オランダ北部で開幕したエネコ・ツアー初日は大集団によるスプリントに。地元オランダのチャンピオンジャージを着るディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)が並み居るスプリンターたちを打ち破った。



スプリントを繰り広げるディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)スプリントを繰り広げるディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele


リオ五輪ロード金メダリストのグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)リオ五輪ロード金メダリストのグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleオランダ北部のボルスヴァルトを発着する184.7kmで行われたエネコ・ツアー第1ステージ。登りが設定されないフラットコースはスプリンターたちのもの。序盤からマッテーオ・ボノ(イタリア、ランプレ・メリダ)やローレンス・デフレース(ベルギー、アスタナ)を含む5名逃げが形成されたものの、フレッシュなスプリンターチームは逃げをコントロール下に置く。逃げは残り3kmを切ったところで集団に飲み込まれた。

スタートラインに並んだグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)らスタートラインに並んだグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)ら photo:Tim de Waeleトップスプリンター勢揃いのハイスピードバトル。FDJやカチューシャ、オリカ・バイクエクスチェンジが集団先頭でトレインを走らせたが、結果的に横一線でスプリントが始まる。

逃げグループを形成するブライアン・ファンホーテン(オランダ、ルームポット・オラニエ)やバート・ヴァンレルベルグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)ら逃げグループを形成するブライアン・ファンホーテン(オランダ、ルームポット・オラニエ)やバート・ヴァンレルベルグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)ら photo:Tim de Waele残り300mでジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)やエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がロングスプリントを開始。その後ろに続いたフルーネヴェーヘンやナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が、徐々に失速するニッツォロとボアッソンハーゲンを抜いて先頭に立つ。混戦の中から抜け出したオランダチャンピオンジャージが力強く両手を挙げた。

スプリンターチームがコントロールするメイン集団スプリンターチームがコントロールするメイン集団 photo:Tim de Waele「最後はロバート・ワグナーにリードアウトされてスプリントに挑んだ。彼の風除けのポジショニングや前に上がるタイミングはパーフェクトだった。オリカ・バイクエクスチェンジのトレインが最もスピードがあったのでカレイブ・ユアンの番手に飛びついたものの、彼は進路を塞がれてしまったので、先にスプリントを開始したジャコモ・ニッツォロに瞬時に反応してスプリントした」と、勝利への道筋を語る1993年6月21日生まれのフルーネヴェーヘン。

大集団スプリントを制したディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)大集団スプリントを制したディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waeleオランダ・アムステルダム出身の23歳フルーネヴェーヘンは、2015年にUCIコンチネンタルチームのデ・レイケからUCIプロコンチネンタルチームのルームポットにステップアップし、同年のブリュッセルサイクリングクラシックでトム・ボーネン(ベルギー)らを下して勝利している。

フルーネヴェーヘン今年に入ってUCIワールドチームのロットNLユンボのエースとして活躍しており、6月にはオランダ選手権ロードレースを制した。初出場したツール・ド・フランスではトップ10フィニッシュが2回にとどまったものの、エネコ・ツアーと同様にトップスプリンターが揃ったツアー・オブ・ブリテンではステージ優勝を飾ってポイント賞に輝いている。今シーズンの勝利数はオランダ人最多の10勝。

「オランダチームとしてこのエネコ・ツアーでステージ優勝することを目標に掲げていた。初日にその目標を達成できて満足だ。7ヶ月に及ぶリードアウトの練習が、この世界トップレースでのトップスプリンター相手の勝利につながった。ライバルたちの豪華さがこの勝利を特別なものにしている」と、23歳ながらUCIロード世界選手権でオランダチームのエースを担う可能性が高いフルーネヴェーヘンは語る。UCIワールドツアーレース初勝利をつかんだ新鋭はリーダージャージを着て翌日の個人タイムトライアルに挑む。



リーダージャージを手にしたディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)リーダージャージを手にしたディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waele


エネコ・ツアー2016第1ステージ結果
1位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)      4h14’00”
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
5位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
6位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
7位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
8位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
9位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
10位 ローイ・ヤンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)

個人総合成績
1位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)      4h13’50”
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)                 +04”
3位 フレデリック・バッカート(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 ローレンス・デフレース(ベルギー、アスタナ)               +05”
5位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)                +06”
6位 マッテーオ・ボノ(イタリア、ランプレ・メリダ)              +07”
7位 バート・ヴァンレルベルグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)    +08”
8位 ブライアン・ファンホーテン(オランダ、ルームポット・オラニエ)
9位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)   +10”
10位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

スプリント賞
1位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)      30pts
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)              25pts
3位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)             22pts

チーム総合成績
1位 エティックス・クイックステップ                   12h42’00”
2位 ティンコフ
3位 コフィディス

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele