午前にロードレース、午後に個人TTというハーフステージ形式で行われたデパンヌ〜コクサイデ3日間レース最終日。キッテルとダーブリッジがそれぞれステージ優勝を飾り、総合リードを守り抜いたフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が大会初制覇を果たした。



第3aステージ

メイン集団を牽引するカチューシャ・アルペシンメイン集団を牽引するカチューシャ・アルペシン photo: TDWsport / KT最終日の午前中に行われた第3aステージはデパンヌを発着する118.5km。UCIプロコンチネンタルチームとUCIコンチネンタルチーム所属選手9名で構成された逃げグループが序盤から先行したが、タイム差は常に1分前後に抑え込まれた。

第3aステージを制したマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)第3aステージを制したマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KTクイックステップフロアーズとカチューシャ・アルペシンの二強が集団先頭に陣取り、中切れ集団分裂によって人数を減らしながら逃げグループを追撃。残り25km地点でタイム差は30秒。集団スプリントに向けての準備が着々と進む中、残り15km地点で集団落車が2度発生し、ここにマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)が巻き込まれた。同じくこのタイミングで落車した別府史之(トレック・セガフレード)はDNSに終わっている(大怪我は免れている)。

残り15km地点で落車に巻き込まれながらも集団スプリント勝利を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)残り15km地点で落車に巻き込まれながらも集団スプリント勝利を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KTバイク交換に30秒ほどを費やしてしまったキッテルはチームメイトの力を借り、カチューシャ・アルペシンがペースを上げるメイン集団を追走する。残り3kmを切って逃げグループを飲み込んだメイン集団にキッテルは復帰してポジションアップ。何とか集団スプリントに間に合わせた。

残り250mの最終コーナーを曲がり、サーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)の後ろからアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)がスプリントを開始。好位置から自分のタイミングで加速したクリストフだったが、その後ろからキッテルがグングンと迫り、並ぶことなく前に出る。伸びやかな加速でキッテルが先頭フィニッシュした。

「(残り15kmで)落車した時『集団復帰は不可能ではない』と自分に言い聞かせた。ジャック(バウアー)、ティム(デクレルク)、ダヴィデ(マルティネッリ)、ファビオ(サバティーニ)に引き連れられて集団に復帰し、そこからマックス(リケーゼ)とファビオのおかげで集団の前まで上がることができたんだ。この勝利はインプレッシブなチームワークのおかげだ」と、今シーズン6勝目を飾ったキッテル。翌週のシュヘルデプライスでは自身5度目の優勝を狙う。

チームメイトのジルベールは総合リードをキープ。マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)から50秒、クリストフから58秒のリードで午後の個人タイムトライアルに挑むことになった。



デパンヌ〜コクサイデ3日間レース2017第3aステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
2位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)    4h37'29"
3位 サーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
4位 リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
6位 マッテーオ・ペルッキ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
8位 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、オリカ・スコット)
9位 イェーレ・マナールト(ベルギー、タルテレット・アイソレックス)
10位 ヨナス・リカールト(ベルギー、スポートフラーンデレン)
105位 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)              +05"
DNF 別府史之(日本、トレック・セガフレード)

個人総合成績
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)      11h51'02"
2位 マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)        +50"
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)      +58"



第3bステージ

第3bステージで最速タイムを叩き出したルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)第3bステージで最速タイムを叩き出したルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット) photo: TDWsport / KT3日間の戦いを締めくくる14.2kmの個人タイムトライアルで最速タイムを叩き出したのは、第2ステージでの集団分裂で総合争いから陥落したルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)だった。コーナーが連続するコースを平均48.318km/hで駆け抜けた3度のオーストラリアTTチャンピオンがシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)を1秒以下の僅差で下した。

第3bステージで僅差の2位に入ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)第3bステージで僅差の2位に入ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) photo: TDWsport / KT「昨日は集団分裂に乗り遅れるミスを犯してしまったけど、そのことが今日の走りへのやる気につながった。このコースは5回ほど走っているので知り尽くしていたし、どうすれば全力を出すことができるのか知っていたんだ」と、最速タイムで今シーズン初勝利をつかんだダーブリッジは語る。

第3aステージの2位に続いて第3bステージでも3位に入ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)第3aステージの2位に続いて第3bステージでも3位に入ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo: TDWsport / KT総合2位ブランドルと総合3位クリストフも好走したが、総合1位ジルベールのリードは揺るがず。ステージ7位のタイムで最終競技を終えたジルベールが総合優勝に輝いた。「タイムトライアルではレース前とレース中の集中力が結果に影響する。スタート台を駆け下りる直前にマルセルの結果(4位)を聞いてモチベーションが上がったよ。コースに繰り出してからも自分の走りをコントロールできていた」と、ベルギーチャンピオンはコメントする。

クイックステップフロアーズはBMCレーシング(17勝)、オリカ・スコット(14勝)、モビスター(13勝)を引き離す今シーズン20勝目。週末に迫ったロンド・ファン・フラーンデレンの優勝候補に挙げられるジルベールは「ロンドの準備レースとしてこのデパンヌ出場は正しい選択だったと思う。結果にも自分の走りの感触にも満足。日曜日もチームが良い結果をつかめるように全力を尽くしたい」と、チームでの戦いを強調する。ボーネンやテルプストラ、スティバルらを揃えるクイックステップフロアーズが日曜日の戦いの中心を担うことになるだろう。



総合表彰台 2位マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)、1位フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、3位アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)総合表彰台 2位マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)、1位フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、3位アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo: TDWsport / KT


デパンヌ〜コクサイデ3日間レース2017第3bステージ結果
1位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)         17'38"
2位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)     +02"
4位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)          +03"
5位 マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)       +05"
6位 アレクサンダー・エドモンソン(オーストラリア、オリカ・スコット)      +09"
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)       +17"
8位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)            +31"
9位 ピーター・コニング(オランダ、アクアブルースポート)            +36"
10位 オリバー・パルディーニ(ベルギー、WBヴェランクラシック)         +39"
101位 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)             +2'57"

最終個人総合成績
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)      12h08'57"
2位 マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)        +38"
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)      +43"
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)          +58"
5位 ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)+1'39"
6位 マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBヴェランクラシック)           +1'50"
7位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)         +1'54"
8位 ピム・リヒハルト(オランダ、ルームポット)                 +2'10"
9位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード)         +2'24"
10位 ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・ソウダル)           +2'46"

ポイント賞
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)     46pts
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)          33pts
3位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)         32pts

山岳賞
1位 ピート・アレガールト(ベルギー、スポートフラーンデレン)          25pts
2位 ブリース・フェイユ(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)     16pts
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)       15pts

ヤングライダー賞
1位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)          12h13'12"
2位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)            +2'12"
3位 ヨナス・リカールト(ベルギー、スポートフラーンデレン)           +6'23"

チーム総合成績
1位 トレック・セガフレード      36h31'56"
2位 カチューシャ・アルペシン       +4'25"
3位 UAEチームエミレーツ         +6'25"

text:Kei Tsuji
photo:TDWsport

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