「全米最大級のステージレース」ツアー・オブ・カリフォルニアが開幕。圧倒的なスプリントを披露したペーター・サガンが大会通算14勝目を飾り、総合リーダーの座も同時に獲得した。



サンディエゴの沿岸部をスタートしていくサンディエゴの沿岸部をスタートしていく photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes


コースに組み込まれた最大勾配18%の「ローレルストリート・ヒル」コースに組み込まれた最大勾配18%の「ローレルストリート・ヒル」 photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes1級山岳を先頭通過し山岳賞を手に入れたオスカル・クラーク(アメリカ、ホロウェスコ)1級山岳を先頭通過し山岳賞を手に入れたオスカル・クラーク(アメリカ、ホロウェスコ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesメイン集団を牽引するカチューシャメイン集団を牽引するカチューシャ photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes2006年に初回大会が開催され、今年11回目を迎える北米最大級のステージレース、ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)が開幕した。ジロ・デ・イタリアと同時期ながら例年多くのUCIワールドツアーチームが参加し、その多くがエース級の選手を参加させることで毎年注目を集めているレースだ。

チームを率いて走るブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス)チームを率いて走るブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes太平洋に面したサンディエゴの沿岸部を走る太平洋に面したサンディエゴの沿岸部を走る photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesその名の通り日本よりも広大な土地面積を誇るカリフォルニア州を駆け抜ける本レースの会期は8日間。昨年まではサンフランシスコからロサンゼルスまで南下するコースが取られていたが、今年は逆に西海岸を北上するレイアウトが採用されている。

ステージは昨年から難易度を下げており、頂上ゴールは3日目に設けられた超級山岳ジブラルタルロード(登坂距離12km、平均勾配8%)のみと、総合系以外の選手にも大会制覇のチャンスがある。

昨年大会で2勝、超級山岳でも遅れを最小限に留め総合優勝したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)を筆頭に、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)と、今季既に8勝を飾っているアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)、事故からレースに戻ってきたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)ら、今年も多くのトップスプリンターがカリフォルニアに集った。

圧倒的な爆発力で大会通算14勝目を掴んだペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 圧倒的な爆発力で大会通算14勝目を掴んだペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)  photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesカリフォルニア州第2の都市であるサンディエゴを発着する初日のコースは175km。中盤には1級山岳が用意されているものの、ゴールまでの距離は長くスプリンターステージであることには変わりが無い。レースは昨年までチームスカイに所属していたダニー・ペイト(アメリカ、ラリーサイクリング)ら7名が飛び出したことで落ち着きを見せた。

コンチネンタルチーム主導の逃げメンバーを追いかけたのは、開幕スプリントでの勝利を狙うカチューシャ。その後ろにディメンションデータやエティックス・クイックステップらが陣取る形でゴールまでの距離を減らしていく。

中盤の1級山岳では逃げグループのオスカル・クラーク(アメリカ、ホロウェスコ)が獲り、ゴールまでの長い平坦区間に入る頃にはタイム差は1分ほどに抑え込まれる。「定石通りのスプリントステージ」にクラークは最後まで抵抗したものの、スプリントに向けて勢いづく集団を堰き止めることはできず、残り4kmを切って吸収された。

吸収と同時にロットNLユンボが主導権を握ったものの、ティンコフやカチューシャ、エティックスが隊列を組んでロットトレインを打破。アメリカらしいワイドな道幅いっぱいに広がった集団から、ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)の加速を皮切りにスプリントが始まった。

先頭を突き進むフルーネヴェーヘンの番手に付けたのはカリフォルニアと相性の良いワウテル・ウィッパート(オランダ、キャノンデール)。しかし少し遅れてサガンが飛びつくと、スプリント中の2人を段違いのスピードで抜き去りフィニッシュ。昨年の総合勝者が大会通算14勝目となるステージ優勝と、総合リーダーを手中に収めた。

「良いスプリントを切ることができたが、これは同時にチームとしての勝利だ。今回ティンコフは若いメンバーで臨んでいるが、彼らは作戦をよく理解して忠実に実行してくれた。最後はポジション争いが熾烈になると考えていたので、あまり早いタイミングでは前に出たくなかった」と語るサガン。翌日はゴール手前に小さな丘を幾つか越えるスプリントステージで、サガンが2勝目を飾る可能性が高いと目されている。



各賞ジャージが表彰台に並ぶ各賞ジャージが表彰台に並ぶ photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes


ツアー・オブ・カリフォルニア2016第1ステージ
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)                 4h20’41”
2位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、キャノンデール)
3位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)
4位 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
5位 マーティン・フェルショール(オランダ、ノボノルディスク)
6位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)
7位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
8位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
9位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
10位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)

個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)    
2位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、キャノンデール)
3位 マイケル・シーハン(アメリカ、ジェリーベリーp/bマキシス)
4位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)
5位 ダニエル・イートン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
6位 ヨーナス・ヘンッタラ(フィンランド、)
7位 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
8位 マーティン・フェルショール(オランダ、ノボノルディスク)
9位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)
10位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
4h20’31”
+04”

+06”
+07”
+08”
+10”


ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 

山岳賞
1位 オスカル・クラーク(アメリカ、ホロウェスコ)

ヤングライダー賞
1位 ディラン・グローネウェーゲン(オランダ、ロットNLユンボ)

チーム総合成績
1位 ユナイテッドヘルスケア

text:So.Isobe
photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes