国内最高峰のステージレースことツアー・オブ・ジャパンより、同大会を走ったプロバイクを3回に分けて紹介。Vol.1では新城幸也のメリダやポルセイエディゴラコールのミュールなど、5チームのマシンを紹介していきます。
ランプレ・メリダ【メリダ SCULTRA TEAM、REACTO TEAM E】
新城幸也(ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO TEAM E photo:Makoto.AYANO
ランプレ・メリダのバイクはもちろん、タイトルスポンサーの1つであるメリダだ。エアロバイクながら稼働率が高い「REACTO TEAM E」と、フルモデルチェンジによってエアロ性能と運動性能を強化した「SCULTRA TEAM」の新型という2モデル体制を敷く。今回は、新城幸也の伊豆ステージ優勝に貢献したウィニングバイクにフォーカスする。
新城が使用するのは、昨シーズン仕様のカラーリングのREACTO。メインコンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、ハンドルドロップ部にはスプリンタースイッチを装備。クランク周りはローターで固められ、Power2Maxの出力センサーが取り付けられた3D+クランクに、真円チェーンリングnoQのエアロタイプを組み合わせる。
ステム一体型のFSA PLASMAハンドル
ホイールはフルクラム。SPEED 40TやRacing Speed XLRが混在する
クランク周りはローターで固められる。新城は真円チェーンリングのnoQをチョイス
ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO TEAM E
ホイールはフルクラムで、伊豆や東京などでは40mmハイトの新型モデル「SPEED 40T」を使用したほか、50mmハイトの「Racing Speed XLR」を使用したステージも。組み合わせるタイヤは、UCIワールドツアーでは使用率No.1を誇るコンチネンタルCOMPETITION PROLTDとしている。
ハンドルはステム一体式のFSA PLASMA。ちなみに、他ブランドではあるものの、ユーロップカーに在籍していた時からステム一体式ハンドルを好んで使用している。プロロゴのサドルは、セミラウンド座面を持つNAGO EVOというチョイスだ。
アヴァンティ・アイソウェイスポーツ【アヴァンティ CORSA SL】
マーク・オブリン(オーストラリア、アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)のアヴァンティ CORSA SL photo:Yuya.Yamamoto
ツアー・オブ・ジャパン常連チームであり、今大会でも全8ステージ中3勝を達成したアヴァンティ・アイソウェイスポーツ。バイクブランドはニュージランドを拠点とするアヴァンティで、今大会に出場した全メンバーが軽量モデルの「CORSA SL」を駆った。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で統一。パワーメーターは、パイオニアのペダリングモニターとしている。ホイールはシマノWH-9000シリーズで、東京ステージでは35mmと50mmという2種類のハイトをライダーによって使い分けた。タイヤにはケンダを組み合わせている。
マーブル柄のサドルは、マーク・オブリン(オーストラリア)によるカスタム品
ハンドル/ステムはPROのVIBEシリーズ
シートポストはアヴァンティのオリジナルモデル。ゼッケンプレートはタイラップだけで固定されている
ドリンクや補給食は、タイトルスポンサーでもあるアイソウェイスポーツの商品を採用
ホイールはシマノWH-9000シリーズ。30mmと50mmの2種類のハイトを使い分ける
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2。パイオニアのパワーメーターを組み合わせる
ハンドルとステムはPROで、剛性を追求した「VIBE」シリーズを採用。シートポストはアヴァンティのオリジナル品としている。サドルはライダーの好みに任せており、マーク・オブリン(オーストラリア)はマーブル柄の見慣れないサドルを使用。本人をその正体を聞いてみると「ベースはスペシャライズド。自分でクッションを剥がして、薄い表皮だけを張ったカスタマイズ仕様で、これがとても快適なんだ」と説明してくれた。
タブリーズ・シャハルダリ【ミュール DB2】
ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン、タブリーズ・シャハルダリ)のミュール DB2 photo:Yuya.Yamamoto
今大会でも有力チームとして個人総合優勝争いを演じたイランチームのタブリーズ・シャハルダリ。「キング」こと三浦恭資氏がイランナショナルチームのコーチを務めている縁から、三浦氏のバイクブランド「MUUR(ミュール)」を使用する。過去2大会の覇者であり、今大会も総合3位に入ったミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ)を含め、全ライダーがエアロ系モデル「DB2」を駆る。
メインコンポーネントは機械式のシマノDURA-ACE。写真のポルセイエディゴラコールのバイクには、ローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」の限定カラーや、クランク式パワーメーター「SRM」のブランド創業25周年記念に発売されたレッドアルマイトのTUNEモデルとディスプレイユニットといった、レアなアイテムが取り付けられていた。そして、何故かケーブルはゴールドやシルバーといった派手なカラーのものとしている。
FSAのハンドル/ステムは、耐久性や強度を重視して廉価帯のアルミ製としている
アルマイトが褪色するほど使い込まれたSRMのディスプレイユニット
何故かケーブルは派手なカラーとされている
左右のアームを束ねるゴムがなくなってしまったのか、糸の様なもので縛って固定力を保持
タイヤは耐久性に優れるコンチネンタルGATORSKIN
SRMのTUNEモデルやローターQ-Ringsを組み合わせたクランク周り
ホイールはカンパニョーロのBORA ULTRA TWO(旧型)。組み合わせるタイヤはコンチネンタルで、プロチーム御用達のCOMPETITIONではなく、タブリーズは数年前から耐パンク性に優れる「GATORSKIN」で揃えている。ハンドルやステムはFSAで、重量よりも耐久性を重視し、アルミ製の廉価帯モデルが多く採用されている。サドルはセライタリアなど複数のブランドが混在していた。
ポルセイエディゴラコールのバイクに取り付けられていたカブト製ボトルケージは、左右のアームを束ねるゴムがなくなってしまったのか、糸の様なもので縛って固定力を保持。色あせたSRMのディスプレイユニットにしても、機材を大切にして、使えなくなるまで使い倒そうという様な気概があるようだ。
ピシュガマンジャイアント 【ジャイアント TCR ADVANCED SL】
アミール・コラドゥーズハグ(イラン)のジャイアント TCR ADVANCED SL photo:Yuya.Yamamoto
簡素で無駄のないゼッケンプレートの取り付け方
フルモデルチェンジを果たしたTCR ADVANCED SLだが、ピシュガマンジャイアントが乗るのは旧型
タブリーズ・シャハルダリと同じイランチームで、有力チームとして個人総合優勝争いに加わったピシュガマンジャイアント。バイクはジャイアントのオールラウンド系フラッグシップ「TCR ADVANCED SL」だが、モデルチェンジ前の旧型を使用する。それも、目立った傷がなく新品に近い。
コンポーネントはバイクによって異なり、機械式変速のスラムRED22やシマノDURA-ACEが混在。アミール・コラドゥーズハグ(イラン)のバイクは、RED22をメインとしながらもブレーキがシマノ105となっていた。また、パワーメーターの使用率は低めであった。
コラドゥーズハグのバイクは、スラムREDがメインコンポーネントながら、ブレーキはシマノ105としている
ガーミンのサイクルコンピューターにはストラップを装着して脱落を防止
ホイールはシマノWH-9000-C50-TUが標準装備。しかし、装着されるタイヤは各々異なる
ペダルはルックKeOで統一。写真はアルベルト・コンタドールがTDFを制した際の限定モデル
東京ステージでは、全ライダーが50mmハイトのシマノWH-9000-C50-TUを統一して使用。タイヤは、コンチネンタルCOMPETITIONやヴィットリア新型CORSAなど、ホイールによってまちまち。このようにバイクごとにパーツアッセンブルが大きく異なるが、それでもペダルだけはルックKeOで統一されている。
マトリックスパワータグ【フォーカス IZALCO MAX】
ホセ・ビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグのフォーカス IZALCO MAX photo:Yuya.Yamamoto
マトリックスパワータグのバイクは、ジャーマンブランドのフォーカス。昨シーズンと同じく、全体的に細身な設計が特徴的な軽量オールラウンドモデル「IZALCO MAX」を使用する。フレームと同じくパーツアッセンブルも、昨年とほとんど変わらない。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2を採用。ホセ・ビセンテ・トリビオ(スペイン)は、リアディレーラーのプーリーケージを、カーボンドライジャパンのCDJビッグプーリーキットに換装し、フリクションロスの軽減を図っていた。パワーメーターは、パイオニアのペダリングモニターで、右側センサーのカバーはチームカラーの黄緑としている。
スペアバイクには、使い込まれた古いDURA-ACEペダルが取り付けられていた
マヴィックより登場したロープロファイルの新型ホイール「KSYRIUM PRO CARBON」が投入された
カーボンドライジャパンのCDJビッグプーリーキットに換装し、フリクションロスの軽減を図った
パワーメーターはパイオニアのペダリングモニター。カバーがチームカラーの黄緑に変更されている
ホイール及びタイヤはマヴィックのサポートを受ける。今大会前より、ロープロファイルの新型モデル「KSYRIUM PRO CARBON」が投入されているが、取材を行った東京ステージではプロ御用達の「COSMIC CARBON ULTIMATE」の使用率が高く、アイラン・フェルナンデス(スペイン)は80mmハイトの「CXR ULTIMATE 80」をチョイスしていた。
ハンドル、ステム、シートポストはチネリで統一され、サドルはサンマルコの各モデルをライダーの好みに応じて使い分ける。ボトルケージはカブト製。ペダルはシマノSPD-SLをメインに、マヴィックZXELLIUMが混在していた。
text&photo:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO
ランプレ・メリダ【メリダ SCULTRA TEAM、REACTO TEAM E】

ランプレ・メリダのバイクはもちろん、タイトルスポンサーの1つであるメリダだ。エアロバイクながら稼働率が高い「REACTO TEAM E」と、フルモデルチェンジによってエアロ性能と運動性能を強化した「SCULTRA TEAM」の新型という2モデル体制を敷く。今回は、新城幸也の伊豆ステージ優勝に貢献したウィニングバイクにフォーカスする。
新城が使用するのは、昨シーズン仕様のカラーリングのREACTO。メインコンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、ハンドルドロップ部にはスプリンタースイッチを装備。クランク周りはローターで固められ、Power2Maxの出力センサーが取り付けられた3D+クランクに、真円チェーンリングnoQのエアロタイプを組み合わせる。




ホイールはフルクラムで、伊豆や東京などでは40mmハイトの新型モデル「SPEED 40T」を使用したほか、50mmハイトの「Racing Speed XLR」を使用したステージも。組み合わせるタイヤは、UCIワールドツアーでは使用率No.1を誇るコンチネンタルCOMPETITION PROLTDとしている。
ハンドルはステム一体式のFSA PLASMA。ちなみに、他ブランドではあるものの、ユーロップカーに在籍していた時からステム一体式ハンドルを好んで使用している。プロロゴのサドルは、セミラウンド座面を持つNAGO EVOというチョイスだ。
アヴァンティ・アイソウェイスポーツ【アヴァンティ CORSA SL】

ツアー・オブ・ジャパン常連チームであり、今大会でも全8ステージ中3勝を達成したアヴァンティ・アイソウェイスポーツ。バイクブランドはニュージランドを拠点とするアヴァンティで、今大会に出場した全メンバーが軽量モデルの「CORSA SL」を駆った。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で統一。パワーメーターは、パイオニアのペダリングモニターとしている。ホイールはシマノWH-9000シリーズで、東京ステージでは35mmと50mmという2種類のハイトをライダーによって使い分けた。タイヤにはケンダを組み合わせている。






ハンドルとステムはPROで、剛性を追求した「VIBE」シリーズを採用。シートポストはアヴァンティのオリジナル品としている。サドルはライダーの好みに任せており、マーク・オブリン(オーストラリア)はマーブル柄の見慣れないサドルを使用。本人をその正体を聞いてみると「ベースはスペシャライズド。自分でクッションを剥がして、薄い表皮だけを張ったカスタマイズ仕様で、これがとても快適なんだ」と説明してくれた。
タブリーズ・シャハルダリ【ミュール DB2】

今大会でも有力チームとして個人総合優勝争いを演じたイランチームのタブリーズ・シャハルダリ。「キング」こと三浦恭資氏がイランナショナルチームのコーチを務めている縁から、三浦氏のバイクブランド「MUUR(ミュール)」を使用する。過去2大会の覇者であり、今大会も総合3位に入ったミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ)を含め、全ライダーがエアロ系モデル「DB2」を駆る。
メインコンポーネントは機械式のシマノDURA-ACE。写真のポルセイエディゴラコールのバイクには、ローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」の限定カラーや、クランク式パワーメーター「SRM」のブランド創業25周年記念に発売されたレッドアルマイトのTUNEモデルとディスプレイユニットといった、レアなアイテムが取り付けられていた。そして、何故かケーブルはゴールドやシルバーといった派手なカラーのものとしている。






ホイールはカンパニョーロのBORA ULTRA TWO(旧型)。組み合わせるタイヤはコンチネンタルで、プロチーム御用達のCOMPETITIONではなく、タブリーズは数年前から耐パンク性に優れる「GATORSKIN」で揃えている。ハンドルやステムはFSAで、重量よりも耐久性を重視し、アルミ製の廉価帯モデルが多く採用されている。サドルはセライタリアなど複数のブランドが混在していた。
ポルセイエディゴラコールのバイクに取り付けられていたカブト製ボトルケージは、左右のアームを束ねるゴムがなくなってしまったのか、糸の様なもので縛って固定力を保持。色あせたSRMのディスプレイユニットにしても、機材を大切にして、使えなくなるまで使い倒そうという様な気概があるようだ。
ピシュガマンジャイアント 【ジャイアント TCR ADVANCED SL】



タブリーズ・シャハルダリと同じイランチームで、有力チームとして個人総合優勝争いに加わったピシュガマンジャイアント。バイクはジャイアントのオールラウンド系フラッグシップ「TCR ADVANCED SL」だが、モデルチェンジ前の旧型を使用する。それも、目立った傷がなく新品に近い。
コンポーネントはバイクによって異なり、機械式変速のスラムRED22やシマノDURA-ACEが混在。アミール・コラドゥーズハグ(イラン)のバイクは、RED22をメインとしながらもブレーキがシマノ105となっていた。また、パワーメーターの使用率は低めであった。




東京ステージでは、全ライダーが50mmハイトのシマノWH-9000-C50-TUを統一して使用。タイヤは、コンチネンタルCOMPETITIONやヴィットリア新型CORSAなど、ホイールによってまちまち。このようにバイクごとにパーツアッセンブルが大きく異なるが、それでもペダルだけはルックKeOで統一されている。
マトリックスパワータグ【フォーカス IZALCO MAX】

マトリックスパワータグのバイクは、ジャーマンブランドのフォーカス。昨シーズンと同じく、全体的に細身な設計が特徴的な軽量オールラウンドモデル「IZALCO MAX」を使用する。フレームと同じくパーツアッセンブルも、昨年とほとんど変わらない。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2を採用。ホセ・ビセンテ・トリビオ(スペイン)は、リアディレーラーのプーリーケージを、カーボンドライジャパンのCDJビッグプーリーキットに換装し、フリクションロスの軽減を図っていた。パワーメーターは、パイオニアのペダリングモニターで、右側センサーのカバーはチームカラーの黄緑としている。




ホイール及びタイヤはマヴィックのサポートを受ける。今大会前より、ロープロファイルの新型モデル「KSYRIUM PRO CARBON」が投入されているが、取材を行った東京ステージではプロ御用達の「COSMIC CARBON ULTIMATE」の使用率が高く、アイラン・フェルナンデス(スペイン)は80mmハイトの「CXR ULTIMATE 80」をチョイスしていた。
ハンドル、ステム、シートポストはチネリで統一され、サドルはサンマルコの各モデルをライダーの好みに応じて使い分ける。ボトルケージはカブト製。ペダルはシマノSPD-SLをメインに、マヴィックZXELLIUMが混在していた。
text&photo:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO
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