ツアー・オブ・ジャパン3日目の美濃ステージ。アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)が集団スプリントを制して優勝。前日の京都ステージで手放したリーダージャージを再び取り戻した。



うだつの上がる街並みをスタートうだつの上がる街並みをスタート photo:Hideaki.Takagi
スタート前、ファンとの記念撮影に応じる窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)スタート前、ファンとの記念撮影に応じる窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Satoru.KatoNIPPOヴィーニファンティーニからは、ジロ・デ・イタリアを完走した山本元喜の号外が配られたNIPPOヴィーニファンティーニからは、ジロ・デ・イタリアを完走した山本元喜の号外が配られた photo:Satoru.Kato


ツアー・オブ・ジャパン3日目は、今年9回目の開催となる美濃ステージ。長良川沿いに設定された1周21.3kmのコースは、山岳賞が設定されたおよそ4kmの登りを除けば平坦基調であることから、毎年スプリンターステージとなる。

この日の天気は前日とうって変わって朝から青空が広がる。日中の気温は30℃前後まで上昇し、7月中旬並みの気候となった。この日も平日の火曜日にも関わらず、公式発表で2万6千人の観客が集まった。

スタート前にくつろぐランプレメリダのメンバースタート前にくつろぐランプレメリダのメンバー photo:Satoru.Kato4賞ジャージが並ぶ4賞ジャージが並ぶ photo:Hideaki.Takagi


江戸時代初期に建造され、文化財にも指定されている「うだつの上がる街並み」をパレードスタート。周回コースに入るとすぐに3人の逃げが容認される。

メンバーは、ガイ・カルマ(アタッキ・チームグスト)、サム・クローム(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)、ウェズリー・サルツバーガー(キナンサイクリングチーム)。タイム差は1分以上開き、個人総合順位で16秒差のサルツバーガーがバーチャルリーダー、1分4秒差のクロームがバーチャル2位という状態でレースは進行する。

1周目 メイン集団はNIPPOヴィーニファンティーニがコントロール 1周目 メイン集団はNIPPOヴィーニファンティーニがコントロール  photo:Satoru.Katoリアルスタート直後に飛び出した3人リアルスタート直後に飛び出した3人 photo:Satoru.Kato


メイン集団は、リーダージャージのピエールパオロ・デネグリを擁するNIPPOヴィーニファンティーニがコントロール。タイム差は最大で3分30秒まで開く。レース中盤、差が1分以内に詰まりそうになったが、メイン集団はペースダウンして差を広げる場面も。

一方、逃げ集団も泳がされている事を承知しているようで、がむしゃらに踏み続けるのではなく、メイン集団の出方をうかがいながら走っている様子だ。

長良川にかかる美濃橋を背景に進む集団長良川にかかる美濃橋を背景に進む集団 photo:Hideaki.Takagi

地元の子供達が沿道で応援地元の子供達が沿道で応援 photo:Satoru.Katoチームメイトに続いて登り区間を行くリーダージャージのピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)チームメイトに続いて登り区間を行くリーダージャージのピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Satoru.Kato


レースが後半に入ると、スプリンターで勝負したいランプレ・メリダも加勢して集団をペースアップする。最終周回6周目の残り7kmで逃げを吸収する。山岳賞ポイントを過ぎるとゴールまで下り基調となる事から、登り区間でゴール勝負に向けた位置取り争いが各チーム間で激化。宇都宮ブリッツェン、ブリヂストンアンカー、日本ナショナルチームなどが集団前方に上がってくる。

ラスト12キロ、逃げ続ける3人の背後にメイン集団が迫るラスト12キロ、逃げ続ける3人の背後にメイン集団が迫る photo:Hideaki.Takagiラスト7キロ、3人を吸収後は阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が引くラスト7キロ、3人を吸収後は阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が引く photo:Hideaki.Takagi


ラスト5キロ、最後のKOMはトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)が先頭ラスト5キロ、最後のKOMはトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)が先頭 photo:Hideaki.Takagiラスト4キロ、KOMからフィニッシュへ向けて下るラスト4キロ、KOMからフィニッシュへ向けて下る photo:Hideaki.Takagi


スプリント体制に入った集団は長良川沿いのストレートに突入。残り200mからジョン・アベラストゥリイザガ(チーム右京)が前に出てくる。その後ろにアンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)、さらにその後ろにリーダージャージのデネグリがつける。残り100mでジャコッポがアベラストゥリイザガをかわし、そのまま先頭でゴール。堺ステージと合わせて今大会2勝目を挙げ、リーダージャージも奪回した。

集団スプリントを制したアンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)集団スプリントを制したアンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) photo:Satoru.Kato
ジャコッポは「強力なスプリンターが多い中で勝てたことが最高に嬉しい。美濃のコースはよく知っているコースなので、今日の展開は予想通りだった。明日は京都ステージのようにハードなレースになるだろう」と語った。

アヴァンティ・アイソウェイスポーツの関係者によれば、ジャコッポは登りもこなせるスプリンターとのことだ。今後は登りが厳しいコースが続くので、総合優勝狙いや登りに強いチームや選手が勝負に出てくることが予想される。1分以内のタイム差の中に52人がひしめく状態の中で、ジャコッポが真価を見せるのか?。 これから激しくなる総合優勝争いに注目したい。

美濃和紙のはっぴを来たアンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)美濃和紙のはっぴを来たアンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) photo:Satoru.Kato第3ステージ終了時点での各賞ジャージ第3ステージ終了時点での各賞ジャージ photo:Satoru.Kato


<結果>
■第3ステージ 美濃(139.4㎞)
1位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 3時間24分00秒 40.9km/h
2位 ジョン・アベラストゥリイザガ(チーム右京) +0秒
3位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
4位 カルロスエドゥアルド・アルサテ(ユナイテッドヘルスケア)
5位 ロビー・ハッカー(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)
6位 マルコ・クンプ(ランプレ・メリダ)
7位 窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)
8位 黒枝成(愛三工業レーシング)
10位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)

■個人総合順位 第3ステージ終了時点
1位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 6時間16分17秒
2位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティー二) +05秒
3位 ジョン・アベラストゥリイザガ(チーム右京) +07秒
4位 窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ) +10秒
5位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +12秒
6位 ロビー・ハッカー(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) +14秒
7位 クリス・ハミルトン(アヴァンティ アイソウェイスポーツ)
8位 オスカル・プジョル(チーム右京)
9位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) +15秒
10位 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(ユナイテッドヘルスケア)

■個人総合ポイント順位
1位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 47p
2位 ジョン・アベラストゥリイザガ(チーム右京) 40p
3位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 36p

■山岳賞総合順位 
1位 ベナム・マレキ(タブリーズ・シャルハルダリ) 10p
2位 サム・クローム(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 8p
3位 ガイ・カルマ(アタッキ・チームグスト) 6p

■チーム総合順位
1位 アヴァンティ アイソウェイスポーツ 18時間49分29秒
2位 チーム右京 +05秒
3位 宇都宮ブリッツェン


photo&text:Satoru.Kato
photo:Hideaki.Takagi