ジロ・デ・イタリアにはピンク色のマリアローザの他にも、真っ赤なマリアロッサ(ポイント賞)、青いマリアアッズーラ(山岳賞)、白いマリアビアンカ(ヤングライダー賞)が存在する。それぞれのジャージ候補をチェックしておこう。



マリアロッサ ポイント賞

2014年 マリアロッサを獲得したナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)2014年 マリアロッサを獲得したナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Kei Tsuji総合争いに注視しがちなステージレースに花を添えるのが、華々しい集団スプリント。ポイント賞ジャージは、迫力あるスプリントバトルを体現するかのような真っ赤なジャージデザインが特徴だ。

長年ジロではステージの種類に関わらず一律のポイントが与えられてきた。そのため総合狙いの選手たちがポイント賞のトップに輝くパターンが多く、近年のポイント賞受賞者を見ても、総合上位に絡むようなオールラウンダー&クライマーの名前がズラリと並んでいる。

2014年にポイントシステムに変更が加えられ、平坦ステージでより多くのポイントを稼ぐことができる配分になった。2015年はさらに平坦ステージの獲得ポイントが増加。ますますスプリンター向きの賞になったと言っていい。ポイント配分は以下の通り。

フィニッシュ ポイント配分
A&Bカテゴリー(平坦:第2, 6, 7, 10, 12, 13, 17, 21ステージ):
50pts, 35pts, 25pts, 18pts, 14pts, 12pts, 10pts, 8pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
Cカテゴリー(中級山岳:第4, 5, 9, 11, 18ステージ):
25pts, 18pts, 12pts, 8pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
D&Eカテゴリー(超級山岳:第3, 8, 14, 15, 16, 19, 20ステージ):
15pts, 12pts, 9pts, 7pts, 6pts, 5pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt

スプリントポイント ポイント配分
A&Bカテゴリー(平坦:第2, 6, 7, 10, 12, 13, 17, 21ステージ):
20pts, 12pts, 8pts, 6pts, 4pts, 3pts, 2pts, 1pt
Cカテゴリー(中級山岳:第4, 5, 9, 11, 18ステージ):
10pts, 6pts, 3pts, 2pts, 1pt
D&Eカテゴリー(超級山岳:第3, 8, 14, 15, 16, 19, 20ステージ):
8pts, 4pts, 1pt

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsujiジャージはシンプルに「マリアロッサ(赤色ジャージ)」とも呼ばれるが、正式名称は「マリアロッサ・パッシオーネ」。直訳すると「情熱の赤いジャージ」。アイスメーカーのアルジダ社がスポンサーにつく。

ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング) photo:CorVosコフィディスに移籍した2014年のポイント賞獲得者ナセル・ブアニ(フランス)や、2013年の獲得者マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)はいない。代わってアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がスプリント戦線の中心になると見られる。

マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsujiグライペルはツアー・オブ・ターキーでステージ優勝し、ジロの最終調整のために途中リタイア。2008年と2010年にステージ1勝ずつ飾っているグライペルが、5年ぶりにジロのスタートラインに並ぶ。

2014年ポイント賞2位のジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)はフェリーネやファンポッペルを引き連れての出場。別府史之もニッツォロのスプリントに向けたポジション取りに力を尽くすことになるだろう。

ピュアスプリンターではないが、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)はポイント賞上位に必ず絡んでくるだろう。マシューズのような「登れるスプリンター」向きのステージがジロには多く設定されている。同じく登坂力のあるフアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)にも注目したい。

パリ〜ニースでの鎖骨骨折から復活したトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)はこれまでツールを6回、ブエルタを7回走っているが、ジロの経験はゼロ。カヴェンディッシュのいないチームを率いてスプリントに挑む。

イタリア勢はエリア・ヴィヴィアーニ(チームスカイ)やサーシャ・モードロ(ランプレ・メリダ)、ニコラ・ルッフォニ(バルディアーニCSF)、マッテオ・ペルッキ(IAMサイクリング)らに注目。ステージ通算22勝を飾っている41歳アレッサンドロ・ペタッキ(サウスイースト)も出場する。

他にも2014年最終ステージを制したルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・アルペシン)やグレガ・ボーレ(スロベニア、CCCスプランディポルコウィチェ)、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)、グランツール初出場リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシング)らがスプリントに絡んでくるはずだ。

歴代ポイント賞受賞者
2014年 ナセル・ブアニ(フランス)
2013年 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
2012年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2009年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2008年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 マリオ・チポッリーニ(イタリア)
2001年 マッシモ・ストラッツェール(イタリア)
2000年 ディミトリ・コニシェフ(ロシア)




マリアアッズーラ 山岳賞

2014年 マリアアッズーラを獲得したジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)2014年 マリアアッズーラを獲得したジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiグランツールの中で最も山岳の難易度が高いと言われるジロ・デ・イタリア。それだけに、山岳賞ジャージには大きな価値がある。

長年にわたって緑色のマリアヴェルデが採用されていたが、2012年から青色に変更され、名称はマリアアッズーラに。引き続きバンカ・メディオラヌムがスポンサーにつく。

登場するカテゴリー山岳は、チーマコッピ、1級山岳、2級山岳、3級山岳、4級山岳の5種類。当然のことながら難易度の高いカテゴリー山岳に高ポイントが与えられており、仮に連日逃げて4級山岳を11回先頭通過しても、1回の1級山岳通過でひっくり返る計算だ。

山岳賞 ポイント配分
チーマコッピ:45pts, 30pts, 20pts, 14pts, 10pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
1級山岳:35pts, 18pts, 12pts, 9pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
2級山岳:15pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
3級山岳:7pts, 4pts, 2pts, 1pt
4級山岳:3pts, 2pts, 1pt

ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ) photo:Vuelta a Espana/Graham Watson2014年は総合だけでなく山岳賞もコロンビア旋風が巻き起こり、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)がマリアアッズーラ受賞。アレドンドは欠場するが、ダルウィン・アタプマ(BMCレーシング)やエスデバン・シャベス(オリカ・グリーンエッジ)といったコロンビアンクライマーが同賞を席巻する可能性は高い。

もちろんヨーロッパ勢も負けてはいられない。2013年の受賞者ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニCSF)やケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)、イゴール・アントン(スペイン、モビスター)らが山岳王の称号をかけてドロミテとアルプスの山々に挑む。

歴代山岳賞受賞者
2014年 ジュリアン・アレドンド(コロンビア)
2013年 ステファノ・ピラッツィ(イタリア)
2012年 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア)
2011年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2010年 マシュー・ロイド(オーストラリア)
2009年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
2008年 エマヌエーレ・セッラ(イタリア)
2007年 レオナルド・ピエポリ(イタリア)
2006年 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン)
2005年 ホセ・ルハノ(ベネズエラ)
2004年 ファビアン・ウェーグマン(ドイツ)
2003年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2002年 フリオ・ペレスクアピオ(メキシコ)
2001年 フレディ・ゴンザレス(コロンビア)
2000年 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア)




マリアビアンカ ヤングライダー賞

2014年 マリアビアンカを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)2014年 マリアビアンカを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji若手選手を対象としたヤングライダー賞。トップの選手には純白のホワイトジャージが与えられる。長らくブルーの複合賞ジャージに座を奪われていたが、7年前に復活した。対象となるのは誕生日が1990年1月1日以降の選手。ディスカウント系スーパーマーケットのユーロスピンがスポンサーを務める。

ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji多くの場合、若手選手はアシストとして力を尽くさなければならず、本人の希望通りマリアビアンカに100%注力出来る選手は少ない。これはマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)にも同じことが言える。

しかし本人がチームのエースである場合は話が別だ。2014年大会で総合3位に入ったファビオ・アル(イタリア、アスタナ)は1990年7月3日生まれであり、体調が万全であればマリアビアンカの最有力候補だと言える。

他にもツール・ド・ロマンディでステージ優勝した1993年11月16日生まれの21歳ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)や、1992年10月25日生まれの22歳ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ガーミン)、1991年7月22日生まれの23歳ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)、1993年8月5日生まれの21歳セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア)らが対象選手。

初出場する石橋学(NIPPOヴィーニファンティーニ)は1992年11月30日生まれの22歳。日本人史上最年少グランツール出場者であり、もちろんマリアビアンカ対象選手だ。

歴代新人賞受賞者
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)
2012年 リゴベルト・ウラン(コロンビア)
2011年 ロマン・クロイツィゲル(チェコ)
2010年 リッチー・ポルト(オーストラリア)
2009年 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー)
2008年 リカルド・リッコ(イタリア)
2007年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)
1995年〜2006年 ジャージ未設定

text:Kei Tsuji in Sanremo, Italy