11月3日にベルギーのウェブサイトSport Voetbal Magazineが伝えたスクープ記事「2017年のジロ・デ・イタリアは日本で開幕する?」が波紋を広げている。大会ディレクターを務めるマウロ・ヴェーニ氏は「2017年の実現は不可能だ」と否定した。



ジロのプロトンが富士山を走る?ジロのプロトンが富士山を走る? photo:Hideaki.TAKAGI


サンレモで開幕した2015年ジロ・デ・イタリアサンレモで開幕した2015年ジロ・デ・イタリア photo:Kei Tsujiスクープ記事によると、ジロ主催者と静岡市が仮合意に至り、ジロを日本で開幕、富士山を含む4ステージを行うとしている。UCIの許可を得て、4ステージ終了後に2日間の休息日を挟んでイタリアに移動する。

大会ディレクターのマウロ・ヴェーニ氏と乾杯するアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)大会ディレクターのマウロ・ヴェーニ氏と乾杯するアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleヨーロッパ以外でのジロ開幕の噂は今回が初めてではない。過去にはアメリカ・ワシントンDCやアラブ首長国連邦・ドバイをはじめとする都市が招致に向けて動いているとの報道もあったが、いずれも実現には至っていない。

日本でのジロ開幕を実現するためには7時間の時差や20時間前後の移動など様々なハードルを克服しなければならない。なお、スクープ記事によると招致予算は3,500万ユーロ(約46億2,000万円)。出場チームにはそれぞれ50万ユーロ(約6,600万円)が支払われるとされる。

Cyclingnewsを始めとする海外メディアもこぞって「ジロが日本で開幕?」というニュースを報じたが、大会ディレクターのマウロ・ヴェーニ氏に直撃したイギリスのCyclingWeeklyが「実現は不可能」と報じた。

ヴェーニ氏は「来年に実現出来るような案件ではない。UCIやチームの許可を得る必要があるなど、実現にはとにかく時間がかかる」と否定する。「2017年はジロの第100回大会であり、1909年に歩みを始めたグランツールを祝福するためにイタリア国内で完結したいと思っている」。

2015年、日本とイタリアの「修好通商条約」締結150周年を記念し、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州と静岡県が観光交流協定を締結。8月に同州の激坂ゾンコランを含むコースで行われるグランフォンドイベント「カルニアクラシック」が「カルニアクラシック・フジ=ゾンコラン」として開催されるなど、静岡がイタリアと近い関係にあるのは事実だ。

近年のジロは海外での開幕に積極的。過去10年間を見ても、2006年セラン(ベルギー)、2010年アムステルダム(オランダ)、2012年ヘルニング(デンマーク)、2014年ベルファスト(北アイルランド)と、海外都市の名前が並ぶ。2016年の開幕地はアペルドールン(オランダ)だ。

ヴェーニ氏は「何より(日本は)距離が遠すぎる。時差を調整するためにどれだけの休息日が必要か考えて欲しい。2016年のオランダ開幕を実現するために休息日を追加するだけで苦労したのに。実際にアメリカや中東など世界中からプロポーザルを受けているが、いずれも実現には時間を要する。日本との繋がりもあるが、まだ話は進んでいない。とにかく2017年に実現することはあり得ない」と締めくくった。

text:Kei Tsuji