引き続き落車が多発し、ナーバスな状況が続いたツール第2ステージ。チャンスをつかんだ世界王者ペーター・サガンや、タイムを失ったアルベルト・コンタドール、リッチー・ポートらのコメントを紹介します。



ステージ優勝&マイヨジョーヌ獲得を果たしたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)とジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)の一騎打ちペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)とジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)の一騎打ち photo:Kei Tsujiまだ2人が逃げ続けていると思っていたから、自分が勝利したと聞いて驚いた。逃げがすでに捕まっていたことを知ったのはフィニッシュしてから。そこでようやく自分が勝ったことに気がついた。

世界チャンピオンのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が表彰台に登場世界チャンピオンのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が表彰台に登場 photo:Kei Tsujiチームの仕事ぶりは最高だった。特に最後の登りではロマン・クロイツィゲルが素晴らしいリードをしてくれたんだ。先に仕掛けたジュリアン・アラフィリップに問題なく反応して、追い抜いた。僅差だったけど、先頭でフィニッシュしたことを嬉しく思う。簡単な勝利に見えたかもしれないけど、運と展開が味方して初めて勝てるんだ。

過去2年間ステージ0勝に終わったので、久々の勝利を嬉しく思うと同時に、マイヨジョーヌ獲得にとても満足している。明日からマイヨジョーヌを守るために走ることになる。でも仮にマイヨジョーヌを失っても手元にはマイヨヴェールがある。そしてマイヨヴェールを失っても手元にはアルカンシェルがある。

でも、このツールで楽しんでバイクに乗っているかと聞かれると、決してそうとは言えない。選手たちはみな命を顧みないような危険な走りをしている。昨年も状況は良くなかったけど、今年も酷い。これは選手自身の勝手であって、口を出すことではないのかもしれないけど、何も考えずにただ突進している選手が多い。だから馬鹿げた落車が多発しているんだ。

集団内は危険な状態になっている。集団先頭で走る選手の多くがバイクの乗り方を知らない。かつては集団内にもリスペクトがあった。レースに出場し始めた2010年頃はこんな状況ではなかった。初めて出場したツールと比べると今のツールは別物になってしまった。少なくとも明日レースを走り終えることができるかどうか、誰にも分からない。

マイヨジョーヌに初めて袖を通したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)マイヨジョーヌに初めて袖を通したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:Kei Tsuji

ステージ2位に入ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)

ステージ2位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)がマイヨブラン獲得ステージ2位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)がマイヨブラン獲得 photo:Kei Tsuji雨が降り、危険な細い道が続く1日だったけど、チームメイトにサポートされて良いポジションで走り続けた。調子も良かったので全力で勝利を狙ったものの、サガンのスピードには敵わなかった。スプリントを仕掛けるのが早すぎたのかもしれない。でも全力を出し尽くしたし、悔いはない。

フィニッシュ後すぐは大きな失望感に苛まれたけど、クールダウンしているうちに気持ちが落ち着いた。これがグランツール初出場で、まだまだ学ぶべきことが多いことに気がついた。チームは2日連続でステージ2位。チームの団結力は強く、明日以降のステージで結果を出したい。

ステージ3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

自分にステージ優勝のチャンスがあると分かっていたものの、今回のモビスターの最大の目標はナイロ・キンタナの総合優勝であり、レース終盤にかけてリスクは冒さなかった。ナイロがタイムを失わないと確信したところでステージ優勝狙いに切り替えた。残り500mでマシューズの番手につけたものの、思うような距離からスプリントできなかった。マシューズを追い抜いた時にはすでにサガンやアラフィリップが大きく先行していた。

ステージ3位に入ったけど、自分がダークホースとして総合を狙うことはない。チームは総力を挙げてナイロをバックアップする。

残り450mで吸収されたヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)

残り6.5kmから独走に持ち込んだヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)残り6.5kmから独走に持ち込んだヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji自分はクライマーではないけど山岳賞ジャージ獲得は嬉しい。1日の最後に表彰台に上ることができて良かった。でも表彰台で山岳賞ジャージを受け取るために逃げていたのではない。(ステージ優勝を逃した)失望しか感じない。ツールのステージ優勝まであと少しだった。逃げ切りの可能性を感じていただけに余計に失望感が大きい。

フィニッシュの様子は事前に映像で確認していた。脚を回してハイケイデンスで上りを進んだものの、急勾配区間でパワーが出なくなった。脚に力は残っていなかった。3級山岳の頂上で振り返るとティンコフのジャージが目に入った。サガンのためにリードアウトしているのは明らかで、彼らがそこからスローダウンするわけもなく。追いつかれ、追い抜かれ、終わった。力を使い果たした。

他の200人の選手と同じことをするためにツールに出場しているわけじゃない。昨日の第1ステージで調子の良さは確認済みだったので、今日は自分を表現したいと思っていた。

逃げに乗りながらもマイヨアポワを失ったポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)

序盤から攻撃的に走り、山岳賞ジャージを守るために出せるものは全部出した。結果的に山岳ポイントは逃し、そこからステージ優勝のために逃げを続行。最後の最後まで諦めずに踏み続けた。明日から2日間はプロトンの中でリカバリーに励みたい。

2日連続で落車したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

メイン集団から脱落したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)メイン集団から脱落したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) photo:Kei Tsujiまた落車してしまった。今度は昨日とは反対側(左半身)を打ってしまった。最初にハンドルから手が外れたトニ・マルティンが自分の右側で転んで、避けきれずに自分も落車してしまった。左の膝とふくらはぎ、肩に違和感がある。両脚に落車の影響を感じる。本来のペダリングもできていない。身体的にダメージを受けている。

こんな酷い開幕を乗り切るには強いメンタルが必要だ。特に今年はトレーニングに多大な時間と努力を費やしてきた。でもロードレースに落車はつきものであり、自信を無くさず気を強く持ち続けたい。山岳に到着するまでに回復可能だと考えなければならない。戦い続けないのであれば、この場から今すぐ立ち去る。自分はこれからも戦い続ける。

パンクで1分45秒ものタイムを失ったリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)

カルーゾのアシストを受けてフィニッシュを目指すリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)カルーゾのアシストを受けてフィニッシュを目指すリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji集団の先頭から2番目で走っていた時、完璧なポジションで走っていたのに何かを踏んでリアタイヤがパンクした。大きな災難だ。でもどうすることも出来なかった。一瞬の出来事だった。ブルグハートが戻ってきてアシストしてくれたけど、すでに集団は遥か先を走っていた。

(昨年ジロを思い出して)2分のペナルティーを受けてでも他チームからホイールを受け取ったほうが早いんじゃないかとも思った。まだツールは始まったばかりだけど、苦しい状況に追い込まれてしまった。何事もなかったかのように振る舞いながら山岳ステージを待ちたい。

text:Kei Tsuji

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