3月6日、パリ近郊のコンフラン=サントノリーヌで第74回パリ〜ニースが開幕。6.1kmの短距離決戦は秒差の戦いとなり、平均スピード47.8km/hで駆け抜けたマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が勝利した。



7分39秒のトップタイムをマークしたマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)7分39秒のトップタイムをマークしたマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele


パリ〜ニース2016プロローグパリ〜ニース2016プロローグ image:A.S.O.ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)の故郷コンフラン=サントノリーヌに集まったのは175名の選手たち。セーヌ川沿いをスタートし、高低差10mほどの短い丘を越えて街中にフィニッシュする8分に満たない高出力バトルだ。

わずか1秒差でステージ優勝を逃したトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)わずか1秒差でステージ優勝を逃したトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de WaeleニュージーランドTTチャンピオンのパトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール)がこの日のサプライズ。2015年のツール・ド・台湾やツール・ド・コリアで成績を残し、アヴァンティレーシングからキャノンデールプロサイクリングに移籍した25歳のオールラウンダーが後続の指標となる7分41秒の暫定トップタイムを打ち立てた。

9秒差のステージ10位 ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)9秒差のステージ10位 ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング) photo:Tim de Waeleキャノンデールプロサイクリングのジョナサン・ヴォーターズGMが「すべての能力を兼ね備えたオールラウンダー」と太鼓判を押すベヴィンのタイムは、TTスペシャリストのトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)の貫禄の走りによって1秒更新される。しかしそのドゥムランを上回る選手が登場。オリカ・グリーンエッジのマイケル・マシューズがドゥムランを1秒上回った。

10秒差のステージ11位に入ったリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)10秒差のステージ11位に入ったリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele「シーズン初戦の初日にシーズン初勝利。丘や沢山のテクニカルコーナーを含む今日のようなコースではトップ5に入ることが出来ると予想していた。ステージ優勝は予想外だったし、少し驚いている。良いトレーニングを詰めていたという感触はあったけど、実際にレースでどこまで走れるかは始まってみないと分からないんだ」と、ステージ優勝を飾ってマイヨジョーヌを手にしたマシューズ。

13秒差のステージ14位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)13秒差のステージ14位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waeleジュニア時代からトラックレースでスピードを磨き、2010年ツアー・オブ・ジャパン堺ステージで優勝、そして同年U23世界チャンピオンに輝いたマシューズは世界を代表する「登れるスプリンター」としての名声を得た。パリ〜ニースでは2015年にポイント賞を獲得している。

16秒差のステージ27位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)16秒差のステージ27位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) photo:Tim de Waeleマシューズは「明日から数日間は平坦スプリントなのでイエロージャージを守れると思う。どこまでジャージをキープ出来るかは展開次第だけど、自分のヒルクライム能力は決して悪くないので、すぐに降参するわけじゃないよ」と、翌日以降のジャージキープに意欲を見せた。

ステージ2位のドゥムランは「残念な結果になってしまた。登りのギアが重すぎたのと、コーナリングスピードがいつもより遅かった」と振り返る。僅差でステージ優勝を逃したものの、総合争いにおいてライバルたちから一歩リードした。

オールラウンダーの中では他にヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)やゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が好走。大会連覇がかかったリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)はステージ11位でフィニッシュしている。ポートは「距離の短いタイムトライアルは自分の得意分野ではないけど、ライバルたちからタイムを失わずに済んだので満足している。とにかくパリ〜ニースが始まったことを嬉しく思うし、好調だったツアー・ダウンアンダーの時よりも調子は良い」とコメントしている。最大のライバルと目されるアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)はポートから6秒遅れのステージ27位で初日を終えた。

選手コメントは各チーム公式サイトより。



マイヨジョーヌに袖を通したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)マイヨジョーヌに袖を通したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele




パリ〜ニース2016プロローグ結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)   7’39”
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)       +01”
3位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール)      +02”
4位 ヘスス・エラーダ(スペイン、モビスター)              +06”
5位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
6位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)             +07”
7位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
8位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、IAMサイクリング)        +08”
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)     +09”
10位 ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)

11位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)        +10”
14位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)        +13”
25位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)         +16”
27位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
33位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)      +20”
53位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)         +25”
88位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)            +32”
115位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール)           +39”
160位 別府史之(日本、トレック・セガフレード)             +56”

個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)   7’39”
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)       +01”
3位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール)      +02”
4位 ヘスス・エラーダ(スペイン、モビスター)              +06”
5位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
6位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)             +07”
7位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
8位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、IAMサイクリング)        +08”
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)     +09”
10位 ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)

ポイント賞
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
1位 モビスター

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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