フランスにて初開催されたロードヨーロッパ選手権の男子エリート。登りスプリントで圧倒的な力を見せたのは大本命のペーター・サガンだった。アルカンシエルとヨーロッパ王者ジャージを重ね着することになる。



ヨーロッパ選手権2016 ロードレース男子エリートがスタートヨーロッパ選手権2016 ロードレース男子エリートがスタート (c)Bettini


ハイペースで周回をこなしていくメイン集団ハイペースで周回をこなしていくメイン集団 (c)CorVosベルトヤン・リンデマン(オランダ)やプリミン・ラング(スイス)ら4名が逃げるベルトヤン・リンデマン(オランダ)やプリミン・ラング(スイス)ら4名が逃げる (c)CorVosリラックスして走るペーター・サガン(スロバキア)  リラックスして走るペーター・サガン(スロバキア)   (c)CorVos積極的に集団を率いるベルギー積極的に集団を率いるベルギー (c)Bettini逃げグループから更に仕掛ける乗ったベン・ヘルマンス(ベルギー)逃げグループから更に仕掛ける乗ったベン・ヘルマンス(ベルギー) (c)Bettini9月14日から初開催されているヨーロッパ選手権もこの日が最終日。男子エリートロードレースは、これまで行われた各カテゴリーと同じ1周13.7kmの周回コースを17周、230kmオーバーの距離で争われた。

コースの勝負どころは過去にフランスナショナル選手権でもコースに組み込まれてきた、スタート/ゴール地点まで続く距離1800m、平均勾配7.8%の登坂、コート・ド・カドゥーダル。前日に行われた男子U23や女子エリートレースでは登りで絞り込まれた集団によるスプリント勝負で決着しており、男子エリートでもスプリント力のあるパンチャーに勝機があると見込まれていた。

スタート後すぐにベルトヤン・リンデマン(オランダ)やプリミン・ラング(スイス)ら4名が逃げるとすぐにタイム差は広がり、最大でリードは11分までに到達。集団もしばらくは静観する形で距離を消化していくことになる。

150kmを越える頃には先頭グループも2分され、ホスト国であるフランスが牽引する集団もじわじわと距離を詰めにかかる。にわかに活性化する集団からはアレクサンドル・ジェニエ(フランス)やダヴィド・デラクルス(スペイン)、エンリーコ・ガスパロット(イタリア)らが飛び出したが吸収。次いでファビオ・アル(イタリア)やヤン・ポランク(スロベニア)を含む数名が攻撃を仕掛け、一気にレースに熱が帯びてくる。

残り5周回で最後まで粘っていたリンデマンが吸収されると、イタリアやベルギーが積極的にペースアップを行ったことで集団は登りで一列棒状に引き伸ばされる。先頭ではクーン・デコルト(オランダ)のアタックをきっかけにアル、マティアス・フランク(スイス)、フィリップ・ジルベール(ベルギー)、モレーノ・モゼール&ジョヴァンニヴィスコンティ(イタリア)ら超強力な17名が先行した。

各国のエース級選手を含む逃げグループは30秒ほどの差を得たが、集団が逃げ切りを許すはずがなく、フランスやスペインの牽引によって吸収。逃げと大きく人数を減らしたメイン集団が連結した状態で最終周回突入の鐘をが鳴った。

すると逃げグループの中にいたモゼールが単独で加速し、見る間に後続との距離を開きに掛かる。集団も当初は静観したが、30秒差が残り5kmを切っても縮まらず、スペインやフランス、スイスが慌てて追撃を開始。下りでは優勝候補最右翼のペーター・サガン(スロバキア)も前に出てさらなるペースアップを促していく。

圧倒的なスプリントで勝負を決めたペーター・サガン(スロバキア)圧倒的なスプリントで勝負を決めたペーター・サガン(スロバキア) (c)CorVosスロバキア国旗を掲げるペーター・サガン(スロバキア)  スロバキア国旗を掲げるペーター・サガン(スロバキア)   (c)Bettiniその甲斐あって逃げ続けたモゼールはコート・ド・カドゥーダルの序盤で捕まったが、吸収直前にイタリアはダヴィデ・ヴィエラをアタックさせて波状攻撃。ヴィエラにはマティアス・フランクが追いついたが、思うように後続との距離を開けられず、ジャンニ・メールスマン(ベルギー)が仕掛ける集団に飲み込まれた。

メールスマンは失速し、代わってダニエル・モレーノ(スペイン)が加速。しかしその後ろに位置取ったサガンには大きな余裕があった。残り100mで加速したサガンは追いすがるジュリアン・アラフィリップ(フランス)を4〜5車身突き放してガッツポーズ。世界王者の力を遺憾なく発揮し、初代ヨーロッパ選手権王者に輝いた。

アルカンシエルとヨーロッパチャンピオンジャージを重ね着することになるサガンは「初のヨーロッパ選手権で勝利できてめちゃくちゃにハッピー。そしてスロバキアのナショナルジャージを着て表彰台の高いん場所に立てたことも名誉なこと。予想通り長くタフなレースだったが、最終盤、僕には脚があった。タイミングをずっと待ち続けていたが、それもスロバキアチームのサポートがなければ不可能だった。チームメイトとスロバキアにこの勝利を捧げ、このレースに臨んだ普段のチームメイト、ティンコフのメンバーの健闘を讃えたい」とコメント。来るエネコ・ツアーでのUCIワールドツアーランキング首位確定に向けても大きく弾みをつけた。



ペーター・サガン(スロバキア)をジュリアン・アラフィリップ(フランス)とダニエル・モレーノ(スペイン)が囲むペーター・サガン(スロバキア)をジュリアン・アラフィリップ(フランス)とダニエル・モレーノ(スペイン)が囲む (c)Bettini


ヨーロッパ選手権2016 ロードレース男子エリート結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア)          5h34’23”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン)
4位 サムエル・ドゥムラン(フランス)
5位 ピーター・ヴァコッチ(チェコ)
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル)
7位 トニー・ギャロパン(フランス)           +03”
8位 フィリップ・ジルベール(ベルギー)
9位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア)
10位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン)

text:So.Isobe

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