初めて関東で開催されるロード全日本選手権。6月21日には栃木県北東部の大田原市にて個人タイムトライアルとパラサイクリングが行われる。前回王者の別府史之を欠くも、佐野淳哉、山本元喜、阿部嵩之らTT巧者が顔を揃える男子は混戦必至。女子は昨年優勝の萩原麻由子と2位の與那嶺恵理が再び激突する。



急勾配の登り下りや急カーブを含むバリエーションに富んだコース

コース途中に設定されている登坂距離260m、平均勾配11.5%の登りコース途中に設定されている登坂距離260m、平均勾配11.5%の登り (c)YUKIO MAEDA/M-WAVE今年の全日本選手権タイムトライアルの舞台となるのは、栃木県北東部に位置する大田原市。ロードの開催地である那須塩原市に隣接し、松尾芭蕉の「奥の細道」と縁の深い地として知られる自然豊かな地域である。

岩手県八幡平市や秋田県大潟村など、ここ数年は平坦基調のコースで争われることが多かったが、一転して今年は急勾配の上り下りや、コントロールテクニックを要すの急カーブなどバリエーションに富んだコース設定となっている。ふれあいの丘をスタート/ゴール地点とする特設コースは1周あたり12.4kmで、獲得標高は84m。男子エリートは3周、女子エリートは2周、男子U23を始めとしたその他カテゴリーは1周で争われる。

距離に対する獲得標高は八幡平のコースより小さいものの、ゴール1km手前には距離260m/平均勾配11.5%の急坂が待ち構えている。その他にも5%を超える登りが数個あり、必ずしも大柄なスピードマンに有利というわけではなく、様々な脚質のライダーにチャンスがあると言い得るだろう。



前回王者不出場の男子は混戦必須 女子は萩原と與那嶺が再び激突

昨年の全日本TTで2位に入った佐野淳哉(那須ブラーゼン)だったが昨年の全日本TTで2位に入った佐野淳哉(那須ブラーゼン)だったが (c)Makoto.AYANO
山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Hideaki TAKAGI雨となった2012年全日本TTで優勝した西薗良太(ブリヂストンアンカー)雨となった2012年全日本TTで優勝した西薗良太(ブリヂストンアンカー) (c) Sonoko TANAKA阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI男子エリートは別府史之(トレックファクトリーレーシング)、女子エリートは萩原麻由子(Wiggle Honda)と海外トップチームで活躍する両名がナショナルチャンピオンジャージを獲得した昨年の全日本TT。

前回大会王者が不出場ながら、幅広い脚質のライダーが顔を揃えた男子エリートは混戦必至だ。昨年を含め過去3回2位に入っている現ロード全日本王者の佐野淳哉(那須ブラーゼン)は、調子こそ上がっていないものの、チームの地元で是が非でも初優勝を掴み取りたいところ。

その佐野と同じく表彰台に登った山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)はツール・ド・コリアを総合6位で終えるなどコンディションは万全の様子。

そして、2012年は優勝、2013年は僅差の2位で今季復帰を果たした西薗良太(ブリヂストンアンカー)も虎視眈々と3年ぶりの王者返り咲きを狙う。

昨年のU23TT王者で、ジロ・デ・イタリア出場を果たした石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)はエリートでもその力が注目されるところ。

その他TT巧者としては2013年優勝の大場政登志(チャンピオンシステム)、独走力に定評のある阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、2013年には2位に入った中距離トラックのスペシャリスト窪木一茂(Team UKYO)、U23ながらエリートに挑戦する岡篤志(EQA U23)、MTBクロスカントリー全日本王者の武井亨介(FORZA・YONEX)らもエントリーリストに名を連ねた。

一方、TT巧者に対して登りで勝機を見出したいのが体重の軽いパンチャー勢で、土井雪広(Team UKYO)と増田成幸(宇都宮ブリッツェン)も優勝候補の一角となるだろう。土井は昨年の全日本TTで9位、増田は昨年のJBCF渡良瀬TTで4位(日本人では2位)と共に平地力にも長けている。



石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji窪木一茂(Team UKYO)窪木一茂(Team UKYO) photo:Hideaki TAKAGI

土井雪広(Team UKYO)土井雪広(Team UKYO) photo:Hideaki TAKAGI増田成幸(宇都宮ブリッツェン)増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI




女子エリートは昨年の覇者である萩原麻由子(Wiggle HONDA)が大本命だ。5月末にはUCI1.1クラスのレースで連続して3位表彰台を獲得。TTでは2月のアジア選手権で2位になるなど、プロ3年目にして強豪選手が多く所属するチームの中でも大きな存在感を示している。そして対抗馬は、昨年2位で、2013年には萩原を破り優勝した與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)。豊岡英子(パナソニックレディース)、金子広美(イナーメ信濃山形)、学生個人ロードTT2位の齋藤望(日本体育大学)などが表彰台の座を争うことになるだろう。

男子U23はアジア戦個人TT銅メダル獲得の小石祐馬(チャンピオンシステム)、学生個人ロードTT2連覇の山本大喜(鹿屋体育大)、学生個人ロード優勝の浦佑樹(東京大)、橋本英也(鹿屋体育大)らの戦いになると予想される。男子ジュニアは石上優大(横浜高校)、女子ジュニアは梶原悠未(筑波大付属坂戸高)がそれぞれ有力候補だ。



萩原麻由子(Wiggle HONDA)萩原麻由子(Wiggle HONDA) photo:Satoru.Kato與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Sonoko.Tanaka

アジア選手権U23男子個人タイムトライアルで銅メダルを獲得した小石祐馬(チャンピオンシステム)アジア選手権U23男子個人タイムトライアルで銅メダルを獲得した小石祐馬(チャンピオンシステム) photo:Sonoko.Tanaka学生個人ロードTT2連覇の山本大喜(鹿屋体育大学)学生個人ロードTT2連覇の山本大喜(鹿屋体育大学) photo:Satoru KATO

梶原悠未(筑波大坂戸高校)梶原悠未(筑波大坂戸高校) photo:Satoru.Kato石上優大(横浜高校)石上優大(横浜高校) photo:Hideaki TAKAGI




タイムスケジュール

6月20日(土)
15:00~16:00 ライセンスコントロール、ゼッケン配布:大田原市ふれあいの丘シャトーエスポワール
16:00~16:30 監督会議、ライダーズミーティング:大田原市ふれあいの丘シャトーエスポワール
16:30~17:00 共同インタビュー/メディアミーティング:大田原市ふれあいの丘シャトーエスポワール

6月21日(日)
07:00~07:20 当日ライセンスコントロール、ゼッケン発給:大田原市ふれあいの丘シャトーエスポワール
07:00 バイクチェック開始:大田原市ふれあいの丘駐車場
07:20~07:40 ライダーズミーティング 大田原市ふれあいの丘:シャトーエスポワール
07:50~ 開会式:スタート地点
08:00~ WU17、WJ、MU17スタート:大田原市特設コース
08:25~ MJスタート:大田原市特設コース
09:00~ U23スタート:大田原市特設コース
09:45~ WC2、MH3-4、MT2、MC2-5、MBスタート:大田原市特設コース
11:00~ WEスタート:大田原市特設コース
10:30~11:00 表彰式 ふれあいの丘:イベント広場特設ステージ
12:30~ ME第1ウェーブスタート:大田原市特設コース
14:00~ ME第2ウェーブスタート:大田原市特設コース
15:15~15:45 表彰式 ふれあいの丘:イベント広場特設ステージ

なおスタートリストは下記リンクのPDFファイルをダウンロードして確認して下さい。

text:Yuya.Yamaoto
関連ファイル
TTriders list.pdf (451.93 KB)