ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝に向けた最後の争いの場となった個人タイムトライアル。ローハン・デニスが最速で駆け抜けたものの、首位ジュリアン・アラフィリップも好走。リードを切り崩しながらもリーダージャージを守りきった。



トップタイムで駆け抜けたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)トップタイムで駆け抜けたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:www.amgentourofcalifornia.com


スタート台を駆け下りるジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)スタート台を駆け下りるジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.com最終走者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)最終走者ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.comステージ2位のアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)ステージ2位のアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング) photo:www.amgentourofcalifornia.com一時暫定首位に立ってテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)はステージ3位一時暫定首位に立ってテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)はステージ3位 photo:www.amgentourofcalifornia.com世界王者ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)はステージ6位世界王者ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)はステージ6位 photo:www.amgentourofcalifornia.comノーソックスで走るブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス)ノーソックスで走るブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス) photo:www.amgentourofcalifornia.comツアー・オブ・カリフォルニア第6ステージは、総合順位を掛けた最後の争いとなる個人タイムトライアル。州都サクラメントの東側にある街フォルサム郊外を駆け抜ける20.3kmのコースがその舞台に選ばれた。

フォルサム湖畔を往復する20kmコースは前半が緩やかな登り基調で、後半は微妙な下り基調。片道で60mほどの標高差があるものの基本的にはフラットコースであり、テクニカルなコーナーも数少ない。純粋な独走力が問われるコースに向けて、総合成績下位から全139名の選手達が駆け出した。

オスカル・ガット(イタリア、ティンコフ)やオーウェン・ドール(イギリス、チームウィギンス)らが次々とトップタイムを更新していく中、アルカンシエルを着るヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)が25分00秒をマーク。しかし2日前の落車で思うような走りができず、次いでテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)が24分36秒で飛び込み一躍ホットシートを奪った。

終盤にスタートした総合上位陣の中で好走したのは、ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、カチューシャ)やローソン・クラドック(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)。両名ともフィニーのタイムには届かなかったものの、アメリカナショナルTT王者のアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)が好走。フィニーを3秒上回ってみせた。

目まぐるしくホットシートが入れ替わる中、次いで注目を浴びたのは1分01秒遅れの総合7位につける、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)。中間計測こそタランスキーの後塵を拝したものの、「今までのキャリア中でもベストの一つに入るタイムトライアルができたと思う」と振り返る通り、後半にギアを切り替えてペースアップ。結果的にタランスキーを17秒上回る圧倒的な追い上げでフィニッシュし、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)の結果によっては総合逆転の可能性も匂わせてみせる。

しかし今大会で勢いづくアラフィリップは得意としないコースにも関わらずロスを最小限に留め、結果的にデニスから45秒遅れのステージ8位でゴール。これまで稼いでいたリードを切り崩しながらも16秒差でデニスを押さえこみ総合首位を守った。

「リーダージャージを守るために全力で攻めた。20kmを全開で走ることは全く持って簡単じゃないが、結果的にまだ総合首位に立っている。素晴らしい結果だと思う。強力なチームメイトが僕をサポートしてくれるので、明日のステージは楽観的に捉えているよ」と安堵を表現するアラフィリップ。昨年ボーナスタイム差で総合優勝を逃した悔しさを晴らす、総合優勝への王手を掛けることに成功した。

最速タイムをマークしながら首位に届かなかったデニスだが、この日の結果を「良いレースだった」と振り返っている。「今日は時間が経つにつれて風が強くなるコンディションで、総合勢は間違いなく風の影響を受けていた。小柄なアラフィリップにとってはその影響が大きかっただろう。結果的に秒差はあまり大きくつかなかったが、目標の一つであるステージ優勝を収めることができて良かった。リーダージャージを奪うことはできなかったけれど、良いレースだった。

今日は今までのキャリア中でもベストの一つに入るタイムトライアルだったと思う。パワーデータを見ても好記録が出ていたし、6日間のステージを走ってからの記録であることも嬉しい。最近はあまり多くレースを消化していなかったが、自分の辿っててた筋道は正しかったことも証明できた」



喜びを噛み締めるジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)喜びを噛み締めるジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.com


スタート前のミーティングを行うハーゲンスベルマン・スーパーミント。白いヘルメットが與那嶺恵理スタート前のミーティングを行うハーゲンスベルマン・スーパーミント。白いヘルメットが與那嶺恵理 またこの日、同時開催中の女子レースはチームタイムトライアルを迎え、與那嶺恵理が所属するハーゲンスベルマン・スーパーミントは優勝チームから2分5秒遅れの13位に。以下に與那嶺のコメントを紹介する。

「本日はチーム総合を落とさず、個人の成績もキープする。このような作戦で臨みました。しかし、チームとして初めて臨むチームタイムトライアルにおいて経験が全く無いことが、大きく成績に影響し、13位という大変残念な結果になりました。

この順位は武井コーチも私もある程度は想定していましたがタイムギャップが大きくなってしまったので総合でのUCIポイント獲得が難しい状況です。明日の第3ステージはローリングセクションが多く、厳しいステージです。当初の作戦通り、思い切って逃げを打ち、積極的に順位を狙って攻めていきます。」



ツアー・オブ・カリフォルニア2016第6ステージ結果
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)
3位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)
4位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、ジャイアント・アルペシン)
5位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
6位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)
7位 ローソン・クラドック(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)
8位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
9位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、カチューシャ)
10位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
24’16”
+17”
+20”
+33”
+43”
+44”

+45”
+49”
+52”


個人総合成績
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)
5位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
6位 ローソン・クラドック(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)
7位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
8位 ローレンス・テンダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ジョージ・ベネット(ニュージランド、ロットNLユンボ)
10位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、カチューシャ)
24h26’46”
+16”
+38”
+47”
+1’08””
+1’17”

+1’24”
+1’45”
+1’48”


ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

山岳賞
1位 エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) 

ヤングライダー賞
1位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)

チーム総合成績
1位 BMCレーシング

text:So.Isobe
photo:www.amgentourofcalifornia.com