ツアー・オブ・オマーン名物のKOMグリーンマウンテンで繰り広げられたトップライダーによる競演。平均勾配10.5%の登りを先頭で駆け上がったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がリーダージャージを射止めた。



KOMグリーンマウンテンを目指すプロトンKOMグリーンマウンテンを目指すプロトン photo:Tim de Waele
ツアー・オブ・オマーン2016第4ステージツアー・オブ・オマーン2016第4ステージ image:Tour of Oman


逃げグループの中から飛び出すダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)逃げグループの中から飛び出すダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング) photo:Tim de WaeleKOMグリーンマウンテン(正式名称ジャバル・アル・アクダル 登坂距離7.8km/平均勾配10.2%)がツアー・オブ・オマーン第4ステージの最後に待ち構えている。標高1,435mの頂上に向かって延々と10%オーバーが続く大会最大の難所で赤いリーダージャージ争いは大きく動いた。

アタックを仕掛けるピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)とジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)アタックを仕掛けるピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)とジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele内陸のKOMグリーンマウンテンに向かう180kmの旅程がスタートするとすぐアタック合戦が始まる。ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)とダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)の2人が飛び出すと、ここにイーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ら8名がジョイン。こうして形成された10名の逃げグループは最大4分25秒のリードを得た。

クドゥスとバルデを引き連れるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)クドゥスとバルデを引き連れるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waeleリーダージャージ擁するディメンションデータに加勢したのはアスタナとAG2Rラモンディアールの2チーム。山岳地帯を貫く幹線道路を進みながらメイン集団はタイム差を詰めて行く。足並み揃った逃げグループのリードは、残り20km地点で3分を割り込んだ。

ダイナミックな登りを進むヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)とロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)ダイナミックな登りを進むヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)とロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de WaeleKOMグリーンマウンテンの麓に到着する頃にはタイム差は40秒に。登坂時間が30分近い登りにおいて40秒のリードは決して十分とは言えず、先頭で生き延びたオスも頂上まで5kmを切ったところで吸収される。そこからジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)とピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)がアタックするといよいよ総合争いが本格化した。

先頭でフィニッシュを目指すヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)とロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)先頭でフィニッシュを目指すヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)とロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waeleブランビッラとウェーニングが吸収されると続いてヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)がアタック。この動きによってメイン集団は大きく絞られ、リーダージャージのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)は脱落してしまう。

KOMグリーンマウンテンを制したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)KOMグリーンマウンテンを制したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele先頭はニーバリ、フグルサング、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)の4名に絞られ、残り1kmでバルデが執拗にアタックしたがニーバリは離れない。その後方では、2015年ブエルタ・ア・エスパーニャの山岳ステージで煌きを見せたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が淡々とペースを刻んで追走。ドゥムランが追いつきかけたところでニーバリが再びペースを上げ、バルデとのスプリント一騎打ちが始まった。

残り200mからニーバリとバルデが横並びのダンシングバトル。徐々にスピードを失ったバルデを置き去りにして、ニーバリがフィニッシュラインで両手を挙げた。なお、ステージ2位に入ったバルデのSTRAVAログによると、KOMグリーンマウンテンの登坂時間は27分30秒。平均勾配10.2%の登りを平均スピード17.1km/hで駆け上がり、VAM(平均登坂速度:1時間あたりの標高差)は1,732mだった。

「テネリフェでのトレーニングキャンプが結果に出ている。残り100mでロメン・バルデに並ばれたけど、そこからもう一段ペースを上げて彼を引き離すことに成功した。明日も戦いが繰り広げられることになると思うけど、総合リードを守る自信はあるよ」。今シーズン初勝利を飾るとともに、総合リーダージャージに袖を通したニーバリは王者の貫禄を見せる。

グリーンマウンテンを終えて総合1位ニーバリと総合2位バルデのタイム差は15秒、総合3位フグルサングのタイム差は24秒。ニーバリを追う立場のバルデは「暑くて大変な1日。残り3kmのアタックで精鋭グループに絞られてからは持久力勝負だった。シーズン序盤の2月の段階でここまで調子が良いことは冬のオフトレーニングが成功している証拠であり、結果には満足している。明日は今日よりも起伏が激しい1日。まだまだ何が起こるか分からない」と語っている。

選手コメントはチーム公式サイトより。



地面に倒れこむエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)ら地面に倒れこむエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)ら photo:Tim de Waeleリーダージャージに袖を通したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)らリーダージャージに袖を通したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ら photo:Tim de Waele




ツアー・オブ・オマーン2016第4ステージ結果
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            4h25’48”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)              +09”
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)                 +12”
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)            +18”
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)                 +38”
6位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)           +43”
7位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
8位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック)              +45”
9位 フローリス・デティエ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)       +1’08”
10位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)   +1’10”

個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            16h18’35”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)              +15”
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)                 +24”
4位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)            +40”
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)                 +54”
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)    +1’16”
7位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック)             +1’31”
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)       +1’38”
9位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)          +1’41”
10位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)   +1’59”

ポイント賞
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

ヤングライダー賞
1位 ブレンダン・カンティ(オーストラリア、ドラパック)

総合敢闘賞
1位 ケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)

チーム総合成績
1位 ディメンションデータ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

最新ニュース(全ジャンル)

シクロパビリオン創設15周年を記念して、春の奥武蔵を走った日仏交流サイクリング Makoto Ayano 2024/04/28(日) - 14:23
エキップアサダがつなぐ日本とフランスの関係