月と6月にまたがったが、今年は5月下旬の本来の開催時期に戻る。また、昨年から休息日なしの8日間連続となっているが、期間中にコンディションを落とさずレースに臨めると好意的に受け取る選手は多い。5日間開催が基本のUCI2.1クラスのステージレースにあって、8日間のツアー・オブ・ジャパンは世界的に珍しい存在だ。

細かい変更や順序の入れ替わりはあるものの、各ステージのコースと距離は昨年同様だ。改めて紹介していこう。



5月21日(日) 堺ステージ 2.65km 個人タイムトライアル

ツアー・オブ・ジャパン出場選手による堺国際クリテリウムは午前10時50分スタートツアー・オブ・ジャパン出場選手による堺国際クリテリウムは午前10時50分スタート photo:Hideaki TAKAGI
昨年の堺ステージはアンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ アイソウェイスポーツ)が優勝昨年の堺ステージはアンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ アイソウェイスポーツ)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI第1ステージは、日本最大の古墳「仁徳天皇陵」前をスタート・ゴールとする1周2.65kmの個人タイムトライアル。ほぼ平坦なコースだが、減速と再加速が必要な3つのコーナーと、自転車博物館前から最終コーナーにかけての道幅が狭くテクニカルなコーナーが連続する部分の走り方がタイムに影響してくる。コースレコードは2014年大会でウィリアム・クラーク(ドラパック)が出した3分14秒09。天候と路面状況にもよるが、昨年と一昨年の優勝タイムが3分19秒台なので、ドライ路面なら3分20秒を切る事がステージ優勝の条件となりそうだ。

堺ステージのスタートは午後からだが、午前中はツアー・オブ・ジャパン出場選手による「堺国際クリテリウム」と、JBCF堺クリテリウムも行われる。1日でクリテリウムとタイムトライアルの2種のレースを観戦できるお得なステージでもある。

5月22日(月) 京都ステージ 105km

昨年初開催の京都ステージは、月曜日開催にも関わらず5万人の観客が集まった昨年初開催の京都ステージは、月曜日開催にも関わらず5万人の観客が集まった photo:Satoru.Kato
道幅が急に狭くなる部分もある京都ステージの登り区間道幅が急に狭くなる部分もある京都ステージの登り区間 photo:Satoru.Kato第2ステージは昨年から加わった京都ステージ。普賢寺ふれあいの駅をパレードスタートして同志社大学のキャンパス内を通り、京都市の南にある京田辺市と精華町にまたがる1周16.8kmの周回コースを6周する。周回コースは、曲がりくねった上に道幅が急激に変化する登りと、テクニカルな下りの組み合わせ。昨年は総合優勝争いに影響しそうなレース展開が期待されたが、最終周回に逃げは全て吸収されて集団ゴールでの勝負となった。ロードレース初日でもある事から、各チームが出方を探り合う展開となるか。

観戦ポイントはゴール地点となるけいはんなプラザから山岳ポイントまでの登り区間。その後の下りは立ち入り禁止となっている。登り区間でもチームカーが通るのもギリギリな道幅もあるので、コース沿いでの観戦は注意が必要だ。

5月23日(火) いなべステージ 127km

農業の盛んないなべ市 水田地帯を行く集団農業の盛んないなべ市 水田地帯を行く集団 photo:Hideaki TAKAGI
17%の激坂区間を行く集団17%の激坂区間を行く集団 photo:Satoru.Kato第3ステージは三重県のいなべ市。昨年は伊勢志摩サミットのため第4ステージに設定されていたが、今年は本来の順番となる。日本では数少ないナローゲージの三岐鉄道北勢線の阿下喜駅前をパレードスタートし、14.8kmの周回コースを8周する。山岳ポイントに向う登り区間は道幅が狭く、最大勾配17%を誇る(余談だが、グーグルマップで見ると「激坂区間」と表記されている)。選手の息づかいを間近に感じられる絶好の観戦ポイントだ。

また、今年はゴール地点のいなべ市梅林公園へのルートと公園内のコースレイアウトが変更になり、残り1kmからは「いなベルグ」と名付けられた道幅の狭い急勾配区間が設定された。登りゴールでタイム差がつく事が予想され、大会前半最初の山場となる事が期待される。

5月24日(水) 美濃ステージ 139.4km

重要伝統的建造物群保存地区に指定される「うだつの上がる町並み」重要伝統的建造物群保存地区に指定される「うだつの上がる町並み」 photo:Hideaki TAKAGI
長良川沿いの周回コース長良川沿いの周回コース photo:Hideaki TAKAGI第4ステージは岐阜県美濃市。重要伝統的建造物群保存地区に指定される「うだつの上がる町並み」をパレードスタートし、21.3kmの周回コースを6周する。登りは1カ所のみで、長良川沿いに行く平坦基調のコース設定。逃げが決まりづらく集団ゴールとなる事が多いものの、過去には少人数の逃げきった事もある。追走する集団の意思がまとまらなければ「まさか」の展開もあり得る。

ゴール地点は長い直線なので、晴れていればかげろうの向こうにスプリント勝負が始まっていく様が見られるだろう。

5月24日(木) 南信州ステージ 123.6km

コース沿いから飯田の街並みが一望できるコース沿いから飯田の街並みが一望できる photo:Hideaki TAKAGI
南信州ステージ名物TOJコーナー南信州ステージ名物TOJコーナー photo:Satoru.Kato第5ステージは長野県飯田市。飯田駅前をパレードスタートし、12.2kmの周回コースを10周。最後は周回コースを外れて飯田市松尾総合運動場前にゴールする。毎年このステージで総合優勝争いがおよそ絞られる。昨年はメイン集団が割れて40人ほどの集団でのスプリント勝負となったが、この中に総合優勝を狙う選手のほとんどが含まれていた事からも、重要なステージだ。

南信州ステージ名物と言えば、下りヘアピンカーブの「TOJコーナー」ではあるが、そこかしこでバーベキューをしながらの観戦もこのステージならではの風景。現地観戦の際は、山岳ポイント直後の「焼肉コーナー」に足を運んでみよう。

5月25日(金) 富士山ステージ 11.4km ヒルクライム

富士山五合目へ向けてスタート富士山五合目へ向けてスタート photo:Hideaki TAKAGI
昨年の富士山ステージで歴代2位のタイムで優勝したオスカル・プジョル(チーム右京)昨年の富士山ステージで歴代2位のタイムで優勝したオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI第6ステージは、富士山のふじあざみラインを須走口5合目までひたすら登り続けるヒルクライムステージ。コースレコードは2015年大会でラヒーム・エマミ(ピシュガマン・ジャイアント:ドーピング違反により資格停止中)が出した38分27秒。昨年は歴代2位の38分48秒を記録したオスカル・プジョル(チーム右京)が優勝してリーダージャージを獲得。2位以下の総合順位も大きく入れ替わったステージとなった。今年も40分を切るタイムでの争いになると予想され、ここで上位に入る事が総合優勝争いで優位に立つのは間違い無い。

ゴールでの観戦には「道の駅すばしり」からシャトルバスが運行される。バスはスタート前に2台だけ運行されるが、乗車は先着順となるのでご注意を。下山のバスはレース終了後に運行される。

5月26日(土) 伊豆ステージ 122km

総合優勝争い最後のチャンスとなる伊豆ステージ総合優勝争い最後のチャンスとなる伊豆ステージ photo:Makoto.AYANO
日本競輪学校のトラックを横目に走るメイン集団日本競輪学校のトラックを横目に走るメイン集団 photo:Makoto.AYANO総合優勝争いをする上で最後の勝負所となる伊豆ステージ。修善寺の日本サイクルスポーツセンター5kmサーキットに施設内道路を組み合わせた1周12.2kmのコースを10周する。「登りと下りしかない」と表現されるアップダウンが幾度も繰り返されるハードなコース。逃げも決まりやすく、最終コーナーから登りになる事からタイム差がつくゴールとなる。

実質的に総合優勝争い最後のチャンスとなるステージだが、逆転劇を起こすのは非常に難しい。前日の富士山ステージで2分以上の差がついてしまうと、リーダージャージを守る側が有利と言えるだろう。

5月27日(日) 東京ステージ 112.7km

最終日のスタートは日比谷シティ前最終日のスタートは日比谷シティ前 photo:Hideaki TAKAGI
大井埠頭の周回コースを14周する大井埠頭の周回コースを14周する photo:Makoto.AYANO最終ステージは、東京の中心部・日比谷シティ前をパレードスタートして大井埠頭へ。7kmの周回コースを14周してフィナーレを迎える。ポイント賞争いの最終ステージとなるため、中間スプリント争いを絡めた各チームの戦略が見物。ポイントリーダーが自らポイントを穫りに行くのか、あるいは関係のない少人数の逃げを行かせてライバルを封じ込めるか。それによってレース展開も大きく変わるだろう。

平坦コースにも関わらず逃げ切りが決まる事もあるのが東京ステージ。昨年は小集団が逃げ切り、ポイント賞争いはメイン集団のゴール着順で逆転が起きている。2013年の西谷泰治(愛三工業レーシング)以来となる日本人選手の東京ステージ優勝も期待したいところだ。



出場チーム・選手

昨年総合優勝のオスカル・プジョル(チーム右京)昨年総合優勝のオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Satoru.Kato
出場チームは、海外8チーム、国内8チームの計16チーム。1チーム6名で構成される。

チーム右京は、ゼッケン「1」をつける昨年覇者のオスカル・プジョル、ツール・ド・台湾優勝のベンジャミ・プラデス、ツール・ド・ロンボク優勝のネイサン・アールら、シーズン序盤から好調な選手を揃えて連覇を目指す。今年これまでのレース結果を見る限り、今大会優勝の最有力候補と言えよう。

今大会唯一のUCIワールドチーム、バーレーン・メリダは、20代前半の若手選手を中心に構成。台湾のフェン・チュン・カイや中国のワン・メイユィンらアジア系選手の名前がある一方、新城幸也の名前が無いのは残念なところだ。

昨年の伊豆ステージで優勝した新城幸也(バーレーン・メリダ)は残念ながら出場せず昨年の伊豆ステージで優勝した新城幸也(バーレーン・メリダ)は残念ながら出場せず photo:Makoto.AYANOツール・ド・ランカウィでアジアンリーダージャージを着る中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)ツール・ド・ランカウィでアジアンリーダージャージを着る中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:SonokoTANAKA


第1回ジャパンカップ覇者のヘンドリック・レダン監督がユナイテッドヘルスケアを率いる第1回ジャパンカップ覇者のヘンドリック・レダン監督がユナイテッドヘルスケアを率いる photo:Hideaki TAKAGIタブリーズ・シャハルダリは今年も台風の目となるかタブリーズ・シャハルダリは今年も台風の目となるか photo:Makoto.AYANO


プロコンチネンタルチームのNIPPOヴィーニファンティーニは、5月初旬に行われたツール・ド・アゼルバイジャン(UCIヨーロッパツアー2.1)で総合9位に入る活躍を見せた中根英登と、伊藤雅和、窪木一茂ら好調な日本人選手3人を揃える(主催者発表の暫定リストでは内間康平となっているが、17日のチーム発表では窪木一茂に変わっている)。チーム右京の対抗馬となるか。

もうひとつのプロコンチネンタルチーム、アメリカのユナイテッドヘルスケアは、昨年に続き出場。今年も1992年の第1回ジャパンカップの覇者ヘンドリック・ルダンが監督として率いる。

アジアツアー2位のタブリーズ・シャハルダリからは、2014年と2015年に連覇し、昨年は総合3位に入ったミルサマ・ポルセイェディゴラコールが出場。チームは昨年ほどの結果は出していないようだが、他チームから警戒される対象となるだろう。今年も後半のステージで攻勢に出てくるか。

3月のツール・ド・とちぎでベンジャミン・ヒルが優勝したアタッキ・チーム・グストも昨年に続いての出場。ヒルは出場しないものの、ヒルを強力にアシストしたティモシー・ガイ(オーストラリア)が出場。ポーランドのマーティン・ラヴリッチは今大会最年少18歳での出場となる。

オーストラリアのアイソウェイ・スポーツ・スイスウェルネスは2012年から6年連続出場。昨年の堺と美濃で優勝しているアンソニー・ジャコッポ、アタッキ・チームグストから移籍したキャメロン・ベイリーら、オーストラリア人選手で固める。

ツール・ド・とちぎ第2ステージで優勝したマラルエルデ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム)ツール・ド・とちぎ第2ステージで優勝したマラルエルデ・バトムンフ(トレンガヌサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato昨年ステージ2勝のアンソニー・ジャコッポ(アイソウェイ・スポーツ・スイスウェルネス)昨年ステージ2勝のアンソニー・ジャコッポ(アイソウェイ・スポーツ・スイスウェルネス) photo:Satoru.Kato


昨年総合2位のマルコス・ガルシア(キナンサイクリング)昨年総合2位のマルコス・ガルシア(キナンサイクリング) photo:Hideaki TAKAGIツール・ド・とちぎ新人賞の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)ツール・ド・とちぎ新人賞の岡篤志(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru.Kato


マレーシアのトレンガヌ・サイクリングチームも日本ではお馴染み。ツール・ド・とちぎ第2ステージで優勝したマラルエルデ・バトムンフ(モンゴル)、アジアツアーで活躍するダディ・スルヤディ(マレーシア)など、実力ある選手を揃えてくる。

初出場となるドイツのチーム・ダウナー・D&DQ・アーコンは、今年からUCIコンチネンタルチーム登録をする新興チーム。ポップなデザインと色使いのジャージが特徴だ。若手と中堅の選手で構成しているがダークホース的存在となるか。

キナンサイクリングチームは、昨年総合2位のマルコス・ガルシアをエースナンバーに据え、山本元喜ら好調なアシスト陣を揃える。メンバーの力が揃っており、個人総合も団体総合も狙える構成だ。

宇都宮ブリッツェンは、エース増田成幸を外した布陣。ツール・ド・とちぎで総合3位の鈴木譲と、新人賞の岡篤志の2人を軸に展開すると思われる。特に今年加入した岡は随所で強さを見せており、活躍が期待される。

石橋学(ブリヂストンアンカー)が独走力を見せるか石橋学(ブリヂストンアンカー)が独走力を見せるか photo:Satoru.Kato群馬CSCロードではレース功者ぶりを見せた土井雪広(マトリックス・パワータグ)群馬CSCロードではレース功者ぶりを見せた土井雪広(マトリックス・パワータグ) photo:Satoru.Kato


シマノレーシングのキャプテン入部正太朗シマノレーシングのキャプテン入部正太朗 photo:Satoru.Katoアジア選手権U23ロード優勝の岡本隼は愛三工業レーシングチームから出場するアジア選手権U23ロード優勝の岡本隼は愛三工業レーシングチームから出場する photo:Kenji NAKAMURA/JCF


TTとロード2人の全日本チャンピオンを擁するブリヂストンアンカーは、鈴木龍や石橋学ら力ある若手選手にも期待。ツール・ド・とちぎで見せた石橋のロングエスケープが見られるか。

Jプロツアーのリーダーチームでもあるマトリックス・パワータグは、ホセ・ヴィセンテ、佐野淳哉、土井雪広と、誰でも勝負できるメンバー構成。レース後の安原監督のトークが止まらなくなる事を期待したいところ。

平均年齢23歳という若いメンバーで臨むシマノレーシング。新婚のキャプテン・入部正太朗をはじめ、湊諒や水谷翔らアジアツアーなどで好調の選手を揃える。

愛三工業レーシングは、4月のツアー・オブ・タイで総合10位に入ったキャプテンの小森亮平、アジア選手権U23ロードチャンピオンで日本大学在学中の岡本隼など、シーズン序盤から結果を出してきたメンバーで臨む。

宇都宮ロードレース優勝の吉岡直哉(那須ブラーゼン)は日本ナショナルチームから出場宇都宮ロードレース優勝の吉岡直哉(那須ブラーゼン)は日本ナショナルチームから出場 浅田顕監督率いる日本ナショナルチームは、吉岡直哉(那須ブラーゼン)と5人のU23の選手で構成。そのうち4人は、山本大喜(鹿屋体育大学)ら大学生だ。彼等の挑戦にも注目したい。

なお、昨年のアジアツアーランキング1位のピシュガマン・サイクリングは、ドーピング違反者が1年以内に2人出た事による出場停止期間は明けているものの、主催者の意向により招待されていない。

大会公式サイトやライブストリーミングもチェック
各ステージや出場選手の詳細はツアー・オブ・ジャパン公式サイト( http://www.toj.co.jp/ )へ。正式な出場選手リストは20日に発表される。また、FRESH!( https://freshlive.tv/cycling )では各ステージのライブストリーミング中継が行われる予定だ。

text:Satoru.Kato
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