2017/03/15(水) - 06:04
ティレーノ〜アドリアティコを締めくくる10km個人タイムトライアルでローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)がトップタイム。ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がコース横断者との接触を危機一髪回避する中、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が総合優勝に輝いた。
ティレーノ〜アドリアティコという名前の通り、ティレニア海をスタートしたレースがアドリア海でフィニッシュを迎えた。1週間にわたるレースを締めくくるのは、アドリア海に面したサンベネデット・デル・トロントを舞台にした毎年恒例の平坦な個人タイムトライアルだ。
海沿いに5km南下し、2つの右90度コーナーを曲がって5km北上する直線的な10.0kmコース。完全にフェンスで封鎖されていないため、観客の横断はほぼ自由な状態。ポイント賞ジャージを着るサガンがあわや犬を連れて横断歩道を歩く歩行者と接触するシーンが見られたが、巧みなハンドルさばきで歩道に逃れて接触を回避した。世界チャンピオンは重要なミラノ〜サンレモを前に怪我を負うことなくレースを終えている。
総合上位陣が目指したのはヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)が叩き出した11分21秒の暫定トップタイム更新。総合3位・1分06秒遅れのデニスが前半から快調に飛ばし、後半の向かい風区間でもスピードをつないで11分18秒でフィニッシュした。
平均スピード51.9km/hで10.0kmコースを走りきったデニスがステージ優勝に輝いた。TTスペシャリストとしての本領を発揮し、総合1位キンタナに42秒差、総合2位ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)に27秒差をつけることに成功。結果、デニスは総合2位でレースを終えている。
「自分にとって重要な勝利。ファンエムデンのトップタイム更新をチームバスの中で見ていた。昨年のエネコツアーで彼の強さは確認していたし、彼のタイムが目標になると理解していた」と、総合争いに絡んでいないフレッシュなTTスペシャリストたちを下したデニスは語る。
「(第4ステージの)テルミニッロでの走りを分析した結果、ジロでトップクライマーと競り合うには今よりも2〜3kgの減量が必要だ。でも5月のジロまでに急いで減量するつもりはない。徐々に体重を減らしてパワーウェイトレシオを上げたい。自分に4年間の猶予を与えてグランツール制覇を狙うよ」と、オーストラリア人選手として初となるティレーノのTT制覇を果たしたデニスはコメント。ティレーノの総合表彰台に上ったオーストラリア人選手は2011年に総合優勝したカデル・エヴァンスに次いで2人目だ。
そして総合優勝はリードを守り抜いたキンタナの手に。2度目の大会制覇を果たし、槍の優勝トロフィーを手にしたキンタナは「自分よりも経験豊かなライバルが揃った2年前のほうが苦しい総合優勝だった。今までよりもより強く、より賢くなって挑んだ今回の大会。チームも強力にサポートしてくれた。脚で圧倒したというより、頭脳戦に勝利したという感覚が強い」と、自身の成熟を感じ取る。
「ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスという目標に向けての準備は順調だ。でも今回の結果がそのままジロに結びつくわけじゃない。今週ずっと影に潜んでいた選手が5月に輝くことは十分に考えられるし、自分も100%までコンディションを上げないと戦えないだろう」と、今シーズン最大の目標であるダブルツールに向けて弾みをつけた。
Velon(ヴェロン)が公開しているパワーデータによると、ステージ9位に入ったライアン・ミューレン(アイルランド、キャノンデール・ドラパック)のタイムは11分35秒、平均スピードは51.8km/h、平均パワー462W、最大パワー959W、30秒最大パワー661W、平均心拍179bpm、ケイデンス89rpmだった。
ティレーノが終わるといよいよイタリア国内の注目は「ラ・プリマヴェーラ」ことミラノ〜サンレモに移る。イタリアに春の訪れを告げるクラシックの中のクラシックはティレーノ閉幕4日後の3月18日に開催される。
ティレーノ〜アドリアティコ2017第7ステージ結果
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) 11'18"
2位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) +03"
3位 マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、オリカ・スコット)
4位 スティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ) +08"
5位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +11"
6位 マチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +15"
7位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +16"
8位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
9位 ライアン・ミューレン(アイルランド、キャノンデール・ドラパック) +17"
10位 アレックス・ドーセット(イギリス、モビスター) +18"
13位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +23"
17位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +27"
18位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
39位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +38"
45位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +42"
47位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
55位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) +47"
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 25h56'27"
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +25"
3位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +36"
4位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +45"
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +58"
6位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +1'01"
7位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +1'18"
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) +1'36"
9位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1'38"
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)+1'59"
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 42pts
2位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 40pts
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 32pts
山岳賞
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 18pts
2位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 16pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 15pts
ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 25h459'20"
2位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ) +27"
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) +13'33"
チーム総合成績
1位 モビスター 77h05'00"
2位 BMCレーシング +3'15"
3位 チームスカイ +7'41"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
ティレーノ〜アドリアティコという名前の通り、ティレニア海をスタートしたレースがアドリア海でフィニッシュを迎えた。1週間にわたるレースを締めくくるのは、アドリア海に面したサンベネデット・デル・トロントを舞台にした毎年恒例の平坦な個人タイムトライアルだ。
海沿いに5km南下し、2つの右90度コーナーを曲がって5km北上する直線的な10.0kmコース。完全にフェンスで封鎖されていないため、観客の横断はほぼ自由な状態。ポイント賞ジャージを着るサガンがあわや犬を連れて横断歩道を歩く歩行者と接触するシーンが見られたが、巧みなハンドルさばきで歩道に逃れて接触を回避した。世界チャンピオンは重要なミラノ〜サンレモを前に怪我を負うことなくレースを終えている。
総合上位陣が目指したのはヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)が叩き出した11分21秒の暫定トップタイム更新。総合3位・1分06秒遅れのデニスが前半から快調に飛ばし、後半の向かい風区間でもスピードをつないで11分18秒でフィニッシュした。
平均スピード51.9km/hで10.0kmコースを走りきったデニスがステージ優勝に輝いた。TTスペシャリストとしての本領を発揮し、総合1位キンタナに42秒差、総合2位ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)に27秒差をつけることに成功。結果、デニスは総合2位でレースを終えている。
「自分にとって重要な勝利。ファンエムデンのトップタイム更新をチームバスの中で見ていた。昨年のエネコツアーで彼の強さは確認していたし、彼のタイムが目標になると理解していた」と、総合争いに絡んでいないフレッシュなTTスペシャリストたちを下したデニスは語る。
「(第4ステージの)テルミニッロでの走りを分析した結果、ジロでトップクライマーと競り合うには今よりも2〜3kgの減量が必要だ。でも5月のジロまでに急いで減量するつもりはない。徐々に体重を減らしてパワーウェイトレシオを上げたい。自分に4年間の猶予を与えてグランツール制覇を狙うよ」と、オーストラリア人選手として初となるティレーノのTT制覇を果たしたデニスはコメント。ティレーノの総合表彰台に上ったオーストラリア人選手は2011年に総合優勝したカデル・エヴァンスに次いで2人目だ。
そして総合優勝はリードを守り抜いたキンタナの手に。2度目の大会制覇を果たし、槍の優勝トロフィーを手にしたキンタナは「自分よりも経験豊かなライバルが揃った2年前のほうが苦しい総合優勝だった。今までよりもより強く、より賢くなって挑んだ今回の大会。チームも強力にサポートしてくれた。脚で圧倒したというより、頭脳戦に勝利したという感覚が強い」と、自身の成熟を感じ取る。
「ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスという目標に向けての準備は順調だ。でも今回の結果がそのままジロに結びつくわけじゃない。今週ずっと影に潜んでいた選手が5月に輝くことは十分に考えられるし、自分も100%までコンディションを上げないと戦えないだろう」と、今シーズン最大の目標であるダブルツールに向けて弾みをつけた。
Velon(ヴェロン)が公開しているパワーデータによると、ステージ9位に入ったライアン・ミューレン(アイルランド、キャノンデール・ドラパック)のタイムは11分35秒、平均スピードは51.8km/h、平均パワー462W、最大パワー959W、30秒最大パワー661W、平均心拍179bpm、ケイデンス89rpmだった。
ティレーノが終わるといよいよイタリア国内の注目は「ラ・プリマヴェーラ」ことミラノ〜サンレモに移る。イタリアに春の訪れを告げるクラシックの中のクラシックはティレーノ閉幕4日後の3月18日に開催される。
Always a gentleman,only @petosagan gives way to older people&animals even in a TT. BUT please respect the safety of the riders!! pic.twitter.com/HWnJJ9yXEQ
— BORA – hansgrohe (@BORAhansgrohe) 2017年3月14日
ティレーノ〜アドリアティコ2017第7ステージ結果
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) 11'18"
2位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) +03"
3位 マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、オリカ・スコット)
4位 スティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ) +08"
5位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +11"
6位 マチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +15"
7位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +16"
8位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
9位 ライアン・ミューレン(アイルランド、キャノンデール・ドラパック) +17"
10位 アレックス・ドーセット(イギリス、モビスター) +18"
13位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +23"
17位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +27"
18位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
39位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +38"
45位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +42"
47位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
55位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) +47"
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 25h56'27"
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +25"
3位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +36"
4位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +45"
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +58"
6位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +1'01"
7位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター) +1'18"
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) +1'36"
9位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1'38"
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)+1'59"
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 42pts
2位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 40pts
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 32pts
山岳賞
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ) 18pts
2位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 16pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 15pts
ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 25h459'20"
2位 エガン・ベルナル(コロンビア、アンドローニジョカトリ) +27"
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) +13'33"
チーム総合成績
1位 モビスター 77h05'00"
2位 BMCレーシング +3'15"
3位 チームスカイ +7'41"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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