超級山岳ラゴス・デ・コバドンガにフィニッシュしたブエルタ第10ステージ。山岳バトルを繰り広げたキンタナやフルーム、そしてコンタドールらのコメントを紹介します。



ステージ初優勝を飾って総合首位に返り咲いたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

ステージ初優勝を飾ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ステージ初優勝を飾ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji
今回は前回(1日間)よりも長くリーダージャージを守りたい。今日の結果には大満足で、ブエルタ総合優勝に向けた戦いに自信がついた。レース序盤に落車に巻き込まれたものの一日を通して調子が良かった。モビスターが献身的に走ってくれたので、ステージ優勝で報いたいと強く思ったんだ。

今までこのコバドンガでの勝利を夢見てきた。コバドンガの優勝者リストに自分の名前を加わることを嬉しく思う。チームとして強さを発揮した上での勝利なので格別だ。チームメイトたちの助けがなければこの勝利はなかった。

登りが始まった時点で調子の良さを感じ、チームメイトたちの力を借りながらポジションをキープ。特にルーベン・フェルナンデスの働きが素晴らしく、ライバルたちのアタックを封じ込めるペースを作ってくれた。ちょうど彼が力を使い果たし、ペースメイクが終了したタイミングでアルベルトがアタック。彼に反応して付いて行き、そこからさらにフルームを引き離すために2回ほどアタックしたんだ。でもフルームとのタイム差は広がらなかった。これからもチームとして攻撃を続け、彼をふるい落とす必要がある。もし仮に彼とのタイム差が1分のままだと、カルペの個人タイムトライアルで彼に逆転されてしまうと思う。落ち着いてタイムトライアルに挑むために少なくともタイム差を3分にまで広げておきたい。

マイヨロホを奪回したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)マイヨロホを奪回したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji
グランツールの総合リーダーの座につくことは素晴らしい気分だ。自分の能力を信じて走っているものの、時には身体が反応しない時もある。でも今は全てがうまく機能しており、楽しみながらレースに取り組めている。これはチームワークの成果だ。明日は脚を軽く回して、リカバリーに努めるよ。

総合2位につけるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

マイヨコンビナーダを手にしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)マイヨコンビナーダを手にしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji厳しい戦いだった。ナイロがステージ優勝して、自分はフルームのすぐ後ろでフィニッシュ。今日の結果にはとても満足している。そして自分の走りに驚いた。今シーズン3つめのグランツールで、開幕から10日間が経っているにも関わらず、まだ総合上位に食い込んでいる。もちろん苦痛を伴うけど、今はこのロードレースというスポーツを楽しんでいる。

フルームが物凄い勢いで後方から迫っていることは分かっていた。ナイロがアタックしてからは自分のペースをキープ。少し力を温存して、フルームが追いついた時に飛びついたんだ。フルームのペースは強力だったものの、彼からたった3秒遅れでフィニッシュにたどり着くことができた。フルームの走り方には驚いていない。40秒遅れたところからインプレッシブなペースで挽回する走りは今回が初めてではないし、彼の能力を考えると当然の走りだと言える。総合争いの観点から見れば、ナイロの1分リードは十分とは言えない。この先の山岳ステージでも攻撃を繰り返す必要がある。

遅れながらもペースを守って挽回したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

キンタナから25秒遅れでフィニッシュするクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)キンタナから25秒遅れでフィニッシュするクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsujiコバドンガの登坂時間はおよそ35分間。脚の状態を確認しながら、もっとも効率の良いペースで走った。前半に飛ばしていた選手たちは案の定オーバーヒートして失速していた。遅れた選手を追い抜き続けたけど、キンタナと最大45秒まで広がったタイム差は縮まらなかった。

ここ数日の走りを見る限りナイロのコンディションは素晴らしい。総合3位をキープしていることは嬉しいし、この先のステージでは自ら動きを起こしたい。総合順位をキープしたまま個人タイムトライアルに挑みたい。ツールとオリンピックを終え、良かった頃のコンディションをなんとか維持して走っている。

最終的にライバルたちから遅れたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

キンタナから1分05秒遅れでフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)キンタナから1分05秒遅れでフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) photo:TDWsport/Kei Tsujiリズムを変化させながら走るナイロに食らいついたことが仇となってしまった。今日のオプションは2つあり、1つはナイロに付いていくこと、そしてもう1つがフルームに付いていくことだった。フルームとは2012年と2014年に一緒にこのコバドンガを登っていて、その経験から彼は今日のフィニッシュが苦手だと思っていた。

ナイロに反応して付いて行ったことは間違いだったと思う。ハイペースで常にリズムを変化させるので、オーバーヒートしてしまい、完全にペースを崩してしまった。フルームは常にワット数を見て作戦通りに走っている。あからさまな作戦だけど、彼にはとても合っているようだ。

休息日を挟んで水曜日からまた戦いが始まる。まだブエルタの総合争いが終わったとは言えない。良い点と悪い点をしっかり精査してこれからの作戦を練る。総合優勝に向けて戦い続けたい。総合優勝がとても難しい状況になったことは否めないけど、不可能という言葉を使いたくない。ブエルタは前半戦が終わったばかりだ。

ステージ2位に入ったロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)

先頭で逃げ続けるロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)先頭で逃げ続けるロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:TDWsport/Kei Tsuji自分より速い選手に抜かれてステージ2位という結果に終わったけど、とても良い一日だった。逃げグループの中で自分のペースをキープして走り、やがて登りが始まると逃げの中で自分が最も苦しんでいないことに気がついた。逃げグループの中にチームメイトが1人(ヴィクター・カンペナールツ)入っていたことも大きな助けになった。彼の力を借りて逃げグループのペースを上げ、タイム差を保ったまま最後のコバドンガに挑むことができた。

自分の目標はブエルタ後半戦に調子を上げること。その目標通り、調子が上がっていることを今日確認できた。クルイスウィクのリタイアでチームの戦略は変更を余儀なくされたものの、これからは再び勝負に絡む走りができると思う。

マイヨロホを失ったダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)

超級山岳ラゴス・デ・コバドンガで苦しむダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)超級山岳ラゴス・デ・コバドンガで苦しむダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
とてもタフな1日で、最後のコバドンガが想像していたよりもずっとハードだった。全力を尽くしたと胸を張って言える。タイムロスを極力抑えるためにレッドゾーンまで追い込んだ。でもここまでのステージで溜まった疲労の影響でペースが上がらなかった。

総合リーダーとしてレッドジャージを着て走るのは貴重な経験だった。観客からの熱いサポートには感謝している。今日はスタートからフィニッシュまで自分への歓声が絶えなかった。決して忘れることのできない思い出として胸に刻んでおくよ。

マイヨモンターニャを手にしたオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)

逃げたオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)がマイヨモンターニャ獲得逃げたオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)がマイヨモンターニャ獲得 photo:TDWsport/Kei Tsuji逃げが決まるまで長時間かかった。70kmにわたってアタックに次ぐアタックが繰り広げられ、とても速くて難しいスタートだった。逃げが決まってからは比較的イージーなペースでレースは進んだ。調子が良いのは分かっていたので忍耐強くチャンスを待ち、リズムを崩さないように心がけた。総合上位陣が追いついてきた時はあまりのスピードに驚いたよ。

山岳賞トップに躍り出たことを嬉しく思う。このマイヨモンターニャはモチベーションを与えてくれる。

text:Kei Tsuji