イギリス・ロンドン発のロードウェアブランドRaphaがリリースした、軽量感と冷却性を追求し同社2作目となるロード用シューズ「Climber's Shoes」。チームスカイお墨付きの高い機能性と、Raphaらしい上質さあふれるアイテムをインプレッションした。



Rapha Climber’s Shoesを長期インプレッションしたRapha Climber’s Shoesを長期インプレッションした
ヤク革を用いたアッパーやトゥーストラップをイメージした差し色など、Rapha製品に共通する上品さとクラシカルなフォルムを兼ね備えた「GT Shoes」。その流れを汲みつつ、よりレースユースを視野に入れ機能性に高めたのが、同社2作目となるロード用シューズ「Climber’s Shoes」である。

シンプかつトラブルと無縁なのはベルクロならでは。細かく調整ができるのも良いシンプかつトラブルと無縁なのはベルクロならでは。細かく調整ができるのも良い アッパー全体のパンチングは履き心地の柔らかさに通じているように感じるアッパー全体のパンチングは履き心地の柔らかさに通じているように感じる Climber’s Shoesの特徴は、ネーミングから想像できるとおり、クライマー向けに軽さと通気性を徹底的に高めたことにある。ワイヤーやラチェットのクロージャーを使わず、あえて伝統的なベルクロを用いたことも無駄を削ぎ落とすためだ。

GT Shoesでヤク革を使っていたアッパーは、耐久性に勝る合成皮革に変更されている。全面に施されたパンチングはクーリングのための通気孔と、柔軟性を高めてしなやかな履き心地を得るための工夫である。根強い人気があるフック&ループ式3本ベルクロも軽量化を追求しており、強度を確保しつつ生地を可能な限り薄くし、アッパー同様にパンチング加工が施されている。

アウターソールはGT Shoes同様にイーストン製ながら、より軽量になったトップグレードの「EC90 SLXII」だ。プロのハイパワーをロス無く受け止める高い剛性を備えつつ、厚みを抑えることでダイレクトなペダリングフィールに貢献。ヒール部分はネジ止め式としており、磨り減った際には交換可能だ。

インソールはシューズメーカーとしても高い評価を受けるジロ製。同社のハイエンドモデルにも搭載されている「SuperNatural」は、付属する3種類のインサートを交換することで、アーチサポートの強さを変更することが可能だ。また、ヘルメットのインナーパッドと同じくX-Staticという抗菌処理が施されている。

Climber’s Shoesは昨シーズンの中頃からRaphaがサポートするチームスカイのライダーにも供給されており、クライマーのイアン・ボスウェル(アメリカ)に加え、ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)も使用中。レース中継で彼らの足元を支えるブルーのシューズが目に止まった方も少なくないだろう。



ーインプレッション「適度にソフトで上質な履き心地が特徴のラグジュアリーな1足」

かかと周りの上質感はかなりもの。長時間履いても疲れが出にくいかかと周りの上質感はかなりもの。長時間履いても疲れが出にくい 締付が掛かる足入れ口は、まるでソファーのような心地よさ締付が掛かる足入れ口は、まるでソファーのような心地よさ Climber’s Shoes一言で表現するならば「ラグジュアリー」という言葉が一番しっくりとくるかもしれない。レーシングシューズながら機能性一辺倒ではなく、所有する満足感を満たしてくれるRaphaらしい1足である。

薄手のアッパー、高剛性なソール、そしてワイヤーやラチェットを使ったカッチリとした締め付け感が、おおよそ同価格帯のピュアレーシングシューズに共通する部分だろう。ロス無くパワーをペダルに伝えるためではあるものの、こうした履き心地を好まない方もいるはずだ。

このClimber’s Shoesに足を通した瞬間に感じるのが、決して緩すぎることのない、いい塩梅にソフトな履き心地。アッパーは厚手ながらも高い柔軟性を持っており、更にパンチング加工も効いているように思う。締付が掛かる足入れ口もかかと周りやタンにクッションを配しているため、まるで高級ソファーの様にしっとりと足に馴染んでくれる。他社モデルとは一線を画すこの履き心地と言って良いだろう。

伝統的な3本ベルクロもClimber’s Shoesの性格に良くマッチしていると思う。薄いアッパーとクロージャーの組み合わせの場合、不快なアタリが出てしまうことがあるが、Climber’s Shoesはベルクロを強く引っ張ってもアッパーが一体となって足を包み込んでくれる。ラチェットやダイヤルのようにコマではなく、細かくフィッティングを調整できる点、そしてトラブルが出にくい点はベルクロが今でも廃れない理由だろう。絶対的な締付力こそ譲ってしまうが、出発前にゆっくりと時間を掛けて一番「美味しい所」を探る所作は、ライドへ向かう気持ちを高揚させてくれたりも。

機能性と高級感。Raphaらしい魅力が詰まったロードシューズだ機能性と高級感。Raphaらしい魅力が詰まったロードシューズだ
もちろんラグジュアリー一辺倒では決してなく、ごく薄のイーストン製カーボンソールは僅かにしなりながら、踏み込んだ際にはしっかりとパワーを伝えてくれる。確実に剛性は高いものの、足が跳ね返されるほどではない。機材にシビアなチームスカイの選手が実際に使っていることからもレース性能は推し量れるだろう。上質な履き心地は快適性に繋がるため、長時間のライドでもそこまでの疲労を感じることが無かった。

先代のGT Shoesと違って合皮を使っているためお手入れも比較的簡単だし、長期間使ってもアッパーの伸びがとても少ない。ヒールパッドも交換可能なタイプに変更されているため、長く愛用できると思う。同社製のウェアならばパーフェクトマッチだが、シンプルなデザインなのでお気に入りの他ブランドジャージと組み合わせても違和感は無いだろう。

所有欲と高揚感、足元の存在感。そしてそれらを裏切らない履き心地とロードシューズ本来の機能性。それがClimber’s Shoesの魅力だと思う。



Rapha Climber's Shoes 
アッパー素材:多孔性合成皮革
アウターソール:イーストン EC90 SLXIIカーボン
インナーソール:イーストン ProLight SNフットベッド
カラー:White、Blue、Black
サイズ:39~48(47まではハーフサイズ展開あり)
価 格:50,000円(税込)
詳 細: http://www.rapha.cc/jp/ja/shop/climber%27s-shoes/product/PCS01

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