11月6日より英国・マンチェスターで、2009UCIパラサイクリングトラック世界選手権が開催される。日本チームの出場選手は、北京パラリンピックメダリストの藤田征樹(障害クラスLC3)、今回が世界選手権初出場となる阿部学宏(たかひろ、LC1)の2名。ともに6日は個人追抜、7日は1kmTTに出場予定だ。

藤田征樹(右から2人目)、阿部学宏(右から3人目)と日本のサポートスタッフら藤田征樹(右から2人目)、阿部学宏(右から3人目)と日本のサポートスタッフら photo:Yuko SATO「マンチェスターに、この場所に立っていられることがすごくうれしい」と言う藤田。北京で3つのメダルを獲得した翌春に大学院を卒業、現在は茨城県の日立建機株式会社技術開発センタに研究職として勤務。新しい土地で新たな練習環境を作りながらロンドンを目指す24歳だ。

北京の大舞台を経て大きく成長した藤田は「北京から1年。この大会では、ロンドンでいい結果をと考えたときに、今やっていることが良いのかどうかが分かる。メダルや順位もそうだけれど、何よりその内容が試される、それを確認できるレースになると思う」と語る。今回狙う種目は1kmTTだ。

「初めてのことばかりなので、まずは慣れること」と語るのは、国際大会には初出場となる阿部。パラサイクリングチームではルーキーだが、13年ほど前に大学のサークルでロードレースを始め、現在は浜松のチーム「SPADE ACE」に所属。2002年頃に実業団登録して現在BR1カテゴリで走っている。

公式練習中の藤田征樹(前)、阿部学宏公式練習中の藤田征樹(前)、阿部学宏 photo:Yuko SATO障害は先天性の右上肢機能全廃で、障害クラスはLC1。トラック競技の経験はまだ少ないと言うが、今後が期待される中距離種目のほかにも、石井雅史(CP4、今回は怪我のため不参加)、藤田(LC3)に続いて二輪単座の男子選手が日本に3人揃えばチームスプリント出場が可能になることから、日本のロンドンへの戦略においてもさまざまな可能性を秘める。

今大会は、当初の09年パラサイクリング世界選手権の開催予定地だったセビリアが予算面でキャンセルとなった事情から、同時開催予定だったロードとトラックは、9月のイタリア、11月英国での2大会開催に変更。トラック大会は健常者のUCIトラックW杯に続いて行われることになった。

結果的に、スタッフや設備の活用など、健常者大会との統合形のひとつの可能性をも感じさせる大会に。日本チームも、健常者のW杯ナショナルチームスタッフ3人が現地にとどまり、引き続き選手のサポートにあたっている。

この大会のホットな話題のひとつは、視覚障害クラス(B&VI)のパイロット(タンデムの前に乗る健常者選手)への著名選手参入の動きだ。今大会では、アテネ五輪出場などの経歴をもつホセ アントニオ・ビラヌエバ(スペイン)がパイロットとして参加。英国チームも来年はシドニー五輪1kmTT金メダリストのジェイソン・クアリーがパイロットとして出場予定だという。未確認だがその他の国でも同様の動きがあるとの情報も。日本の大城竜之(B&VI)は今回怪我のため出場していないが、各国の動きには要注目だ。

タンデムのパイロットとして出場するビラヌエバ(中央)タンデムのパイロットとして出場するビラヌエバ(中央) photo:Yuko SATO来年以降、パラサイクリングでも健常者の自転車競技と同様、世界各地でのW杯開催も計画されている。パラサイクリングがUCIへ移管されて以来急激に進む、高い競技性指向、健常者の自転車競技との統合、高速化、組織化など、1年ごとに予想を超えるスピードで姿を変えるパラサイクリングの世界。その流れのなかで今大会もまた、日本のロンドンへの取り組みへの課題を改めて認識させる、大きな節目の大会となりそうだ。

2010年からは、脳性麻痺や切断という医学的な区分でなく、二輪・三輪・ハンドサイクルといった使用自転車種別と、選手の運動機能に主眼を置く、クラス分け方法の大きな変更が予定されている。表彰台の顔ぶれが今後大きく変わる可能性も。

今大会には、大会側発表によると23カ国124名の選手が参加。レースは8日まで3日間の日程で行われる。


text&photo:Yuko SATO

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