11Sスプロケットが装着できず、お気に入りのホイールを使えずにいるという方に朗報だ。台湾のパーツブランドTOKENより、10S用フリーに装着可能な11Sスプロケット「11Sクロモリカセット for 10S&11Sホイール」が登場した。インプレッションと合わせて、TOKENらしいアイデアプロダクトを紹介する。



TOKEN 11Sクロモリカセット for 10S&11SホイールTOKEN 11Sクロモリカセット for 10S&11Sホイール (c)So.Isobe
昨今はより身近になった11速コンポーネント。変速段数の増加は多くのメリットをサイクリストにもたらした一方で、一部のホイール以外ではフリーボディーを交換しなければならないという、規格の変更による制約も伴うものであった。

削りだしによる一体成型とカーボン製スパイダーの採用によって軽量化を図っている削りだしによる一体成型とカーボン製スパイダーの採用によって軽量化を図っている 切削痕が見て取れる切削痕が見て取れる また、11速用フリーボディに交換できるモデルであればともかく、シマノやジップをはじめ11速対応品が用意されていないモデルも存在している。経済的な理由で新しいホイールを購入できないという人や、どうしてもお気に入りのホイールを使い続けたいという人にとっては、11速化は切実な問題だ。

そんな悩みを持つサイクリスト達にとって、福音となるのが今回インプレッションを行うTOKENの「11Sクロモリカセット for 10S&11Sホイール」。10速用のフリーボディーにそのまま装着することで11速スプロケットとして使用することのできるアイテムだ。その仕組みは、ロー側のギアが内側にオフセットすることによって、11段化を実現しているというものである。

11Sクロモリカセットは重量も軽く、チタンなど高級材を駆使するデュラエースのスプロケットと比べても、ほぼ同等の重量に仕上がっている。その秘密はクロモリ削り出しによる一体成型と、カーボン製スパイダーの採用にある。不要な部分をなくすことにより、耐久性に優れたクロモリ製でありながらも、結果的に軽く作ることができるのだ。

歯数のバリエーションも豊富に揃えられており、11-23T、11-25T、11-28T、12-25T、12-28Tの5種類が用意される。アルミ製の軽量ロックリングと、シマノ11S用フリーボディーへの取り付けを可能とする専用スペーサーが付属するため、後々11S対応ホイールを買い増しても長く使うことができる。

11速用交換フリーボディが用意されていないホイールのユーザーには福音となるアイデアプロダクト「11Sクロモリカセット for 10S&11Sホイール」。編集部員による長期テストを通して、その変速性能や耐久性をチェックした。早速インプレッションに移ろう。



ー 編集部インプレッション

10速フリーのWH-7900-C24-CLに装着してインプレッションを行った10速フリーのWH-7900-C24-CLに装着してインプレッションを行った
今回インプレッションのために取り付けたホイールは、編集部に山岳イベント取材用として用意されているシマノの1世代前のデュラエースグレードアルミホイールであるWH-7900-C24-CL。軽量なクリンチャーリムのホイールで踏み出しの軽さと、乗り心地の良さから実走取材では出番の多かったホイールだった。

中央部は空洞になっておりフリーボディーが見える中央部は空洞になっておりフリーボディーが見える 裏側から見るとカーボンスパイダーがよく見える裏側から見るとカーボンスパイダーがよく見える 性能に比して価格もこなれていたために、イベントなどでもたくさん見かけた人気ホイールだが、残念ながら11S用フリーが用意されていないため、世の中の流れに従って11速化が進む編集部でも出番が少なくなってきていたのだ。とはいえ、眠らしておくのももったいないと考えていた時に、現れたのが「11Sクロモリカセット for 10S&11Sホイール」。まさにこのスプロケットが想定しているシチュエーションのど真ん中といった具合であった。

そんな救世主の様なスプロケットだが、一体成型になっていることもあり取り付けは非常に簡単。普通のスプロケットのように一枚一枚向きを揃えてフリーに差しこんでいく必要もないので、手軽に取り付けできる。しかも10速フリーに装着する場合は余計なスペーサーなどを入れる必要もなく、アッセンブルについて手間取ることはないだろう。フリーのスプラインとの勘合面積が大きくとられているため、アルミ製のフリーホイールでも食い込むこともなさそうだ。

実際に走りだしてみれば、「普通」に走ることができる。今回試したのは、最も変速レンジが広い11-28Tモデルだが、歯飛びが起こるようなことももちろん無いし、こういったギア周りのサードパーティー製品で心配される変速性能も至って普通。きちんと11速全てを使うことができる。実際に、9000系デュラエースのスプロケットをつけたホイールと履き替えながら走ってみれば、確かに少し変速スピードが劣る気がするが、単体で乗れば全く気にならないレベルだ。

一体成型で作っているためか、変速時に独特の響くような音がするのも、どこかヤル気を掻き立ててくれるものがある。剛性の高いクロモリで全ての歯を製作しているからだろうが、純正スプロケットに比べるとソリッドな踏み心地に感じる。ダイレクト感のある踏み味が好きな人は、あえてこのスプロケットを使ってみるのも悪くないかもしれない。

サードパーティー製ながらも、「普通」に使えるこのスプロケットは、そういったサイクリストの要望をちゃんと満たしてくれるだろう。少し価格は高く感じるかもしれないが、交換用フリーと純正スプロケットを用意することを考えれば割安という捉え方もできる。手持ちのホイールの関係で11速化に躊躇している人、11速化したものの10速用ホイールを腐らせている人は、選択肢として視野に入れてみてはいかがだろうか。
(インプレッション by CW編集部・安岡)



TOKEN 11Sクロモリカセット for 10S&11Sホイール
歯数構成:11-23T(TK1123)、11-25T(TK1125)、11-28T(TK1128)、12-25T(TK1225)、12-28T(TK1228)
平均重量:170g(11-25T)、185g(11-28T)
価格:32,000円(税抜)

text:Naoki.YASUOKA
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