ベルギーのフランドル地方で開催されたハンザーメクラシック(UCI1.1)で20歳のU23世界チャンピオンが勝利。プロ2勝目を飾ったノルウェーのクリストファー・ハルヴォルセンという名前を覚えておいて損はなさそうだ。



集団スプリントを制したクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームジョーカー)集団スプリントを制したクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームジョーカー) photo: TDWsport / KTベルギー北西部のウェスト=フランデレン州で開催されたハンザーメクラシック。北海沿いのブレーデネをスタートし、その名の通りハンザーメに至る197kmのクラシックレースだ。終盤にルイデンベルグ(500m/平均4%)を含む周回コースを3周するが、獲得標高差は400m程度しかない。

祝福のキスを受けるクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームジョーカー)祝福のキスを受けるクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームジョーカー) photo: TDWsport / KTフラットなスプリンター向きのクラシックレースであり、優勝者リストにはトップチーム所属のスプリンターの名前が並ぶ。2017年の第15回大会にはボーラ・ハンスグローエ、カチューシャ・アルペシン、クイックステップフロアーズ、ロット・ソウダルに加え、国内外のUCIプロコンチネンタル&コンチネンタルチームが出場した。

優勝トロフィー代わりのビールを受け取ったクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームジョーカー)優勝トロフィー代わりのビールを受け取ったクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームジョーカー) photo: TDWsport / KT序盤からの10名の逃げ吸収後、カウンターアタックで逃げ屋イーリョ・ケイセ(ベルギー、クイックステップフロアーズ)を含む6名が中盤から先行。しかしスプリンターチームはスピードを落とすことなくメイン集団を牽引する。ベルギーらしい横風によって脱落者も出るほどのペースでレースは進み、フィニッシュまで35kmを残して早くも逃げは捕らえられた。

ボーラ・ハンスグローエやロット・ソウダルに対抗してUCIプロコンチネンタルチームのアクアブルースポートやUCIコンチネンタルチームのチームジョーカーが集団先頭へ。アタックが生まれないハイスピードでレースは進行した(この日の平均スピードは46.3km/h)。

イギリスチャンピオンジャージを着るアダム・ブライス(イギリス)のためにアクアブルースポートが集団先頭を陣取って残り5km。しかし新生アイリッシュチームが完全に主導権を握るには至らず、混戦状態のままフラムルージュを通過する。すると、最終コーナーを曲がったところでディフェンディングチャンピオンのエリック・バスカ(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がロングスプリントを開始した。

同じスロバキア出身の世界王者ペテル・サガンとともにティンコフからボーラ・ハンスグローエに移籍した23歳のバスカが連覇に向かって突き進んだものの、徐々に失速してブライスやケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)、そしてハルヴォルセンに追い抜かれていく。最後まで伸びたハルヴォルセンが先着した。

1996年4月13日生まれの20歳で、2016年のUCIロード世界選手権U23ロードレースで優勝したハルヴォルセン。すでに2016年のGPイスベルグ(UCI1.1)でエリートスプリンター相手に勝利を飾っており、これがプロレース2勝目だ。「今日は強風によって序盤から集団が分裂するタフなレースになった。集団後方に下がってしまうと命取りになるパワーレースだった」と、優勝したハルヴォルセンは語る。

ハルヴォルセンが所属するチームジョーカーはエドヴァルド・ボアッソンハーゲンやアレクサンドル・クリストフ、ラーシュペッテル・ノルダーグの出身チームとして知られるノルウェーの伝統チーム。U23世界タイトル獲得後にUCIワールドチームに移籍すると噂されたが、ハルヴォルセンは2015年から所属するノルウェーチームに残った。

「このチームは自分にとって学校のようなもの。U23のタイトルを得てから色んなオファーを受けたけど、これからも継続的に成長し、強くなるためにこのチームに残ることを決めたんだ。来シーズンはステップアップしたい。トル・フースホフトから始まったノルウェーの伝統を引き継ぐ存在になりたい」とハルヴォルセンは語っている。



ハンザーメクラシック2017
1位 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームジョーカー)    4h15'31"
2位 アダム・ブライス(イギリス、アクアブルースポート)
3位 ケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
5位 コエン・フェルメルトフォルト(オランダ、ルームポット)
6位 アンドレ・ローイ(オランダ、ルームポット)
7位 ローイ・ヤンス(ベルギー、WBベランクラシック)
8位 ティモシー・デュポン(ベルギー、ヴェランダスウィレムス)
9位 イェーレ・マナールツ(ベルギー、タルテレット・アイソレックス)
10位 ダヴィデ・マルティネッリ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
DNF 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
DNF 小林海(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)

text:Kei Tsuji
photo:TDWsport