休息日以降しばらくスプリンター達の見せ場となるはずだったジロは、連日逃げが決まる展開に。逃げ切りを果たしたイルヌール・ザッカリンや、山岳賞ジャージを手に入れたベナト・インチャウスティらのコメントを紹介します。



逃げ切り勝利を果たしたイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)

25歳イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)が勝利25歳イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)が勝利 photo:Kei Tsuji
雨のイモラサーキットを逃げるイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)雨のイモラサーキットを逃げるイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) photo:Tim de Waele独走でフィニッシュするイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)独走でフィニッシュするイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) photo:Tim de Waeleまだこの勝利は信じられない。すごくハッピーで、興奮しているんだ!もう何日か経たないと、この大きな勝利を消化しきれなさそうだ。ロマンディーの後、僕とチームはもしかしたらジロの総合成績を争えるんじゃないかと考えて、サンレモにやってきた。でも、初日からあまり調子がよくなくて、ステージ狙いへと戦略を変更したんだ。そして今日、僕らはその目標を達成した。ロマンディーの総合優勝と、ジロのステージ優勝は比べられるようなものじゃないね。どちらもとっても大切なものさ。

今日は逃げに乗るというプランを持っていてたから、スタートから気をつけて走り、他のライダーのアタックに反応して逃げに乗ることができた。逃げ集団の中で僕らは良く働いていたけど、数日前に早くアタックしすぎた時のことを思い出していたんだ。だから今回はベストのタイミングが来るまで待ち続けることにした。

正直なところ集団はきっと直ぐに僕らを捕まえに来ると思っていたんだけど、そうはならなかった。だからトレモンティを最後に越える瞬間にアタックを仕掛けたんだ。僕は出来る限りの差を広げたけど、ラスト10kmはほんとうに苦しかった。

そして、残り2キロを切った時点で勝てるんじゃないかと気付いた。僕はやり切ったんだってね!チームのみんなとサポートしてくれたスタッフ、特にずっとチームカーから逃げている僕を助けてくれたドミトリー・コニシェフ監督には感謝している。

マリアアッズーラを取り戻したベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
 
マリアアッズーラを取り戻したベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)マリアアッズーラを取り戻したベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) ※写真は第8ステージ www.movistarteam.com逃げ集団を率いるベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)逃げ集団を率いるベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) www.movistarteam.com今日のコースプロファイルを見た時、第8ステージ同様にエスケープにとってとても良い条件が揃っていると感じたんだ。山岳ポイントを沢山稼げる訳ではなかったけど、ライバルに対して日々少しずつを積み重ねることが大切。同様に、可能性があるならステージ優勝を狙うこともね。

今日の逃げ集団内には、単にステージ優勝を狙うだけではなく様々な思惑が入り混じっていたから、皆お互いを牽制しあっていた。それだけに(イルヌール)ザッカリンがラスト2周でアタックした時は、尊敬の念を抱いたよ。そして自らの脚で、彼は自身の強さを証明してみせた。

既にステージ優勝を挙げていたから、ある種のアドバンテージがあった一方でプレッシャーも少なかった。でも、ザッカリンが最終周に入っても踏めていることには驚かざるを得なかったし、それを見て今日はお終いと思ったよ。追走グループはうまく協力できなかったし、ステージ優勝のチャンスを逃したことは残念だけど、最終的にはマリアアッズーラを取り戻すことができた。

今日僕が逃げに入ったことで、チームは脚を使うことなく1日を終えることができた。アンドレイ(アマドール)は、タイムトライルのスペシャリストとして実力があり、土曜のTTも彼向きだから、総合順位を上げることができると思う。チームとしてはアンドレイがこれからどの様にレースを展開したいのかに耳を傾け、日曜の山岳ステージで何ができるかを考える必要がある。そして、我々のチームには(ジョバンニ)ヴィスコンティとヨン・イサギーレもいる。彼らは総合で少しだけ順位を下げているが、ロングエスケープにのせて、トップ10が見える位置に順位を押し上げなければならない。

マリアローザを守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

もう左肩に不安を感じさせないアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)もう左肩に不安を感じさせないアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele
マリアローザを守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)マリアローザを守ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsujiいつだって、有名なスポーツイベントの舞台がゴールになったステージは特別だよ。テレビで見ている限り、モータースポーツのサーキットは自転車レースにとって非常に簡単にみえるけど、実際に走ってみればそんなことは無いし、とてもハードなんだ。

今日のコースについては事前を研究することが出来なかったけど、総合を争う上でライバルとなりライダーのうちの1人の調子が悪そうだと感じたから最終盤でアタックしてみたんだ。だけどタイムを稼ぐことは出来なかった。大げさじゃなく今日はハードな1日だった。集団内にはライバルが皆残っていたし、彼らと僕の差は極僅かだ。でも、脚もよく反応してくれたよ。

(ファビオ)アルのコンディションについて明言するには今日のレース映像を見返してみる必要があるけど、登りの際にとなりで見ていて、やや疲れているのではないかと感じた。でも、グランツールを走っていれば、体調が良い日もあれば、逆に悪い日もある。今日のステージの中では、タイム差を稼ぎ出せる様な登りがなかったのは確かだけど、常にライバルのコンディションを注視しなくてはならない。

マリアロッサを守るニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)

中間スプリントを獲得しマリアロッサを守るニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)中間スプリントを獲得しマリアロッサを守るニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF) www.bardianicsf.comメイン集団から飛び出したステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)メイン集団から飛び出したステファン・キュング(スイス、BMCレーシング) photo:Tim de Waele19分遅れのグルペットでフィニッシュする別府史之(トレックファクトリーレーシング)19分遅れのグルペットでフィニッシュする別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji昨日の勝利のあとで、今日もかなり多くの労力を払う必要のあるステージだった。最初のスプリントポイントを獲得したあと、山岳で脱落してしまったとき、一緒に支えてくれたチームメイトに感謝している。おかげでマイペースを保って登ることが出来た。まだまだジロは続くけど、このジャージを出来うる限りキープしたい。それが簡単じゃないことは分かっているんだけどね。

落車してしまったリゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)

集団の中で走っていたら、前走者が変速しながら減速してきて、彼のホイールにハスってしまった。次の瞬間には地面に叩きつけられていたよ。幸運なことに、チームカーがすぐそばにいて新しいバイクを直ぐに交換してくれた。走りだした時には早く集団に復帰しないとということで頭がいっぱいだったよ。

なんとか集団へ戻って、今度はフィニッシュまで集団内で走ることが出来た。でも少し残念だね。休息日の後の昨ステージと今日のステージは最初の週でダメージを受けた気管支炎からのリカバリーが出来ると思っていたから。落車と言うのはもちろんいいことじゃないし、明日からしばらくは万全の調子とはいかないだろう。でも、この状況下で最善を尽くさないといけない。ジロは明日からも続くんだから。

終盤にブリッジを試みたステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)

前を追うのに協力してくれる選手たちがいたら良かったんだけどね。一人で猛追を仕掛けたんだけど、監督は追い続けろと言っていた。チームメイトは集団で仕事をしていたから、あの周回で一人で走り続けるのは苦しかったね。でも、いつだってプッシュしつづけないと。

積極的にアタックを繰り返した別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)

今日のステージは序盤からアタックを繰り返し、最初の山の手前で決まりかけるも、山に入って吸収された。山岳を越えてイモラ・サーキットに向かう下りで集団が分裂して後ろに取り残されてしまった。かなり大きくなったグルペットでレースを終えた。サーキットにあるアイルトン・セナの亡くなった場所ではちょっと切なくなった。体調も良くなりコンディションは悪くないのでこれからチャンスあるかぎり攻め続けたい。

※各コメントは現地取材、レース/チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイト/Twitter/Facebookより。

text:Naoki.Yasuoka,Yuya.Yamamoto
photo:Kei.Tsuji,Tim de Waele,www.movistarteam.com,www.bardianicsf.com

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