カンタブリア州やバスク州を駆け抜け、ピレネー山脈に突入するブエルタ・ア・エスパーニャ。バレンシア州の山岳地帯で決着を迎え、マドリードに凱旋する後半ステージのコースを紹介します。



8月31日(水)第11ステージ → コースマップ
コルンガ/ムセーオフラシコ〜ペーニャカバルガ 168.6km(山頂)


2年連続でブエルタはバスク州に足を踏み入れる。カンタブリア州のロス・コラレス・デ・ブエルナから内陸部を東に向かい、まずは1級山岳ラス・アリサス峠(10km/平均6%)と3級山岳(6.4km/平均4.5%)をクリア。そこからバスク最大の都市ビルバオを中心にした周回コースに入る。

合計2回通過する2級山岳エル・ビベロ(4.2km/平均8.5%)はバスクファンで埋め尽くされるだろう。同じレイアウトが設定された2011年大会第19ステージでは、エル・ビベロでアタックを成功させた地元バスク出身のアントンが逃げ切っている。エウスカルテルの解散によって様々なチームに散らばったバスクライダーが地元での錦を狙って攻撃を仕掛けてくるはずだ。



9月2日(金)第13ステージ → コースマップ
ビルバオ〜ウルダクス・ダンチャリネア 213.4km


第71回ブエルタのクイーンステージ(最難関山岳ステージ)と目されているのが、ピレネー山脈の4つの峠が登場する第14ステージ。距離196kmで獲得標高差が4,800mを超える過酷な1日だ。スタートしてすぐフランス国内に入り、まずは1級山岳イナルプ峠(11.5km/平均7.1%)を越える。そこから1級山岳スデ峠(24km/平均5.2%)と1級山岳マリーブランク峠(9.2km/平均7.5%)を立て続けにクリアする。いずれも急勾配区間を含む登りであり、特にマリーブランク峠の後半は「壁」と呼ばれる区間も登場する。グルペットで完走を目指す選手たちにとっても厳しい1日になるだろう。

そして最後はブエルタ初登場の超級山岳オービスク峠(16.5km/7.1%)にアタックする。3つの峠と比べると勾配は緩いが、8%前後の一定勾配が標高1,710mの頂上まで続いている。すでに4,000m以上を登っている脚は悲鳴をあげるだろう。数分のリードを得る者、そして数分のロスを被る者が出てくるはず。マイヨロホは本命の手に渡っているはずだ。



9月4日(日)第15ステージ → コースマップ
サビニャニゴ〜サジェント・デ・ガジェゴ/アラモン・フォルミガル 118.5km(山頂)


ピレネー決戦を終えたブエルタは地中海を目指す。じっくり時間をかけて標高950mの3級山岳カスティーリョ・デ・モレリャ峠(3.4km/平均5.2%)まで登ると、もう一つカテゴリーの付いていない峠を越えてからバレンシア州の海岸線まで一気にダウンヒル。海沿いの幹線道路を走る残り17kmは完全にフラットだ。

そもそも大会3週目に差し掛かった時点でどれだけのスプリンターがレースに残っているのか計りかねるが、コースの難易度を見る限り集団スプリントに持ち込まれる可能性が高い。逆にスプリンターチームの力が弱まっていれば、総合に関係しない選手たちによる逃げ切りのチャンスもある。ピレネーから地中海にたどり着いた選手たちは、バレンシア州で最後の休息日を迎える。



9月6日(火)休息日



9月7日(水)第17ステージ → コースマップ
カステリョン〜ルセーナ/カミンス・デル・ペニャゴロサ 177.5km(山頂)


内陸のレケナから2級山岳カサ・デル・アルト(13.3km/平均3.8%)を越えて地中海に戻る。仮にスプリンターが遅れてもフィニッシュまでの挽回は可能。バレンシア州ガンディアのフィニッシュ地点では集団スプリントが繰り広げられるだろう。スプリンターに残されたチャンスはこの第18ステージと最終日の第21ステージだけだ。

その一方で、まだステージ優勝を手にしていないチームは序盤から全開でアタックを仕掛けてくるはず。協調した大きな逃げグループが形成されれば、スプリンターチームの手に負えなくなるだろう。ブエルタもいよいよ終盤戦。総合上位陣は最終決戦に向けてリカバリーに励む。




9月9日(金)第19ステージ → コースマップ
サビア〜カルプ 37km(個人TT)


2011年大会の開幕地ベニドルムをスタートする193.2kmコースにはカテゴリー山岳が5つ詰め込まれている。序盤から平均勾配5〜6%の2級山岳が断続的に4つ登場。総合逆転を狙うチームは最後の超級山岳アイタナ峠(21km/平均5.9%)を前に攻撃を仕掛けてくるだろう。

4つ目の2級山岳トゥドンス峠を通過後、アイタナ峠の長い長い登坂が始まる。標高差が1,300m近い、全長21kmの登りが第71代ブエルタ総合優勝者を導き出す。平均勾配は5.9%と特筆すべき数字ではないが、標高1,545mに向かって延々と7%前後の勾配を刻む。アイタナ峠の頂上でマイヨロホを受け取った選手が実質的な総合優勝者。長い戦いを終えた選手たちはレース後に終着地マドリードまで約500kmを陸路で移動する。



9月11日(日)第21ステージ → コースマップ
ラス・ロサス〜マドリード 104.1km


[img_assist|nid=208494|title=|desc=|link=node|align=right|width=360|height=]ツール・ド・フランスのパリ・シャンゼリゼと同様に、ブエルタも首都の目抜き通りでフィナーレを迎える。グランツール最終日恒例のパレード走行を経て、リーダーチームを先頭にマドリードに凱旋する。最後は5.8kmの周回コースを10周。2つの90度コーナーと3つの180度ターンを含むT字型の平坦サーキットコースで3週間の闘いが締めくくられる。

マドリードの観光地を巡る周回の最後は大集団でのスプリント。厳しい山岳ステージを乗り越えたスピード自慢たちが火花を散らす。



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