「優勝できて本当に嬉しい。人数が少なかったもののゴール前を捌ききることができた。落車を防ぐには各選手がお互いにリスペクトすべき」とはアンドレ・グライペル。ゴール前の激しい大落車によってざわついたステージを、各選手が振り返ります。



優勝したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)

ドイツチャンピオンジャージとロット・ソウダルをアピールするアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)ドイツチャンピオンジャージとロット・ソウダルをアピールするアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji
勝利を喜ぶアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)勝利を喜ぶアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji本当に勝利できて嬉しく思っている。今日は残り2kmからの曲がりくねったコースを前に先頭をキープしなければいけない、とチームバスの中で話していたよ。結果的に簡単では無かったものの、事前の打ち合わせ通りことが運んだ。残り2kmから4人だけで先頭を牽ききったのは凄いことだと思う。アダム・ハンセンが残り1.2kmから600mまでを牽き、グレッグ・ヘンダーソンはゴールまでの長い距離をリードアウトしてくれた。チーム全体がトラブルなく僕をフィニッシュラインまで送り届けてくれたんだ。

シャンパンを開けるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)シャンパンを開けるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:CorVos今年のジロは今まで経験したどのグランツアーとも違って、まだ序盤なのに非常にキツかった。でも今はポイント賞ジャージを手に入れたし、これに袖を通して走れるのは誇りだ。これからのステージが楽しみだ。

第2ステージのフィニッシュではゴールが遠すぎた。もしくは僕のスプリントが早すぎた。あの時は2%の上り勾配だったこともタイミングを狂わせてしまった要因の一つ。ヴィヴィアーニとホフランドが良いタイミングでスプリントしていたね。とにかくこのジロは最強レベルスプリンターが良い試合をしていると思う。

落車に巻き込まれたパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)落車に巻き込まれたパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) photo:CorVos最後はよく状況が見えていなかったけれど、(落車を防ぐためには)みんながそれぞれをリスペクトすべきだと思う。落車は自転車競技の一部であり、僕らの仕事でもあるけれど、皆が次のステージで出走できることを願っている。コッリには早い回復を祈っている。

腕を複雑骨折してしまったダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)

落車の被害を被った選手が歩いてゴールを切る落車の被害を被った選手が歩いてゴールを切る photo:CorVos僕は大丈夫。まだ連絡できていない友人を安心させてあげたい。クラッシュについて僕が覚えているのは、スプリントを始めた時に何かにぶつかり、路面に飛ばされてしまったこと。その時に僕の腕はおかしな方向を向いていた。腕の感覚が全く無かったのがとても怖かった。

NIPPOヴィーニファンティーニのフランチェスコ・ペロージ監督(イタリア)

自転車競技の素晴しいことは、偉大なチャンピオンたちと観客の距離がものすごく近いこと。でもそれだけに、選手の安全を一番に考えなければならない。ダニエーレに対して落車を引き起こした人はうっかりだったのか、それとも安全に関して無関心だったのかは分からないが、それがたくさんの負の連鎖を引き起こしてしまった。

ダニエーレは手術を受け、2ヶ月間のリハビリと、8ヶ月間もハードワークをこなして準備してきたジロから去ることになってしまった。選手の安全を守る第一は観客。選手を守るものであって、選手から安全を取り上げては絶対にならない。

落車で負傷したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

表彰式を終えたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が病院に向かう表彰式を終えたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が病院に向かう photo:Tim de Waele幸いにも骨折はしていなが、左肩を脱臼してしまった。僕が肩をすこしでも動かそうとして、右腕で左の腕を動かしていると、ドクターに明日の朝まで左腕を固定しておくように勧められた。明日のステージが始まる前に、ドクターがテーピングをしてくれるので、それまでは安静にするつもりだ。

明日もレースを走りたいね。このジロのためにハードなトレーニングを積んできた。最後まで諦めず、ベストを尽くしたい。明日はきっと走れると思っていが、実際どれだけの怪我なのか明日の朝の時点で慎重に判断したい。

落車について語るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)

強力なリードアウト不在のまま混戦のスプリントに持ち込まれた強力なリードアウト不在のまま混戦のスプリントに持ち込まれた photo:Kei Tsuji非常に危険なスプリントだった。あの混沌とした状況を見て、落車しないことだけしか考えられなかった。今日は自分自身でもスプリントを試みたが、7位がいっぱいいっぱい。落車しなかっただけ良しとするしかないと思う。

ポイント賞ジャージを失ってしまったが、首位のグライペルに対しては2点差だけ。チームとしても皆がリッチーの側で仕事をできていたから良い一日だった。リッチーが落車に巻き込まれなかったこともグッドニュースだ。

ポイントジャージを着て走るというのは特別さ。ジャージをキープしたいと強く思っていたし、今日も中間スプリントを狙って走ったんだ。最終的には今日も20ポイント稼ぐことができた。明日は、今年のジロの最長ステージだけど、スプリントに持ち込めるステージでもある。でも、逃げにも向いているステージだから、他のチームがどう動くか注目だ。

3位に終わったサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)

グライペルのスプリントは 凄く力強かった。彼の勝利を僕も祝福するよ。チームメートが僕のために捧げてくれたエネルギーに凄く感謝しているし、彼らのために勝ちたかったんだけど、スプリントのアプローチの段階で位置どりに力を使い過ぎてしまったね。

フェラーリとリケーゼはグライペルの番手に着くために大きな助けをしてくれた。でもこれは逆に言うと2回の小さなスプリントをしたようなもの。もっと、スプリントのスピードを維持できるようにならないといけないね。ともかく、3位と言う結果には満足しているけど、次のステージはもっといい結果を出すために狙っていくよ。

スプリントはこれからどんどん混乱していくだろうね。トレインを組むだけの実力のないチームのスプリンターたちが他のチームのリードアウトに入ってくるからね。そういった行為は明文化されたルールで禁止されてるわけじゃないけど、落車の原因になるし、かなり危険だと思う。

集団コントロールを担った別府史之(トレックファクトリーレーシング)

アドリアーノ・バフィ監督と別府史之(トレックファクトリーレーシング)アドリアーノ・バフィ監督と別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele
「逃げの人数を絞るために、スタートから前に位置して他のスプリンターチームと集団をコントロールした。他のチームと協力しながら前を追ってジャコモで勝負するプラン。2人が飛びし16km地点のスプリントポイントのあとに3人が合流して5人の逃げに、他のチームとうまく協力でき、逃げを吸収してスプリントに持ち込めた。今日は、山でジャコモを待ってサポートしたり、ボトルを運んだりとフラットステージだったけど結構忙しい1日だった」

※各コメントは現地取材、レース/チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイト/Twitter/Facebookより。

text:So.Isobe,Naoki.Yasuoka
photo:Kei.Tsuji,CorVos