ファビアン・カンチェラーラや別府史之ら、トレック・セガフレードの選手たちが使用するボントレガーのエアロヘルメット「BALLISTA」。話題のエアロロード「Madone 9」と同様にCFD解析や風洞実験を駆使して設計され、すでに多くの勝利に貢献しているトレックの自信作をインプレッションした。



ボントレガー BALLISTA(手前:Team、奥:Black)ボントレガー BALLISTA(手前:Team、奥:Black)
なめらかな造形のアウターシェルなめらかな造形のアウターシェル シェル内部には、通気性に貢献するチャネルが設けられているシェル内部には、通気性に貢献するチャネルが設けられている


登場から間もないながらも、自転車に乗る上で必要なアイテムの中でも特に費用対効果が高いとして各ブランドからリリースが相次いでいるエアロヘルメット。このホットなカテゴリーにボントレガーが投じたのが、今回インプレッションを行う「BALLISTA(バリスタ)」である。

開発を指揮したのは日本人エンジニアの鈴木未央氏で、CFD(数値流体力学)解析や低速風洞実験、プロライダーによる実走試験など様々な実験の結果を駆使し設計されている。開発の途中段階では、それまでの研究結果をフィードバックしたプロトタイプがアワーレコード世界記録樹立に貢献。そこから更に通気性を高め「BALLISTA」は完成した。

前面に設けられた3つのベンチレーションホールより、新鮮な空気を取り込む前面に設けられた3つのベンチレーションホールより、新鮮な空気を取り込む 前面より取り入れた空気を素早く後方へと受け流す6つの排気口前面より取り入れた空気を素早く後方へと受け流す6つの排気口

前後がすぼまった形状ながら、長さは抑えられている前後がすぼまった形状ながら、長さは抑えられている ラインアップされる2サイズを比較(左がS/M、右がM/L)ラインアップされる2サイズを比較(左がS/M、右がM/L)


エアロダイナミクスを追求した末にボントレガーが辿り着いたのが、前後がすぼまった形状と、極めて滑らかなアウターシェルの設計だ。フロントの3つの大きなベンチレーションホールは、前頭部へ掛かる高い圧力を最大限にシェル内部に流し込む上で効率的なサイズと配置が採用されている。

そしてフロントから取り込んだ空気をスムーズに排出すべく、頭頂部にはスポーツカーのボンネットのようなダクトパーツを設け、後頭部には6つの排気口を配置。前後のホールを接続するシェル内部のチャネル設計と合わせて、空力特性を最大限に高めつつ、通気性を向上。気温が30℃を越える盛夏のレースでもトレック・セガフレードの選手たちから選ばれるほどの高い快適性を実現している。

AgIONコーティングにより、不快な匂いの発生を抑制したインナーパッドAgIONコーティングにより、不快な匂いの発生を抑制したインナーパッド 周囲方向と縦方向のどちらにも調整可能なダイヤル式アジャスターHeadmaster II周囲方向と縦方向のどちらにも調整可能なダイヤル式アジャスターHeadmaster II

額が接する部分にシリコン製の汗よけバンドを設けたNoSweatパッド額が接する部分にシリコン製の汗よけバンドを設けたNoSweatパッド アジャスターは縦に3段階で調整可能だアジャスターは縦に3段階で調整可能だ


ヘルメットの最も大きな役割であるプロテクション性能については、CE EN 1078といった厳格な安全基準をパス。高い圧力を掛けることで強度を高めるEPS製法によって成型されたインナーシェルに、ポリカーボネート製のアウターシェルを組み合わせ、耐衝撃性を高めた。もちろん、JCF公認も取得しており、国内公式レースで使用することができる。

別府史之(トレック・セガフレード)もBALLISTAを好んで使用する(写真はジャパンカップクリテリウムより)別府史之(トレック・セガフレード)もBALLISTAを好んで使用する(写真はジャパンカップクリテリウムより) photo:Kei Tsujiシェル内部の設計はアジアンフィットとされており、丸型の日本人頭でも被りやすいよう配慮されている。クロージャーにはスタンダードモデル「Velocis」と共通で、周囲方向には約2mm間隔で、縦には3段階で調整可能なダイヤル式の「Headmaster II」を採用する。

真っ赤なインナーパッドは、最大厚さ6.5mmほどとクッション性に富み、アジャスターシステムや帽体の設計とあわせて高いフィット感に貢献。AgIONコーティングにより、不快な匂いの発生を抑制。また、付属するオプションパッド「NoSweat」には額が接する部分にシリコン製の汗よけバンドを設けており、汗が目にはいって視界を妨害することを防いでくれる。

サイズはS/M(51~58cm)とM/L(55~61cm)の2種類がラインアップされる。カラーはトレック・セガフレードのチームカラーとなるグロスホワイトベースの「Team」、マットブラックをベースとする落ち着いた色合いの「Black」という2種類だ。



ー編集部インプレッション

試着だけというものを含め、これまで様々なヘルメットを被ってきたが、その中でも日本人頭の私にとってフィット感の良さは抜群であった。近年では「アジアンフィット」「日本人向け」と謳うローカライズされたモデルも増えてきたが、その中でも一際良く、全体が面で接している印象がある。エアロヘルメットの必要性がある否かに関係なく、フィット感だけで購入意欲をそそられる方が多くいても不思議でないほどだ。

ボントレガーBALLISTAをインプレッションボントレガーBALLISTAをインプレッション 「時速30~40km/hのホビーライダー的な速度域でも充分に実感できるだけの空力性能がある」「時速30~40km/hのホビーライダー的な速度域でも充分に実感できるだけの空力性能がある」 スマートな後ろからのフォルムスマートな後ろからのフォルム この優れたフィット感は、いわゆる日本人頭で、カブトのヘルメットがフィットするという他の編集部員も同意見であった。シェル設計の秀逸さもさることながら、これまでのヘルメットには無かった、新しいパッドの構造に、その秘訣があるようだ。

一般的にパッドは、マジックテープでシェルに貼り付けられている。しかし、BALLISTAでは、パッドの額があたる部分に板のようなものをあて、板の反発力を利用してシェルから浮かせ、額にピッタリと沿わせているのだ。この新構造は、一般的なパッドと比べれば若干の重量増となるものの、頭の形を問わず高いフィット感を得ることが可能となる。

もちろん、シェルをアジアンフィットとしている以上、マッチしやすいのは日本人に多い丸型頭だが、欧米型とは言えないまでも頭が縦に長めという方にもよくフィットしてくれるはず。また、この構造のおかげで、経年劣化でパッドがへたってきたとしても、フィット感の低下は少ないと思われる。

被り心地はやや浅め。シェルの実測寸法はS/Mサイズで縦20.7cm×幅17.7cm×深さ11.5cm、M/Lサイズで縦22.5cm×幅18.5cm×深さ12.1cm。両サイズともに表記よりは大きめで、男性サイクリストであればほとんどがS/Mサイズでジャストフィットとなるはずだ。ただ、多くの女性サイクリストにとっては恐らくS/Mでも大き過ぎるため、もう一回り小さな新サイズの登場も待たれるところ。

さて、BALLISTAが最大の特徴とする空力性能については、時速30km/h~40km/hのホビーライダー的な速度域でも充分に実感できるだけの効果があると感じた。一定条件下の比較ではないものの、走りなれた平地中心の通勤路では普段よりも平均速度が上がったのである。前方から流れてきた空気はスムーズに後方へと受け流され、後方でも乱れるということはない。レーサーであればレベルを問わず最適なのはもちろんのこと、同じ速度では一般的なヘルメットに対して疲労を抑えることができるため、ロングライドがメインという方にも良いだろう。

通気性については、エアロヘルメットだからと言って悪いということはなく、特に前面の左右のベンチレーションホールから空気がよく入ってくるのが分かる。ただ、冬場でも1時間ほど高い強度で走っていると、パッドが湿り気を帯びるが、それだけパッドがよく仕事してくれるということ。もちろん、骨格や髪型によっても通気性は異なってくるだろうし、汗が垂れてきて目に入ってしまうというような場合には付属の「NoSweat」パッドに換装すれば良い。多少通気性に目をつぶってもなお余りあるだけの優れたフィット感と空力性能がBALLISTAにはある。

アウターシェルは極めて滑らかな仕上げとなっているアウターシェルは極めて滑らかな仕上げとなっている パッドに投入された独自機構により、高い快適性を実現しているようだパッドに投入された独自機構により、高い快適性を実現しているようだ

S/Mサイズの実測重量は255gS/Mサイズの実測重量は255g M/Lサイズの実測重量は283gM/Lサイズの実測重量は283g


その他、アジャスター類についてはスタンダードモデルの「Velocis」と同じHeadmaster IIとあって、信頼性は高く、実際に使用してみても調整しやすい。また、オークリーのアイウェアと併用したが、お互いに干渉することも無かった。

近年、ボントレガーはトレックの傘下という枠にとどまらず、純粋に1つのパーツブランドとして人気を集めているが、「BALLISTA」はその評価を更に高めるものとなりそうだ。S/Mサイズで255g、M/Lサイズで283g(いずれも実測)と、重量的なハンデは小さく、通気性も確保されている。空力性能はプロのみならずホビーレーサーでも効果を体感できるほどであり、そして何よりフィット感は極上だ。

総じて、これだけの性能があって23,000円(税込)というのはお買い得といえるだろう。小さなサイズがラインアップされていないのは玉に瑕だが、エアロヘルメットが気になっていても、これまでは比較的高価だったこともあり躊躇していたという方は、一度BALLISTAを試してみてほしい。
(インプレッション by CW編集部・山本)







ボントレガー BALLISTA
カラー:Team、Black
サイズ:S/M(51~58cm)、M/L(55~61cm)
安全規格:CE EN1078、JCF
実測重量:255g(S/Mサイズ)、283g(M/Lサイズ)
付属品:専用バッグ、個人情報ステッカー、交換用インナーパッド
価格:23,000円(税込)

text&photo:Yuya.Yamamoto
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