リーダージャージ獲得を狙うペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)を振り切ってマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が勝利。40名の小集団スプリントでキャンベラ生まれの24歳がツール・ド・スイス初勝利を飾った。



スイス東部の田園風景の中を走るスイス東部の田園風景の中を走る photo:Tim de Waele


ツール・ド・スイス2015第4ステージツール・ド・スイス2015第4ステージ image:www.tourdesuisse.chスイス東部のフリムスラークスファレーラからシュヴァルツェンバッハまで、アップダウンをこなしながら進む193.2km。後半にかけて3級山岳フーゼンシュトラッセ(1.9km/6%)を含むシュヴァルツェンバッハを起点にした29kmの周回コースを3周する。

スイス東部の田園風景の中を走るスイス東部の田園風景の中を走る photo:Tim de Waele前日までより難易度は低いが、3級山岳フーゼンシュトラッセがピュアスプリンターの侵入を拒む。加えてボーナスタイムをかけた闘いも勃発したため、獲得標高差2300mという数字以上に厳しいステージとなった。

序盤から逃げるステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)ら5名序盤から逃げるステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)ら5名 photo:Tim de Waele第4ステージのスタート時点で総合首位トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)と総合2位サガンのタイム差は5秒。ツール・ド・スイスではフィニッシュで10秒、6秒、4秒のボーナスタイム、スプリントポイントで3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが設定されている。つまりサガンがステージ優勝を飾れば総合は逆転する。

沿道にはペーター・サガン応援団が沿道にはペーター・サガン応援団が photo:Tim de Waeleレースは序盤からアレックス・ハウズ(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)やトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)ら5名が逃げたものの、メイン集団とのタイム差は3分止まり。ステージ優勝を狙うオリカ・グリーンエッジのペースアップによって、シュヴァルツェンバッハの周回コースに差し掛かる頃には1分を割り込んだ。

オリカ・グリーンエッジがメイン集団をコントロールするオリカ・グリーンエッジがメイン集団をコントロールする photo:Tim de Waele逃げを早々に捕まえ、スピードを弱めることなく周回を重ねたメイン集団からはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)やアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)らが相次いで脱落する。

ドゥムランのために働くジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)ドゥムランのために働くジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン) photo:Tim de Waele2回目のスプリントポイントで動いたのはリーダージャージを着るドゥムランで、先頭通過によってボーナスタイム3秒を獲得(ドゥムランとサガンとの総合タイム差は5秒→8秒)。

終盤にアタックしたセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)終盤にアタックしたセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) photo:Tim de Waele続いてアレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)やジョナサン・フモー(スイス、IAMサイクリング)らがカウンターアタックを仕掛け、ルトセンコが独走で2回目のスプリントポイントを先頭通過。その後方ではサガンが2番手通過し、ボーナスタイム2秒を獲得した(ドゥムランとサガンとの総合タイム差は8秒→6秒)。

独走していたルトセンコは残り7kmを切って吸収。集団先頭ではアタックが継続し、登りでマルコ・マルカート(イタリア、ワンティ・グループグベルト)やセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)、ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2Rラモンディアール)が飛び出したものの、オリカ・グリーンエッジやティンコフ・サクソの集団牽引によって残り2kmで吸収。アップダウンコースで生き残った40名によるスプリントが始まった。

ステージ連勝と総合逆転を狙うサガンが早めに仕掛け、その後ろからマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が追い上げる。サガンは先頭を守りきることが出来ず、フィニッシュラインまで加速し続けたマシューズが勝利した。

「昨日のスプリントを見る限りサガンが好調なのは間違いなかった。だから今日は彼の後輪に食らいついて、そこから全力でスプリントしたんだ。この近くに住んでいるチームメイトのミハエル・アルバジーニがスプリントを狙いたがっていたけど、最終的に僕をアシストしてくれた。経験豊かで尊敬している彼のサポートを受けるなんて感激だった」とマシューズは振り返る。

中級山岳ステージでの小集団スプリントにめっぽう強いマシューズはパリ〜ニース、ブエルタ・アル・パイスバスコ、ジロ・デ・イタリア、そしてこのツール・ド・スイスでステージ優勝。2015年のUCIワールドツアーレースで勝利を重ねている。

ステージ2位に入ったサガンはボーナスタイム6秒を獲得。ドゥムランと同タイムで並んだが、初日の個人タイムトライアルでついた0秒以下の差によって総合逆転は起こらなかった。「スプリントを開始するのが早すぎた。自分自身のミス。でもこれがロードレースだ」とサガン。リーダージャージ獲得は逃したが、ポイント賞ではトップに立っている。

また、この日、MRI検査によって脛骨に小さなヒビが見つかったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)はスタートしなかった。ヒビはフレーシュ・ワロンヌでの落車が原因であると考えられており、ジルベールはツール・ド・フランスのメンバーから外れることが決まっている。

選手コメントはチーム公式サイトより。



サガンをスプリントで下したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)サガンをスプリントで下したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele




ツール・ド・スイス2015第4ステージ結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)  4h36’00”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)      
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
5位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
7位 シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)
8位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)

個人総合成績
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)      11h19’09”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)              +08”
4位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)              +09”
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)                    +15”
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)              +17”
7位 スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)                 +18”
8位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)       +21”
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)   +22”
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

山岳賞
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)

ベストスイスライダー賞
スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)

チーム総合成績
アスタナ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele