中東ステージレース最終戦のツアー・オブ・オマーンが2月16日に開幕。レース終盤のダウンヒル区間で抜け出したボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)が第1ステージを制した。



徐々に逃げグループとのタイム差を詰めるメイン集団徐々に逃げグループとのタイム差を詰めるメイン集団 photo:Tim de Waele
逃げるベルデン・デブリース(オランダ、ルームポット)ら逃げるベルデン・デブリース(オランダ、ルームポット)ら photo:Tim de Waele山岳地帯を進むプロトン山岳地帯を進むプロトン photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・オマーン2016第1ステージツアー・オブ・オマーン2016第1ステージ image:Tour of Omanツアー・オブ・カタールが砂漠のレースであれば、ツアー・オブ・オマーンが山のレースだ。カタールよりも7年歴史が浅く、2009年に初開催されたオマーンは、その山がちな地形からオールラウンダーたちを魅了してきた。

左からクリストフ、コスタ、ボアッソンハーゲン、ニーバリ、ドゥムラン、ファンアフェルマート、バルデ、ポート、マーティン左からクリストフ、コスタ、ボアッソンハーゲン、ニーバリ、ドゥムラン、ファンアフェルマート、バルデ、ポート、マーティン photo:Tim de Waele2016年大会にはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)、ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、カチューシャ)らが出場。第4ステージに設定されたKOMジャバル・アル・アクダル(通称グリーンマウンテン 登坂距離5.7km/平均勾配10.5%)山頂フィニッシュがレース最大の難所だ。

メイン集団をコントロールするBMCレーシングメイン集団をコントロールするBMCレーシング photo:Tim de Waele第1ステージは残り25kmを切ってから2つのKOMが連続して登場するため、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)をはじめとするスプリンターたちの出番はなし。フィニッシュ5km手前のKOMアルジサー(登坂距離3.0km/平均勾配8%)がスプリンターたちのフィニッシュラインへの侵入を拒んでいる。

カウンターアタックで飛び出すパヴェル・コチェトコフ(ロシア、カチューシャ)カウンターアタックで飛び出すパヴェル・コチェトコフ(ロシア、カチューシャ) photo:Tim de Waele最大6分20秒のリードを得たケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)ら5名の逃げが1日の大半を先頭で過ごしたが、アスタナやBMCレーシングの追撃によってリードを失う。結局最初のKOMを前に逃げは吸収され、そこから断続的にパヴェル・コチェトコフ(ロシア、カチューシャ)らがカウンターアタックを仕掛けたが決まらない。

独走勝利を飾ったボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)独走勝利を飾ったボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele最後のKOMアルジサーが始まると、優勝候補の一角であるポートやスプリンターのクリストフが脱落(ポートは3分24秒遅れでフィニッシュ)。この登りでメイン集団は20名に満たない人数にまで絞り込まれ、フィニッシュ地点に向かう下り区間に差し掛かった。

8秒遅れでフィニッシュするロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)ら8秒遅れでフィニッシュするロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)ら photo:Tim de Waeleニーバリやバルデ、ドゥムランらの他、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)も入ったこの精鋭集団によるスプリント勝負が濃厚と見られたが、残り3kmを切ったところでルクセンブルクチャンピオンが抜け出す。このハイスピードダウンヒルに備えて55Tを用意したユンヘルスが単独で抜け出した。

足が回りきってクラウチングポジションを取らざるを得ない後続選手たちを尻目に、ビッグリングを踏んだユンヘルスがリードを広げ、追走したセルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)とバルデを振り切って勝利。8秒遅れの集団先頭はボアッソンハーゲンが取った。

「バレンシアのステージレースを終えてから調子の良さを感じていたので、モチベーション高くこのレースに挑んでいた。前日の試走で最後の下りが理想的なアタックポイントだと判断し、メカニックと相談して55Tのアウターチェーンリングを用意してもらった。結果的にそのビッグリングが役に立ち、ハイスピードなダウンヒルで抜け出すことが出来た」と、勝利の秘訣を語るユンヘルス。エティックス・クイックステップは今シーズン8勝目(チームスカイと並んで最多勝)。

ルクセンブルクの次世代オールラウンダーとして期待される23歳のユンヘルスは、2015年にツール・ド・スイスで総合6位、ツール・ド・フランスで総合27位という成績を残し、トレックファクトリーレーシングからエティックス・クイックステップに移籍した。「僕を信頼してチームに招き入れてくれたエティックス・クイックステップに恩返しすることが出来て良かった。明日からハードなステージが続くので、リーダージャージを守ることは難しいかもしれない。でも全力をかけて総合リードを守りたい」と語っている。

オマーン第2ステージにはKOMクリヤット(登坂距離2.8km/平均勾配6.5%)の山頂フィニッシュが登場。ニーバリをはじめとするオールラウンダーたちが攻撃を仕掛けてくるはずだ。

選手コメントはチーム公式サイトより。


リーダージャージに袖を通したボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)リーダージャージに袖を通したボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele



ツアー・オブ・オマーン2016第1ステージ結果
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)    3h37’33”
2位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)            +06”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)               +08”
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
6位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
8位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
9位 フローリス・デティエ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

個人総合成績
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)    3h37’23”
2位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)            +10”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)               +14”
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)     +18”
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
6位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
8位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
9位 フローリス・デティエ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

ポイント賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)

ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)

総合敢闘賞
1位 アモリー・カピオ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)

チーム総合成績
1位 ディメンションデータ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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