強い向かい風の大集団ゴールを制したのは直前50mで抜け出した畑中勇介(チーム右京)だった。続いた鈴木龍(那須ブラーゼン)と金子大介(群馬グリフィン・レーシングチーム)が今シーズン最上位で表彰台に登った。

畑中勇介(チーム右京)が優勝。美浜で2種目を挙げる畑中勇介(チーム右京)が優勝。美浜で2種目を挙げる photo:Hideaki TAKAGI
愛知県知多半島の美浜町でのクリテリウムは今年で5回目の開催だ。1周3.75kmの公道コースで、序盤に緩い上りから緩い直線状の下り、そして平坦区間で構成される。レース当日の10月25日(日)は風速10mほどの強い北風が吹き荒れ、フィニッシュへ向かう直線区間が向かい風に相当した。レースはこの強風と緩い上り区間を軸に攻防が繰り返された。

Fクラスタは伊藤杏菜(Champion System Japan)が優勝

5周18.75kmで行なわれた女子は、スタート直後から高橋希代子(KINAN AACA)がアタックして独走を開始。集団には30秒ほどの差をつける。集団は上りで数を減らし、伊藤、棟近陽子(BH ASTIFO)、矢野智子(モジュマ エリアゼロナナゴ)の3人に。さらに伊藤と棟近の2人になり先頭の高橋を追う。

F 高橋希代子(KINAN AACA)がスタートから単独逃げ続けるF 高橋希代子(KINAN AACA)がスタートから単独逃げ続ける photo:Hideaki TAKAGIF 伊藤杏菜(Champion System Japan)が優勝F 伊藤杏菜(Champion System Japan)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI

最終周回に入り先頭の高橋に2人が追いつくが、高橋はそのまま先頭で走る。フィニッシュも高橋が先行のままスプリントに入り、ラスト100mで伊藤が仕掛けてそのまま先着し優勝した。全区間の99%以上を先頭で走った高橋はアジア選手権優勝3回など1990年前後に活躍したトライアスリート。勝利はならなかったが昨年に続いて積極的な走りを見せた。

P1クラスタ 中盤に18人の強力な逃げ

P1クラスタは20周75.0kmのレース。序盤から各チームがアタックするが逃げが決まらない。ようやく逃げが決まったのは8周目の上り区間。宇都宮ブリッツェン勢がペースを上げ下りを経て18人の逃げができる。宇都宮ブリッツェンは増田成幸や大久保陣など5人、マトリックスパワータグは吉田隼人ら3人、愛三工業レーシングチームは福田真平ら3人、そしてチーム右京は畑中勇介と土井雪広、キナンサイクリングチームはロイック・デリアックとリカルド・ガルシア、そして中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、木村圭佑(シマノレーシング)、ブルノ・ゲゼ(ニールプライド南信スバルサイクリング)というメンバーだ。

2周目、全日本チャンピオンの窪木一茂(チーム右京)と中村龍太郎(イナーメ信濃山形)がアタック2周目、全日本チャンピオンの窪木一茂(チーム右京)と中村龍太郎(イナーメ信濃山形)がアタック photo:Hideaki TAKAGI8周目に決まった各チームのエース格が揃う18人の逃げ8周目に決まった各チームのエース格が揃う18人の逃げ photo:Hideaki TAKAGI

各チームのスプリンターなどエース格が揃った強力なエスケープグループは協調しながら逃げ続ける。メイン集団は逃げに乗せていない那須ブラーゼンを中心に追走する。11周目に先頭集団のガルシアが上りでアタックし、これをきっかけに先頭集団内では攻撃と牽制が始まる。13周目に先頭は8人とスプリンターの入る10人に分かれこの10人は程なくメイン集団に吸収される。このタイミングでトリビオがアタックして先頭を追うが、2周してペースの上がったメイン集団に吸収される。

16周目、メイン集団は那須ブラーゼンが引く16周目、メイン集団は那須ブラーゼンが引く photo:Hideaki TAKAGI16周目、単独逃げ続けるロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム)16周目、単独逃げ続けるロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム) photo:Hideaki TAKAGI

ラスト4周ですべての逃げが吸収

先頭の8人はデリアック、リカルド、増田、堀孝明、ベンジャミン・プラデス、土井、中島康晴、中村で、ここから14周目にデリアックが単独アタック。3周をデリアックは逃げ続けるが17周目にはすべての逃げが吸収され集団はひとつに。ここからはマトリックスパワータグを中心に各チームが隊列を整える。続くのは宇都宮ブリッツェン、シマノレーシング、愛三工業レーシングチーム、キナンサイクリングチームら。

19周目、ひとつの集団はマトリックスパワータグが先頭を固める19周目、ひとつの集団はマトリックスパワータグが先頭を固める photo:Hideaki TAKAGI最終周回、上りでアタックしたベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)最終周回、上りでアタックしたベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ) photo:Hideaki TAKAGI

最終周回に入り先頭からプラデスがアタックしメイン集団の隊列が乱れる。逃げたプラデスもラスト300mで吸収され、強い向かい風の中での集団ゴールスプリントへ。福田が先頭に出るが窪木がかわす。この後ろには鈴木龍(那須ブラーゼン)、畑中、金子大介(群馬グリフィン・レーシングチーム)が。ラスト50mを切ってから畑中が抜け出し先着。これに鈴木、金子が続いた。

勝負強い畑中勇介がゴールスプリントを制する

ラスト100m、窪木一茂(チーム右京)が先頭へラスト100m、窪木一茂(チーム右京)が先頭へ photo:Hideaki TAKAGIラスト30m、畑中勇介(チーム右京)が先頭へラスト30m、畑中勇介(チーム右京)が先頭へ photo:Hideaki TAKAGI畑中は前日のツール・ド・フランスさいたまクリテリウム本戦で堂々のポイント賞を獲得してからの参戦。そしてこの美浜では2度目の優勝で、勝負強さを発揮した。「個人総合も決まっていたのでオーダーはなく自分がやりたいことをやるということで走りました。18人で逃げているときは本当にきつかったです。最後はうまく抜け出せて勝てました。窪木との連携はあまり意識していなかったです」と畑中は語る。

2位鈴木と3位金子はそれぞれが今シーズンのベストリザルトだ。鈴木は「逃げで勝負したかったのですが集団となったことは失敗です。18人の逃げに入っていなかったことも。2位は自分としてもべストですがチームの勝利のために走っているので悔しいです。最後は畑中さんの勢いが全然違いました」と振り返る。

金子は「狩野さんの後ろを『絶対に離れないぞ』と思い走りました。ゴールした瞬間は優勝できなくて悔しいと思いましたが、びっくりする成績だし振り返れば今まであきらめないで良かったと思います」と語る。チームキャプテンの狩野が金子のために集団の中で好位置をキープしていたことも大きかった。
P1クラスタ表彰P1クラスタ表彰 photo:Hideaki TAKAGIF 表彰F 表彰 photo:Hideaki TAKAGIE1 表彰E1 表彰 photo:Hideaki TAKAGIE3 1組 表彰E3 1組 表彰 photo:Hideaki TAKAGIE3 2組 表彰E3 2組 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
結果
P1クラスタ 75.0km
1位 畑中勇介(チーム右京)1時間49分55秒
2位 鈴木龍(那須ブラーゼン)
3位 金子大介(群馬グリフィン・レーシングチーム)
4位 小清水拓也(レモネードベルマーレレーシングチーム)
5位 窪木一茂(チーム右京)
6位 福田真平(AISAN Racing Team)
7位 青柳憲輝(宇都宮ブリッツェン)
8位 小野寺玲(那須ブラーゼン)
9位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
10位 野中竜馬(キナンサイクリングチーム)

Jプロツアーリーダー 畑中勇介(Team UKYO)
U23リーダー 新城雄大(那須ブラーゼン)

Fクラスタ 18.75km
1位 伊藤杏菜(Champion System Japan)34分29秒
2位 棟近陽子(BH ASTIFO)+02秒
3位 高橋希代子(KINAN AACA)+03秒

Jフェミニンリーダー 伊藤杏菜(Champion System Japan)

E1クラスタ
1位 藤岡徹也(クラブシルベスト)10点
2位 津村翔平(TOKYO VENTOS)5点
3位 佐藤信哉(VC Fukuoka)3点
4位 田中涼太(ZIPPY CYCLE CLUB)3点
5位 大橋聖二(Honda栃木JET)3点
6位 永山貴浩(チーム・アヴェル)1点

E2クラスタ
(5周回手前で発生した事故の救護及び安全確保のためレースは不成立)

E3クラスタ1組
1位 渡邉哲平(ナカガワAS.K'デザイン)5点
2位 富家悠太(駒澤大学自転車部)5点
3位 稲葉智栄(ユーロードレーシング)5点
4位 関根啓総(Y's Road)4点
5位 西尾洋介(バルバレーシングクラブ)3点
6位 高村昌克(SPADE・ACE)3点

E3クラスタ2組
1位 杉本敦志(SPADE・ACE)10点
2位 小野豊(Teamまるいちエヴァディオ)5点
3位 林岳人(ユーロードレーシング)4点
4位 平賀康一(Team CUORE)3点
5位 森川晃行(ZIPPY CYCLE CLUB)3点
6位 加塩弘一(KOGMA Racing)1点

photo&text:高木秀彰

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