ついにクラシックシーズン開幕!セミクラシック初戦のオンループ・ヘットニュースブラッド(UCI1.HC)がベルギー・ヘント近郊で開催され、熾烈なアタック合戦の末のスプリント勝負をトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)が制して優勝。北欧選手として初の栄冠に輝いた。

セミクラシック初戦を迎えたヘントのスタート地点は観客でごった返すセミクラシック初戦を迎えたヘントのスタート地点は観客でごった返す photo:Cor Vos昨年まで「オンループ・ヘットフォルク」として開催されていたこのセミクラシック初戦は、スポンサー変更に伴い名称が「オンループ・ヘットニュースブラッド」に。今年で開催64回目を迎える伝統の一戦だ。

フランドル地方のヘント近郊で行なわれるレースは、コース全長が203km。ミュールやクルイスベルグ、ターインベルグ、モーレンベルグなど、ロンド・ファン・フラーンデレンでお馴染みの急坂が11つ登場する。その多くは石畳で覆われており、急勾配のスリッピーな路面が選手たちを苦しめる。7カ所の石畳区間も設定され、コースの厳しさは本格クラシックレースと遜色無い。

序盤から逃げた5名序盤から逃げた5名 photo:Cor Vos過去には雪で開催中止を余儀なくされたこともあるが、今年は好天、温暖なコンディションに恵まれた。レースはエルヴェ・デュクロラサル(フランス、コフィディス)やダヴィド・ブシェー(フランス、ランドバウクレジット)ら5名のアタックが早々に決まり、最大7分のリードを得て逃げ続けた。

メイン集団からはレース中盤にマーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)ら4名が飛び出したが、この追走グループは、遮断機の降りた踏切を通過したとして失格処分に。やがてレース後半に突入すると、先頭グループのリードは急速に縮まった。

逃げを試みるラボバンクの4名、先頭はフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)逃げを試みるラボバンクの4名、先頭はフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク) photo:Cor Vosゴールまで55kmを残したターインベルグでレースは急展開を見せる。ラボバンクの4名(ナイエンス、ポストゥーマ、ラングヴェルト、フレチャ)がメイン集団から飛び出し、チームタイムトライアル状態で集団を突き放しにかかった。

クイックステップがコントロールする集団は何とかこのラボバンクの動きを封じたが、このペースアップによって集団は20名ほどに絞られた。ここから前年度覇者のフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)らが断続的にアタックを仕掛けたが、ラボバンクがこれを封じていく。

アタックを繰り返す前年度覇者のフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)アタックを繰り返す前年度覇者のフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) photo:Cor Vos連続する急勾配の上りでのアタックはいずれも成功せず、逃げ続けていた先頭5名もラスト35kmで吸収。ここからハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)とセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)の2名が飛び出し、最大1分のリードを築き上げた。

ハウッスラーとラングヴェルトは20秒のリードを保ったままラスト10kmに突入する。協力して逃げるこの2名を、サイレンス・ロットとクイックステップが牽引する20名ほどのグループが追い上げる展開。逃げ切りかスプリントか、このマッチレースは追走グループに軍配が上がった。

逃げ続けるセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)とハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)逃げ続けるセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ラボバンク)とハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ) photo:Cor Vosゴールの僅か300m手前で先頭2名が吸収されると、集団内で落車が発生。フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)やゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)らがこれに巻き込まれた。

優勝候補のトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が足止めを食らう一方で、難を逃れたフースホフトが先頭でゴールへ。追いすがるケヴィン・イスタ(ベルギー、アグリチュベル)らを振り切ったフースホフトが、そのまま両手を挙げてゴールに飛び込んだ。

先頭でゴールに飛び込むトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)先頭でゴールに飛び込むトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ) photo:Cor Vosサーヴェロ・テストチームの勢いが止まらない。フースホフトは北欧出身選手として大会初優勝。ツアー・オブ・カリフォルニア第3ステージに続くシーズン2勝目だ。ゴール寸前まで逃げていたハウッスラーも、ポルトガルのヴォルタ・アオ・アルガルヴェでステージ2勝を飾っている。

Sport.beのインタビューの中でフースホフトは「ハウッスラーが逃げてくれたことで、クリアーと僕はずっと集団後方で楽に走ることが出来た。決定的な動きに遅れないようにだけ気をつけて、あとは落ち着いて集団後方で走っていたんだ。ハウッスラーが吸収されたとき、僕はクリアーに連れられて先頭に出た。完璧なスプリントだった」と、チームの働きを賞賛した。サーヴェロは今後のセミクラシックでも注目の存在だ。

日本から唯一参戦した別府史之(スキル・シマノ)は45秒遅れの大集団でゴール。セミクラシック初戦を終えたフミ、次戦は西フランドル3日間(3月6日〜8日)だ。

オンループ・ヘットニュースブラッド2009
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)4h47'45"
2位 ケヴィン・イスタ(ベルギー、アグリチュベル)
3位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)
4位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、サイレンス・ロット)
5位 マークス・ブルグハート(ドイツ、チームコロンビア)
6位 フレデリック・アモリソン(ベルギー、ランドバウクレジット)
7位 アンドレアス・クリアー(ドイツ、サーヴェロ)
8位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)
9位 ニキ・テルプストラ(オランダ、ミルラム)
10位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
64位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+45"

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