1月31日(土)、オーストラリア・メルボルン郊外の250mトラックにて行われたジャック・ボブリッジ(オーストラリア)のアワーレコード挑戦。昨年マティアス・ブランドル(オーストリア)が樹立した世界記録51.852kmに552m及ばず、ボブリッジによるアワーレコード更新はならなかった。



アワーレコードに挑戦したジャック・ボブリッジ(オーストラリア、バジェットフォークリフツ)アワーレコードに挑戦したジャック・ボブリッジ(オーストラリア、バジェットフォークリフツ) (c)cycling.org.au
約2週間前、オーストラリア代表チームとして、ツアー・ダウンアンダーのオープニングステージで劇的な逃げ切り勝利を飾ったジャック・ボブリッジ(オーストラリア、バジェットフォークリフツ)。その勢いを維持しながら、1200人強の観衆が集った地元メルボルンのトラックでアワーレコード更新に挑んだ。

今回の挑戦には婦人と幼い子供が応援に駆けつけた今回の挑戦には婦人と幼い子供が応援に駆けつけた (c)cycling.org.auスタート前にコーチと戦略を確認しあうボブリッジスタート前にコーチと戦略を確認しあうボブリッジ (c)cycling.org.auこの日、ボブリッジが使用したバイクはサーヴェロ T4。主なところではライトウェイトの前後ディスクホイール、カンパニョーロ BORAクランクなどが普段使用するトラックバイクと異なっている。

ボブリッジは観客からの大歓声を味わう様にゆっくりとペダルの回転数を上げながらスタートし、1周目を終えるタイミングでDHポジションに。最初のラップタイムは24.073秒。その後は40周連続で16秒台というラップタイムをマーク。その後はややペースを落とし、18秒台で推移していく。

しかし、現4,000mTT世界記録保持者の真価を遺憾なく発揮し、乱れが少ないフォームながらも力強いペダリングで新アワーレコード樹立へ突き進んで行く。そして終盤、疲労に体を歪めながらもラスト4ラップでペースを上げ、17.815秒という最終ラップで1時間に渡る挑戦を締めくくった。

結果は250mトラックを205周で51.300km。昨年11月にマティアス・ブランドルが樹立した記録に552m及ばず、アワーレコード更新はならなかった。なお、ブラッドリー・マクギーが2000年にマークした50.052kmを上回ったため、ボブリッジは新たな豪州アワーレコード保持者となっている。

アワーレコード挑戦の感想についてボブリッジは次の様に語る。「こんなにハードだなんて思いもしなかった。死んだことはないから想像の範囲だけど、死に最も近づいた気がするよ。体中が苦痛に襲われてるし、狂ってる。頭はどうすれば良いかわからなくなっているのに、自然と笑みがこぼれてしまったよ。それにしても、大腿四頭筋と臀筋の痛みをどう表現したらいいんだか。

これまでの挑戦のどれよりもハードだったし、恐らくこれからも今日以上にハードな挑戦はないだろう。最初の20分はここまでに何が起こったのか、そして何が起こりそうなのかということに耽けながら走った。次の20分で行き場がなくなった。そこからはもう踏むだけ。とにかく厳しかったし、何も良いことがなかったよ。」

1,200人強の観衆がボブリッジのアワーレコード挑戦を見守った1,200人強の観衆がボブリッジのアワーレコード挑戦を見守った (c)cycling.org.au
乱れが少ないフォームながらも力強いペダリングを魅せたジャック・ボブリッジ(オーストラリア、バジェットフォークリフツ)乱れが少ないフォームながらも力強いペダリングを魅せたジャック・ボブリッジ(オーストラリア、バジェットフォークリフツ) (c)cycling.org.au体いっぱいの疲労に顔を歪める挑戦終了穂のジャック・ボブリッジ(オーストラリア、バジェットフォークリフツ)体いっぱいの疲労に顔を歪める挑戦終了穂のジャック・ボブリッジ(オーストラリア、バジェットフォークリフツ) (c)cycling.org.au


続々と挑戦を表明するライダーが増えているアワーレコード。次は先のツアー・ダウンアンダーで総合優勝を果たしたBMCレーシングのローハン・デニス(オーストラリア)が2月8日に新アワーレコード樹立に挑む。







text:Yuya.Yamamoto
photo:cycling.org.au

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