スペインで6日間のステージレース、ブエルタ・アル・パイスバスコ(バスク一周レース)が開幕。最終盤に飛び出したルイスレオン・サンチェスとダニエル・ナバーロがタイム差0秒で逃げ切り、先着したサンチェスが勝利を飾った。



バスクの山岳地方を走るメイン集団バスクの山岳地方を走るメイン集団 photo:Bettini


序盤から逃げたマルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)ら3名序盤から逃げたマルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)ら3名 photo:Bettini集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)ら集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)ら photo:Bettini集団内で距離をこなすバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)集団内で距離をこなすバウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:Bettiniフランドル地方が熱狂に包まれる一方、スペイン・バスク地方では6日間のステージレース、ブエルタ・アル・パイスバスコ(バスク一周レース)が開幕した。

独走を続けるダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)独走を続けるダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) photo:Bettini集団を背にルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が先着する集団を背にルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が先着する photo:Bettini1924年に第1回大会が開催された歴史あるステージレースであり、1936年から1968年までの中断区間を挟んで今年で開催56回目を迎える。舞台となるバスク州は17あるスペインの自治州の中でも伝統的に多くのロードレーサー、特にクライマーを輩出する地域。その山がちな地形を利用した山岳コースが多く設定されていることが特徴で、例年1分以内の僅差で総合が決まっているため、僅かな遅れも許されない緊張感あるステージが続く。

総合争いを賑やかすのは、前年覇者のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)を筆頭に、アルベルト・コンタドール(スペイン)とロマン・クロイツィゲル(チェコ)のティンコフコンビ、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、クリテリウム・アンテルナシオナルで優勝したティボー・ピノ(フランス、FDJ)、セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)という面々。

第1ステージの舞台はバスク州最大の都市ビルバオからほど近いエチャバリアをスタートし、マルキナへと東進する144kmの中級山岳コース。スタート直後から3級→3級→2級→2級→3級→3級→1級→2級と計8つの山岳ポイントがゴール直前まで続き、最後のKOMからゴールまでは8kmのダウンヒルが続くレイアウトだ。1級山岳を除いていずれも標高は350mほどと難易度は高くないが、この山岳路で活発なアタック合戦が繰り広げられることになる。

リーダージャージを着用したルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)リーダージャージを着用したルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) photo:Bettiniマルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)とヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルーラル)、そしてニコラ・エデ(フランス、コフィディス)という3名の逃げによって幕開けたレース。アスタナやオリカ・グリーンエッジがコントロールする集団に対し、3名は山岳ポイントを争いつつ先を急いだ。

ゴールまで35kmを切ると先頭からウィスが遅れ、ゴール2つ手前の1級山岳で残る2名もキャッチされる。するとダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)が集団から抜け出し、セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ)、ピエール・ローラン(フランス、キャノンデール)、フィリップ・ダイグナン(アイルランド、チームスカイ)、イェーレ・ヴァネンデール(ベルギー、ロット・ソウダル)が追走を試みたものの、カタルドには届かぬまま集団に吸収された。

しかし残り10km地点、ハイペースでテンポを刻む集団はカタルドをキャッチする。するとカウンターでダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)がアタック。数秒のアドバンテージを得て、ゴールへと至るダウンヒル区間へと突入した。

ハイスピードかつテクニカルな下りを攻め続けるナバーロ。追走を諦めない集団からは下りを得意とするルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)がアタックし、一瞬の間にナバーロへと合流してみせた。

コースアウト寸前でコーナーを攻め続ける先頭2名。わずか数秒差で続く集団だったが、組織的に追走を組めるチームは現れないままゴールまでの距離を減らしていく。そして残り200m、集団の目と鼻の先で2名がスプリントを開始した。

ほぼ同時にスプリントが始まった集団からはサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が伸びたものの、そのわずか数メートル前ではサンチェスがナバーロに先着する。タイム差0秒の劇的な逃げ切りが決まった。

「今日の最後のダウンヒルは知っている場所だったし、動きが出るだろうとも思っていた。集団が素晴らしいアタックを見せたカタルドに追いついてからは集団前方に位置して、絶好のタイミングをずっと待っていたんだ。最終盤は決して楽ではなく、ナバーロと二人で全開だった。集団が距離を詰めてきているのを把握していたのでラスト1kmで加速、そしてスプリントでもう一度追い込んだ。リーダージャージは手にしたけれど、チームのエースはファビオ・アル。彼を全力でサポートできれば、それ以上に幸せなことは無い」とサンチェスは語った。



ブエルタ・アル・パイスバスコ2016第1ステージ結果
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)                3h54’21”
2位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
5位 サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデールプロサイクリング)
6位 ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)
8位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)
9位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
10位 セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ)

個人総合成績
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)                3h54’21”
2位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
5位 サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデールプロサイクリング)
6位 ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)
8位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)
9位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
10位 セルゲイ・チェルネツキ(ロシア、カチューシャ)

ポイント賞
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) 

山岳賞
1位 ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルーラル)

チーム総合成績
1位 AG2Rラモンディアール

text:So.Isobe
photo:Bettini

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