様々な勝負が繰り広げられたブエルタ第20ステージ。ステージ優勝を挙げたラトゥール、総合優勝を決定づけたキンタナを含め、この日活躍した選手たちの言葉でレースを振り返ります。



初のグランツアーステージ優勝を挙げたピエール・ラトゥール(フランス、AG2Rラモンディアール)

勝利を祝うピエール・ラトゥール(フランス、AG2Rラモンディアール)勝利を祝うピエール・ラトゥール(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:TDWsport/Kei Tsuji
ラトゥールとアイタナ峠を駆け上がるダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)ラトゥールとアイタナ峠を駆け上がるダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) photo:A.S.O.最終盤にラトゥールらと抜け出したマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)最終盤にラトゥールらと抜け出したマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) photo:CorVosアイタナ峠では勝利できるかもと思っていたけれど、ヘーシンクが差を詰めてきていたので確実な自信は無かった。それでも今シーズンはまだ勝利が無かったので、ステージ優勝に向けてモチベーションは非常に高かった。最終盤は非常に厳しい戦いだったよ。今日の結果にはとてもハッピーで、初めてのグランツアーステージ優勝に満足している。今は素晴らしい環境に自信を置いているし、チームからたくさんのことを学んでいる最中だ。

ステージ優勝を争ったダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)

とても良いステージだったと言えるが、個人的にステージ優勝を逃してしまったのは残念でならない。今日勝ちたかったが、でもこれまで4日間のマイヨロホ着用とステージ2位を2回、そしてチーム総合首位確定という結果を考えればとても上出来だ。素晴らしいブエルタを過ごせてハッピーだ。

最終盤にラトゥールらと抜け出したマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)

今日は全ての逃げに乗ったりと、少しだけ動きすぎてしまったようだ。絶対にチャンスを逃したくないという思いが僕を突き動かしていた。最終盤は単独先頭に立つことができたものの、脚が終わってしまった。残念だがここまでステージ1勝ができているので、僕にとって良いブエルタだったと言える。積極的に攻める姿勢を貫けたし、とても楽しめたレースだった。

総合優勝を確定させたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

総合優勝に王手をかけたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)総合優勝に王手をかけたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji
チームメイトに守られて走るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)チームメイトに守られて走るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji単独でコンタドールとの総合タイム差逆転を狙って走るエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)単独でコンタドールとの総合タイム差逆転を狙って走るエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ) photo:TDWsport/Kei Tsuji集団を率いるオリカ・バイクエクスチェンジ集団を率いるオリカ・バイクエクスチェンジ photo:CorVosチャベスの先行を許したアルベルト・コンタドールが自らメイン集団を牽引していくチャベスの先行を許したアルベルト・コンタドールが自らメイン集団を牽引していく photo:Bettiniフルームと一緒に抜け出した時、テレビ中継では苦しそうに見えたと思うけれど、実際にはとても楽に感じていた。なぜならチームのお陰でずっとイージーに走れてきたし、チームスカイが序盤にアタックした時も含めて全てのチームによる全ての呼攻撃から僕を守ってくれたんだ。彼らの働きぶりには感謝してもしきれないよ。今回の勝利は彼らに捧げるものであり、そして負傷してしまったホセホアキン・ロハスのものだ。なるべく早く100%回復して再び自転車に乗れるようになってほしい。

フルームは僕の最大のライバルであって、それが僕のブエルタ優勝をより価値のあるものにしてくれるはずだ。序盤と終盤のアタックは強力だったが、集中しきっていたので防ぐことができた。昨日のTTでは大いに苦しめられたが、今日はチームメイトの働きもあって防ぎきることができたんだ。

総合3位に上がったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)

レース前に僕らの目標は総合順位を上げることであり、最終盤まで絶対に諦めないことを確認しあった。今日は美しいステージになったし、こんなエピックなステージで自分たちが展開を作っていったなんて信じられないような気分だ。力を尽くしてくれたチームメイト、特にダミアン・ホーゾンには感謝しきれない。このメンバーの一員となれたことをとても誇りに思っている。

表彰台を逃してしまったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

残念。表彰台を確保できれば喜べただろうが、とても僅かな差で負けてしまった。開幕時の僕らの目標はブエルタで総合優勝することだったが、個人的にはレースを楽しめたので満足はしている。チームは全力を尽くしてくれたが、アイタナ峠では一人きりになってしまった。もっと強力な仲間が必要になってくるだろう。

第15ステージの1級アラモン・フォルミガルでフルームを脱落させた時のお返しでモビスターが手を貸してくれると思っていたが、最終盤には各チームそれぞれの戦略で動いていたので、自らチャベスを追いかけるしか術はなかった。負ける時にこそ多くを学ぶものだし、僕もこのブエルタで多くを学んだ。特にこのブエルタでは自分のために動かざるを得ない状況が数回あった。ツールでのチームスカイのような鉄壁の防御力があれば話は別だが、そうでなければ違うやり方で戦わなくてはいけない。優勝するキンタナや、良いレースを見せたフルーム、そして戦略的にレースを進めたオリカに祝福を。

総合6位のサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)

大きな1日になった。昨日は小柄な選手に不向きなコースだったので僕もチャベスもタイムを失ってしまった。でも今日はスタートから集中して臨み、それに報いる結果が付いてきた。アイタナ峠の前になるべく厳しい展開に持ち込んで、エステバンを発射。あの瞬間全員が動くことができなかった。何があっても良いようホーゾンを先行させていたし、完璧に作戦が上手くいった。コンタドールのチームメイトが全員脱落していたことも大きかった。

ステージ3位、ポイント賞を獲得したファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)

ステージ3位、ポイント賞を獲得したファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)ステージ3位、ポイント賞を獲得したファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos逃げに加わっている瞬間にはもう疲れて疲れて仕方がないくらいだったが、序盤にすでにみんなが疲れきっているのを思い出して考えを切り替えた。僕もキツいけれど、この全員がキツいんだと考えて、なるべくスマートにレースを運ぼうと試みたんだ。

アイタナ峠では一度遅れてしまったが、残り7kmで僕の親友が「行けファビオ!きっと先頭に戻れる!」と応援してくれたのを聞いて再び力とモチベーションが戻ってきた。アタプマとラトゥールを視界に捉えた時には勝期を感じたけれど、僕の姿を見て彼らも再び加速したんだろう。キャッチすることは叶わなかったが、マイヨプントスを手に入れることができて最高にハッピーだ。

今日はニュートラル区間で落車してしまい、自分にイキリ立っていた。でもイライラして結果が付いてくるわけでもないので、頭を落ち着かせたんだ。それから考えればマイヨプントスはとても嬉しいし、とてもほっとしたよ。明日勝利できるかは別として、プントスを着てマドリードを走ることができるなんて、これまで僕の苦労が報われたようなもの。僕よりも強いクライマーと一緒に逃げに乗り続けてきた甲斐があった。

マイヨモンターニャを確定させたオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)

マイヨモンターニャを確定させたオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)マイヨモンターニャを確定させたオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) photo:A.S.O.攻めの走りで1つ目のKOMを狙うケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)だったが、後に失速攻めの走りで1つ目のKOMを狙うケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)だったが、後に失速 photo:TDWsport/Kei Tsuji序盤は絶好調で、最初の山岳では状況を把握してコントロールできていたが、2つめの山岳でバイクを破損。その瞬間にエリッソンドが逃げてしまい、緊張が走ったよ。ラッキーとアンラッキーが同居していた。さらに無線の調子が悪くエリッソンドとのタイム差が分からず、追走すべきか分からなかった。先頭ではモラールとLLサンチェスが逃げている上に、エリッソンドにアイタナ峠で勝てる力は無いと考えていた。2年連続の山岳賞だが、今年はステージ優勝を狙いに来ていたので、自分自身に驚いたよ。

山岳賞逆転を許してしまったケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)

マイヨモンターニャを1点差、たった1点差で逃してしまった!最初の山岳で5点を獲得して山岳賞争いを終わらせようとしていたのに、逆にフライレにやられてしまった。その後集団から抜け出して1ポイントを得たが十分ではなかった。とても残念だし落ち込んでいる。

明日のスプリントを狙う新城幸也(ランプレ・メリダ)

今日は今回のブエルタで1番調子良く走れた日だった。 逃げが出来ては捕まりの繰り返しで70km以上もアタック合戦し、結局3つ目の2級山岳前に逃げが形成された。チームメイトが常に逃げに入っていたので、自分が動く出番が無かったけど(笑)。でもチームとしては登りに強いコンティが逃げに入ったので成功。 その後は集団も距離を消化していったが140km地点ぐらいのオリカが奇襲をかけ、何人かが抜け出したが、 最後は100人以上のグルペットでゴールを目指した。 最終山岳ステージで良いパフォーマンスを出せたのは良かった。このまま終わるのが残念なくらい調子が良いので明日はスプリントを頑張る!

ゴール後に健闘を讃え合う新城幸也(ランプレ・メリダ)と別府史之(トレック・セガフレード)ゴール後に健闘を讃え合う新城幸也(ランプレ・メリダ)と別府史之(トレック・セガフレード) photo:Miwa.Iijima
text:So.Isobe