超級山岳グランドン峠の下りで逃げグループの中から飛び出したのはロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)だった。崖に梯子をかけたような2級山岳を乗り切ったバルデが独走勝利。フランスとAG2Rラモンディアールにステージ2勝目をもたらした。
ツール初登場の2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエ photo:Kei Tsuji
ツール・ド・フランス2015第18ステージ image:A.S.O.
ツール・ド・フランス2015第18ステージ image:A.S.O.
スタート直後の2級山岳で飛び出したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ら photo:Tim de Waeleツール第18ステージに登場するカテゴリー山岳の数は今大会最多の7つ。2級山岳と3級山岳を繰り返しながらレースは北上を続け、グルノーブル近郊で険しい山岳に入る。実質的な登坂距離が50km近い超級山岳グランドン峠(21.7km/5.1%)は、急勾配や緩斜面、平坦区間、下り区間を含む難易度の高い登り。そこから谷底まで一気にダウンヒルし、ツール初登場の2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエ(3.4km/8.2%)に挑む。
逃げグループを牽引するクリストフ・リブロン(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waele登坂距離3.4kmの距離に17のヘアピンコーナーがあるつづら折りの山道を抜けるとフィニッシュまで10km。この日もレース序盤に形成された大きな逃げグループがメイン集団を振り切る展開となった。
アルプスの山々を横目に進むチームスカイ photo:Tim de Waeleスタート直後の2級山岳で飛び出したのは、次点でマイヨアポワを着るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)やジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)。クライマーたちのイニシアティブで始まった動きは、最終的に29名の逃げグループ形成につながる。
29名の大きな逃げグループが先行する photo:Tim de Waele総合11位ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、総合12位アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)、総合14位ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)、総合15位セルジュ・パウエルス(ベルギー、MTNキュベカ)、総合18位ティボー・ピノ(フランス、FDJ)、総合19位ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)らが逃げに乗ったため、総合系チームが警戒心を解かずに追走する。
メイン集団を全力で牽引するジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waele総合9位バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)と総合10位ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)の順位を守りたいトレックファクトリーレーシングとジャイアント・アルペシンがチームスカイを援護。タイム差の拡大を5分に抑え込んだ。
逃げグループの中で積極的に山岳ポイントを稼いだのはロドリゲスで、前半の4つのカテゴリー山岳で11ポイントを量産して暫定山岳賞トップに。やがて最大の難所である超級山岳グランドン峠の登りが始まると、逃げグループの中でのセレクションが始まった。
急勾配の登りで逃げグループは11名に絞られ、頂上まで4kmを残してアタックしたロランにはバルデとフグルサングだけが合流。フグルサングはモーターバイクと絡んで落車する中、バルデとビネル・アナコナゴメス(コロンビア、モビスター)の順で頂上をクリアする。
一方のメイン集団からはロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)、ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)、マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)がアタックして先行。
ここにアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がジョインし、頂上手前でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が動きを見せたものの、チームスカイがメイン集団を率いてこれらの動きを全て封印。ハイペースで登りを進んだメイン集団からは総合9位のモレマらが脱落した。
超級山岳グランドン峠に差し掛かるメイン集団 photo:Tim de Waele
超級山岳グランドン峠で逃げの人数を絞り込むロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)やピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) photo:Tim de Waele
勾配のある超級山岳グランドン峠を進むメイン集団 photo:Tim de Waele
超級山岳グランドン峠でメイン集団から飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)ら photo:Tim de Waele
メイン集団からアタックを仕掛けるナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele
超級山岳グランドン峠の頂上に差し掛かる逃げグループ photo:Tim de Waele
独走するロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waele超級山岳グランドン峠の長くテクニカルな下りでアタックしたバルデは、8名の追走グループに対して40秒リード、そしてメイン集団に対して2分40秒のリードを築き上げて最後の2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエへ。
コンタドールを連れてアタックするラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele観客や大会関係車両の立ち入りが禁止されたスイッチバックを先頭でこなしたバルデが、そのままサンジャン・ド・モーリエンヌに向けてダウンヒル。単独追走したロランを33秒引き離して、バルデが独走勝利を飾った。
2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエでメイン集団のペースを上げるロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waele「(第14ステージの)マンドでの敗北が、今日の勝者を生み出した」とステージ優勝を飾ったバルデは語る。連日アタックし続けた24歳が自身初のステージ優勝と敢闘賞を獲得し、山岳賞でロドリゲスと同ポイントの2位に浮上している。
「今日は何としても逃げに乗り、さらに超級山岳グランドン峠で逃げを可能な限り小さくする必要があった。麓からアタックしようと思ったものの、向かい風がきつくてタイミングを待ったんだ。一緒に逃げたチームメイト2人が大きな助けになったよ」と、フランスとAG2Rラモンディアールにステージ2勝目をもたらしたバルデは語る。
3分遅れで2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエに差し掛かったメイン集団ではラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)がコンタドールを連れてアタック。続いてヘーシンクらがアタックしたものの総合上位陣はばらけずに頂上をクリアし、まとまってフィニッシュラインを切った。
前日の落車を感じさせないアグレッシブな走りを見せたコンタドールは「傷が痛んだし、キャリアの中で最も厳しい一日だった。でもトライしなければ何も起こらない」と振り返る。フルームは1秒も失うことなくマイヨジョーヌを守り、3分10秒遅れでキンタナが追う展開は変わらず。マイヨジョーヌ争いは翌日の1級山岳ラ・トゥッスイールと、最終日前日の超級山岳ラルプデュエズで決する。
ロランを33秒振り切ってフィニッシュに飛び込むロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waele
2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエを登るグルペット photo:Kei Tsuji
先頭バルデから3分03秒遅れでやってきたマイヨジョーヌグループ photo:Tim de Waele
Résumé - Étape 18 (Gap > Saint-Jean-de... par tourdefrance
ツール・ド・フランス2015第18ステージ結果
1位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) 5h03’40”
2位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +33”
3位 ビネル・アナコナゴメス(コロンビア、モビスター) +59”
4位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
6位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、MTNキュベカ) +1’01”
7位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー) +1’50”
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +1’55”
10位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +3’02”
11位 ロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
12位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
13位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
14位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
15位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
16位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
17位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
18位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
21位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +3’21”
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 74h13’31”
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +3’10”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +4’09”
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +6’34”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +6’40”
6位 ロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +7’39”
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +8’04”
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) +8’47”
9位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +12’06”
10位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +12’52”
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 420pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 316pts
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) 281pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 68pts
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) 68pts
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) 64pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 74h16’41”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +9’42”
3位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +9’58”
チーム総合成績
1位 モビスター 223h36’08”
2位 MTNキュベカ +36’23”
3位 チームスカイ +39’38”
ステージ敢闘賞
ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
リタイア
DNS ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)
DNF マーク・レンショー(オーストラリア、エティックス・クイックステップ)
text:Kei Tsuji in Saint-Jean-de-Maurienne, France








逃げグループの中で積極的に山岳ポイントを稼いだのはロドリゲスで、前半の4つのカテゴリー山岳で11ポイントを量産して暫定山岳賞トップに。やがて最大の難所である超級山岳グランドン峠の登りが始まると、逃げグループの中でのセレクションが始まった。
急勾配の登りで逃げグループは11名に絞られ、頂上まで4kmを残してアタックしたロランにはバルデとフグルサングだけが合流。フグルサングはモーターバイクと絡んで落車する中、バルデとビネル・アナコナゴメス(コロンビア、モビスター)の順で頂上をクリアする。
一方のメイン集団からはロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)、ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)、マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)がアタックして先行。
ここにアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がジョインし、頂上手前でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が動きを見せたものの、チームスカイがメイン集団を率いてこれらの動きを全て封印。ハイペースで登りを進んだメイン集団からは総合9位のモレマらが脱落した。









「今日は何としても逃げに乗り、さらに超級山岳グランドン峠で逃げを可能な限り小さくする必要があった。麓からアタックしようと思ったものの、向かい風がきつくてタイミングを待ったんだ。一緒に逃げたチームメイト2人が大きな助けになったよ」と、フランスとAG2Rラモンディアールにステージ2勝目をもたらしたバルデは語る。
3分遅れで2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエに差し掛かったメイン集団ではラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)がコンタドールを連れてアタック。続いてヘーシンクらがアタックしたものの総合上位陣はばらけずに頂上をクリアし、まとまってフィニッシュラインを切った。
前日の落車を感じさせないアグレッシブな走りを見せたコンタドールは「傷が痛んだし、キャリアの中で最も厳しい一日だった。でもトライしなければ何も起こらない」と振り返る。フルームは1秒も失うことなくマイヨジョーヌを守り、3分10秒遅れでキンタナが追う展開は変わらず。マイヨジョーヌ争いは翌日の1級山岳ラ・トゥッスイールと、最終日前日の超級山岳ラルプデュエズで決する。



Résumé - Étape 18 (Gap > Saint-Jean-de... par tourdefrance
ツール・ド・フランス2015第18ステージ結果
1位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) 5h03’40”
2位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +33”
3位 ビネル・アナコナゴメス(コロンビア、モビスター) +59”
4位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
6位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、MTNキュベカ) +1’01”
7位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー) +1’50”
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +1’55”
10位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +3’02”
11位 ロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
12位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
13位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
14位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
15位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
16位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
17位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
18位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
21位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +3’21”
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 74h13’31”
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +3’10”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +4’09”
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +6’34”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +6’40”
6位 ロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +7’39”
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +8’04”
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) +8’47”
9位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +12’06”
10位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +12’52”
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 420pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 316pts
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) 281pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 68pts
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) 68pts
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) 64pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 74h16’41”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +9’42”
3位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン) +9’58”
チーム総合成績
1位 モビスター 223h36’08”
2位 MTNキュベカ +36’23”
3位 チームスカイ +39’38”
ステージ敢闘賞
ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
リタイア
DNS ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)
DNF マーク・レンショー(オーストラリア、エティックス・クイックステップ)
text:Kei Tsuji in Saint-Jean-de-Maurienne, France
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