2015/07/31(金) - 09:44
ロード、MTB、シクロクロスと様々なジャンルのバイクをラインアップするキャノンデールより、どのカテゴリーにも属さない新しいタイプのバイク「SLATE」が登場。舗装路からグラベル、トレイルまで、シチュエーションを問わず楽しめるマルチパーパスな1台のインプレッションをお届けしよう。
ドロップハンドルを装着したフレームに、フロントサスペンションを搭載した新型バイク「SLATE(スレイト)」。今までにないルックスを持つこのバイクは、ロードバイクのような軽快な走行性能を持ちながら、グラベルロードよりも高いオフロードの走破性を身につけた、ターマック、グラベル、ダートロードなどジャンルの垣根を壊す新型バイクである。
最も特徴的なのは、キャノンデールが誇る片持ちサスペンション「レフティ」が搭載されている点だろう。「オリバー」という名が付けられた、トラベル量の30mmのSLATE専用のサスペンションが、オフロード走行時のハンドリングを安定させ、SLATEをこれまでにない遊び方ができるバイクへと仕立てているのだ。
レフティ・オリバーには独自のコイルオーバーガス・ネガティブスプリングを使用し、ペダリングロスを最小限に留めることでロードバイクのような走行性能の維持を図っている。さらに、PBRロックアウトやリバウンドアジャスターなどが備えられているため、シチュエーション問わずレフティ・オリバーは性能を発揮することができる。
これまでレフティで培ってきたテクノロジーが惜しみなく使われ、サスペンション単体としても性能も折り紙つきだ。アウターレッグを軽量カーボン製とすることで、舗装路での走りの軽さを向上させている。
そして、SLATEは650Bのホイールに42Cタイヤという組み合わせを前提として設計されていることがポイントである。この組み合わせは700×22Cと同等のタイヤ外径となるため、高速巡航時はロードのような転がり性能を発揮。オフロードではエアボリュームの大きさから、高いクッション性が発揮されるという、万能なホイールとタイヤの組み合わせとなっているのだ。
このタイヤ/ホイールを前提としてフレームは設計され、どのようなコンディションでも楽しめるバイクへと仕上げられた。例えば、チェーンステー長はSUPERSIX EVO同様に短めに設定することで、切り返しの多いトレイルなどでも俊敏なバイクコントロールを可能としている。一方で、ヘッドチューブ角を寝かせ、フロントセンターを長めに取ることで、荒れた路面でもホイールが弾かれづらくなっている。
そして、SUPERSIX EVOよりもリーチが短く、スタックが高いジオメトリーとすることで、レーシングロードよりもアップライト、エンデュランスロードよりも前傾の深いポジションを可能とした。この中間ポジションに設定することで、フロントサスペンションが稼働した際の違和感を最小限にとどめた。
加えて、キャノンデールが誇るテクノロジーを随所に用いられていることも特徴だ。リア三角形にはSYNAPSE用に開発されたSAVE PLUSマイクロサスペンションシステムを採用することで、高い振動吸収性を実現した。ディスクブレーキの台座は、シマノが提案するフラットマウント規格対応のブレーズオン・ディスクブレーキマウントを採用し、今後のアップグレードにも対応可能としている。リアハブには12mm径のスルーアクスルを採用するため、ハブ周りの剛性にも心配は無い。
シートポストは27.2mm径とし、柔軟性を確保することで快適性を向上させている。また、ワイヤー内臓のドロッパーシートポストにも対応しているため、MTBのように走行するシチュエーションに合わせて細かくシートの高さを調節することが可能だ。
販売パッケージはシマノ ULTEGRA完成車と、シマノ105完成車の2種類。いずれもフレーム素材は6061アルミを使用。BB規格はBB30aだ。タイヤはパナレーサー製の42Cスリックタイヤが標準装備、サドルはファブリックのScoopだ。
ロードバイクでもMTBでもなければ、グラベルロードでもない。全く新しいジャンルのSLATE。対応できるシチュエーションが広く、どこでも遊べるバイクを、キャノンデールの山本和弘さんがインプレッション。ロード、MTB、シクロクロスバイクを乗りつくした山本さんが語るSLATEとは?
ーインプレッション
「走る場所を限定せず、どこでも走れる全く新しいタイプのバイク」山本和弘(キャノンデール・ジャパン)
SLATEはロードやシクロクロス、MTBというような、これまでのジャンルの枠に収まらないようなバイクです。あえて言うならば「SLATE」というカテゴリーのバイクですね。舗装路ではシクロクロスよりも軽快に進み、未舗装路ではMTBに迫る走行性能を発揮するといった懐の深さがSLATEの魅力です。普段は行かないようなところまで連れて行ってくれる、そんなバイクですね。
このバイクはどんな場面でも衝撃をいなすマイルドな乗り心地を持っていることが特徴です。特に砂利道では、まるで浮いているかのように感じるほど衝撃が少なく、ロードでは決して味わえない乗り心地を体感することができます。フロントフォーク「レフティー・オリバー」に目が行きがちですが、快適性は42Cタイヤのエアボリュームとの組み合わせによって生み出されていますね。
そして、650Bと42Cのスリックタイヤという組み合わせもSLATEのアイデンティティの1つです。これによりタイヤの外径が700Cホイールと同様となり、シクロクロスバイク以上の走りの軽さを生み出しています。また、650Bという700Cよりも小径なホイールは剛性が高く、オフロードでも安心して攻められます。SLATEの魅力を引き出すためには空気圧のセッティングが大切です。オンロードを走るなら4気圧、オフロードを走るならば3気圧以下とロードと比較してかなり低めに設定してあげることで、本来の力を発揮できます。
フレームは小さく見えますが、オフロードを走る際はこのコンパクトなフレームワークが活きています。具体的にはリーチが短いため、自分の懐でバイクをコントロールしやすいですね。この扱いやすさが、オフロード走行での楽しさに繋がっているのでしょう。
ただ、ある程度のスキルを求めるバイクでもあります。スポーツバイクに乗り慣れ、バイクコントロールができるライダーでないと、このバイクの魅力を十分に味わうことが難しいかもしれません。それはスリックタイヤがアッセンブルされているので、オフロードではタイヤのグリップが抜けやすく、ビギナーの方は恐怖感を覚えてしまうかもしれません。
また、トレーニングのように追い込んで走らせるようなバイクでもないですね。SLATEはある程度気持ちにゆとりをもたせ、追い込む一歩手前で楽しむような乗り方があっています。
アルミ製フレーム、レフティ、SAVEテクノロジーとキャノンデールのアイデンティティとも言えるテクノロジーが詰め込まれています。そして、走る場所を限定せず、冒険できるバイクとなっています。ですので、興味を持たれたならば冷やかしでもいいので、一度乗って頂きたいですね。
キャノンデール SLATE
フレーム:Slate, SmartFormed 6069 Alloy, Di2 ready, SAVE PLUS, BB30a
フォーク:Cannondale Lefty Oliver Carbon w/ PBR, 30mm Travel, 45mm offset
リム:Slate Disc, 650b, 28H, welded
ハブ:Lefty 50 Road front, Formula 142x12mm thru rear, 28h
スポーク:DT Swiss Champion
タイヤ:Cannondale Slate Folding TRS tubeless, 650x42c, by Panaracer
キャノンデール SLATE ULTEGRA
クランク:Cannondale HollowGram Si, hollow forged, w/ OPI SpideRing, BB30a,52/36
ディレイラー:Shimano Ultegra 6800
シフター:Shimano R685 Hydraulic Disc
ブレーキ:Shimano BR785/805, 140/140mm
サイズ:SM (01)、MD (02)、LG (03)、XL (04)
カラー:Stealth Grey w/ Acid Orange and Brushed Silver, Gloss - ORG (70)
価 格:470,000円(税抜)
キャノンデール SLATE 105
クランク:Cannondale Si, BB30a, FSA rings, 52/36
ディレイラー:Shimano 105 5800
シフター:Shimano R505 Hydraulic Disc
ブレーキ:Shimano BR785/505, 160/140mm
サイズ:SM (01)、MD (02)、LG (03)、XL (04)
カラー:Army Green w/ Neon Spring, Matte - GRN (30)
価 格:390,000円(税抜)
text:Gakuto.Fujiwara
photo:So.Isobe, Naoki.Yasuoka
ドロップハンドルを装着したフレームに、フロントサスペンションを搭載した新型バイク「SLATE(スレイト)」。今までにないルックスを持つこのバイクは、ロードバイクのような軽快な走行性能を持ちながら、グラベルロードよりも高いオフロードの走破性を身につけた、ターマック、グラベル、ダートロードなどジャンルの垣根を壊す新型バイクである。
最も特徴的なのは、キャノンデールが誇る片持ちサスペンション「レフティ」が搭載されている点だろう。「オリバー」という名が付けられた、トラベル量の30mmのSLATE専用のサスペンションが、オフロード走行時のハンドリングを安定させ、SLATEをこれまでにない遊び方ができるバイクへと仕立てているのだ。
レフティ・オリバーには独自のコイルオーバーガス・ネガティブスプリングを使用し、ペダリングロスを最小限に留めることでロードバイクのような走行性能の維持を図っている。さらに、PBRロックアウトやリバウンドアジャスターなどが備えられているため、シチュエーション問わずレフティ・オリバーは性能を発揮することができる。
これまでレフティで培ってきたテクノロジーが惜しみなく使われ、サスペンション単体としても性能も折り紙つきだ。アウターレッグを軽量カーボン製とすることで、舗装路での走りの軽さを向上させている。
そして、SLATEは650Bのホイールに42Cタイヤという組み合わせを前提として設計されていることがポイントである。この組み合わせは700×22Cと同等のタイヤ外径となるため、高速巡航時はロードのような転がり性能を発揮。オフロードではエアボリュームの大きさから、高いクッション性が発揮されるという、万能なホイールとタイヤの組み合わせとなっているのだ。
このタイヤ/ホイールを前提としてフレームは設計され、どのようなコンディションでも楽しめるバイクへと仕上げられた。例えば、チェーンステー長はSUPERSIX EVO同様に短めに設定することで、切り返しの多いトレイルなどでも俊敏なバイクコントロールを可能としている。一方で、ヘッドチューブ角を寝かせ、フロントセンターを長めに取ることで、荒れた路面でもホイールが弾かれづらくなっている。
そして、SUPERSIX EVOよりもリーチが短く、スタックが高いジオメトリーとすることで、レーシングロードよりもアップライト、エンデュランスロードよりも前傾の深いポジションを可能とした。この中間ポジションに設定することで、フロントサスペンションが稼働した際の違和感を最小限にとどめた。
加えて、キャノンデールが誇るテクノロジーを随所に用いられていることも特徴だ。リア三角形にはSYNAPSE用に開発されたSAVE PLUSマイクロサスペンションシステムを採用することで、高い振動吸収性を実現した。ディスクブレーキの台座は、シマノが提案するフラットマウント規格対応のブレーズオン・ディスクブレーキマウントを採用し、今後のアップグレードにも対応可能としている。リアハブには12mm径のスルーアクスルを採用するため、ハブ周りの剛性にも心配は無い。
シートポストは27.2mm径とし、柔軟性を確保することで快適性を向上させている。また、ワイヤー内臓のドロッパーシートポストにも対応しているため、MTBのように走行するシチュエーションに合わせて細かくシートの高さを調節することが可能だ。
販売パッケージはシマノ ULTEGRA完成車と、シマノ105完成車の2種類。いずれもフレーム素材は6061アルミを使用。BB規格はBB30aだ。タイヤはパナレーサー製の42Cスリックタイヤが標準装備、サドルはファブリックのScoopだ。
ロードバイクでもMTBでもなければ、グラベルロードでもない。全く新しいジャンルのSLATE。対応できるシチュエーションが広く、どこでも遊べるバイクを、キャノンデールの山本和弘さんがインプレッション。ロード、MTB、シクロクロスバイクを乗りつくした山本さんが語るSLATEとは?
ーインプレッション
「走る場所を限定せず、どこでも走れる全く新しいタイプのバイク」山本和弘(キャノンデール・ジャパン)
SLATEはロードやシクロクロス、MTBというような、これまでのジャンルの枠に収まらないようなバイクです。あえて言うならば「SLATE」というカテゴリーのバイクですね。舗装路ではシクロクロスよりも軽快に進み、未舗装路ではMTBに迫る走行性能を発揮するといった懐の深さがSLATEの魅力です。普段は行かないようなところまで連れて行ってくれる、そんなバイクですね。
このバイクはどんな場面でも衝撃をいなすマイルドな乗り心地を持っていることが特徴です。特に砂利道では、まるで浮いているかのように感じるほど衝撃が少なく、ロードでは決して味わえない乗り心地を体感することができます。フロントフォーク「レフティー・オリバー」に目が行きがちですが、快適性は42Cタイヤのエアボリュームとの組み合わせによって生み出されていますね。
そして、650Bと42Cのスリックタイヤという組み合わせもSLATEのアイデンティティの1つです。これによりタイヤの外径が700Cホイールと同様となり、シクロクロスバイク以上の走りの軽さを生み出しています。また、650Bという700Cよりも小径なホイールは剛性が高く、オフロードでも安心して攻められます。SLATEの魅力を引き出すためには空気圧のセッティングが大切です。オンロードを走るなら4気圧、オフロードを走るならば3気圧以下とロードと比較してかなり低めに設定してあげることで、本来の力を発揮できます。
フレームは小さく見えますが、オフロードを走る際はこのコンパクトなフレームワークが活きています。具体的にはリーチが短いため、自分の懐でバイクをコントロールしやすいですね。この扱いやすさが、オフロード走行での楽しさに繋がっているのでしょう。
ただ、ある程度のスキルを求めるバイクでもあります。スポーツバイクに乗り慣れ、バイクコントロールができるライダーでないと、このバイクの魅力を十分に味わうことが難しいかもしれません。それはスリックタイヤがアッセンブルされているので、オフロードではタイヤのグリップが抜けやすく、ビギナーの方は恐怖感を覚えてしまうかもしれません。
また、トレーニングのように追い込んで走らせるようなバイクでもないですね。SLATEはある程度気持ちにゆとりをもたせ、追い込む一歩手前で楽しむような乗り方があっています。
アルミ製フレーム、レフティ、SAVEテクノロジーとキャノンデールのアイデンティティとも言えるテクノロジーが詰め込まれています。そして、走る場所を限定せず、冒険できるバイクとなっています。ですので、興味を持たれたならば冷やかしでもいいので、一度乗って頂きたいですね。
キャノンデール SLATE
フレーム:Slate, SmartFormed 6069 Alloy, Di2 ready, SAVE PLUS, BB30a
フォーク:Cannondale Lefty Oliver Carbon w/ PBR, 30mm Travel, 45mm offset
リム:Slate Disc, 650b, 28H, welded
ハブ:Lefty 50 Road front, Formula 142x12mm thru rear, 28h
スポーク:DT Swiss Champion
タイヤ:Cannondale Slate Folding TRS tubeless, 650x42c, by Panaracer
キャノンデール SLATE ULTEGRA
クランク:Cannondale HollowGram Si, hollow forged, w/ OPI SpideRing, BB30a,52/36
ディレイラー:Shimano Ultegra 6800
シフター:Shimano R685 Hydraulic Disc
ブレーキ:Shimano BR785/805, 140/140mm
サイズ:SM (01)、MD (02)、LG (03)、XL (04)
カラー:Stealth Grey w/ Acid Orange and Brushed Silver, Gloss - ORG (70)
価 格:470,000円(税抜)
キャノンデール SLATE 105
クランク:Cannondale Si, BB30a, FSA rings, 52/36
ディレイラー:Shimano 105 5800
シフター:Shimano R505 Hydraulic Disc
ブレーキ:Shimano BR785/505, 160/140mm
サイズ:SM (01)、MD (02)、LG (03)、XL (04)
カラー:Army Green w/ Neon Spring, Matte - GRN (30)
価 格:390,000円(税抜)
text:Gakuto.Fujiwara
photo:So.Isobe, Naoki.Yasuoka
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