中級山岳コースで生き残ったのは64名の集団。ヴァランスの最終ストレートで四強スプリンターが激突し、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がステージ3勝目をマークした。



スタート直後の3級山岳で大きな逃げグループが先行するスタート直後の3級山岳で大きな逃げグループが先行する photo:Kei Tsuji
ツール・ド・フランス2015第15ステージツール・ド・フランス2015第15ステージ image:A.S.O.ツール・ド・フランス2015第15ステージツール・ド・フランス2015第15ステージ image:A.S.O.


4級山岳を含むアップダウンを繰り返す4級山岳を含むアップダウンを繰り返す photo:Tim de Waeleピレネーからアルプスへの移動ステージも大詰め。とは言え依然としてレースの舞台は中央山塊。レース前半から3級山岳、4級山岳、4級山岳が連続して登場し、残り57km地点で2級山岳エスクリネ峠(7.9km/5.8%)をクリアする。

2日連続で逃げを試みたティボー・ピノ(フランス、FDJ)2日連続で逃げを試みたティボー・ピノ(フランス、FDJ) photo:Tim de Waele逃げ切りの可能性もあるステージだが、この集団スプリントを逃すとピュアスプリンターのチャンスは最終日パリ・シャンゼリゼまで回ってこない。貴重なチャンスだけに、スプリンターチームが序盤からレースを支配した。

マイヨジョーヌを着るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを着るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsujiダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)のファーストアタックで始まったレースは、序盤の3級山岳で27名が先行する展開に。チームスカイが状況を沈静化させると、集団スプリントを目論むカチューシャがコントロールを開始する。

大所帯の逃げグループはレースの進行とともに縮小し、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)、マイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)、ラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)、サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)、ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン)、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)という9名が先行を開始。もちろんサガンがスプリントポイントを先頭通過し、マイヨヴェール獲得に向けてリードを広げている。

カチューシャとチームスカイの集団コントロールによって逃げグループのリードは3分以上に広がらず。序盤のアップダウンで遅れたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)は集団に復帰することが出来ず、グルペットを形成してフィニッシュを目指す他なかった。



カチューシャがメイン集団を長時間牽引するカチューシャがメイン集団を長時間牽引する photo:Tim de Waele
逃げグループを率いるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)逃げグループを率いるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele4級山岳の下りをこなすクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)4級山岳の下りをこなすクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele
2級山岳エスクリネ峠(7.9km/5.8%)をクリアするメイン集団2級山岳エスクリネ峠(7.9km/5.8%)をクリアするメイン集団 photo:Tim de Waele


レース中盤にかけて高度を下げていくレース中盤にかけて高度を下げていく photo:Tim de Waeleフィニッシュまで50kmを切って独走に持ち込んだトレンティンにはヘシェダルが単独で合流する。2級山岳エスクリネ峠を越えた時点で集団は70名弱に。ロット・ソウダルとユーロップカー率いるメイン集団はペースを弱めず追走し、先頭トレンティンとヘシェダルを含めて残り29km地点で逃げを全て吸収してしまう。

ユーロップカーとロット・ソウダルがメイン集団を牽引ユーロップカーとロット・ソウダルがメイン集団を牽引 photo:Tim de Waeleロット・ソウダルとユーロップカー、カチューシャが積極的に集団をリードしてヴァランスの街へ。残り4kmを切った街中でゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)が単独アタックを成功させたが、フラムルージュ(残り1kmアーチ)を前に吸収。最終的に64名による集団スプリントが繰り広げられた。

スプリントで競り合うジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)スプリントで競り合うジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele残り400mの最終コーナーを立ち上がり、後方の動きを確認して最初にスプリントを開始したのはグライペル。ロングスプリントを仕掛けたグライペルをジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)が追撃し、遅れてアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)とペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)も戦場へ。

横一線でフィニッシュした4名の中で、悠々とガッツポーズを決めたのはグライペルだった。「リードアウトの選手たちを欠く中で、総合狙いのトニー・ギャロパンの助けを得てスプリントに持ち込めた。最後はクリストフの番手をとって、残り250mで最初にスプリントを開始。残り100mでトップギア(11T)に入れて踏み続けた。経験が勝利に繋がったと思う」と振り返るグライペルがデゲンコルブ、クリストフ、サガンを振り切った。

「今年のツールで最速スプリンターではないかも知れないけど」とグライペルは謙遜するが、第2ステージと第5ステージに続く今大会最多の3勝目。落車によって3針を縫ったことを感じさせない走りで栄光を掴み取った。

サガンは再びのトップ5フィニッシュで、ポイント賞リード拡大に成功。集団内で安全に走りきったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)がマイヨジョーヌ、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がマイヨブランをキープしている。



四強によるスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)四強によるスプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji
ゆっくりと表彰台の雰囲気を堪能するアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)ゆっくりと表彰台の雰囲気を堪能するアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsujiマイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji


Résumé - Étape 15 (Mende > Valence) - Tour de... par tourdefrance



ツール・ド・フランス2015第15ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)              3h56’35”
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)
6位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、キャノンデール・ガーミン)
7位 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
8位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 フロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・セシェ)

マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)               59h58’54”
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)                +3’10”
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)        +3’32”
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)             +4’02”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)         +4’23”
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)               +4’54”
7位 ロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)             +6’23”
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)             +8’17”
9位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)             +8’23”
10位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)        +8’53”

マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)            360pts
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)             316pts
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)         264pts

マイヨアポワ(山岳賞)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)                61pts
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)              52pts
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)               41pts

マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)              60h02’04”
2位 ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)          +7’53”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)            +10’00”

チーム総合成績
1位 モビスター                               181h14’18”
2位 チームスカイ                               +15’39”
3位 ティンコフ・サクソ                            +30’28”

ステージ敢闘賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

リタイア
DNF セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、キャノンデール・ガーミン)

text:Kei Tsuji in Valence, France