MKSのアーバン/オフロード用のビンディングペダル「US-B」に、ペダルキャッチを容易にするガイドを採用したニューモデル「US-B NUEVO」が登場。輪行時に便利なペダル脱着機構「Ezy Superior」システム搭載モデルを実際に使ってみた。



MKS US-B NUEVO(ブルー、レッド、ブラック)MKS US-B NUEVO(ブルー、レッド、ブラック) photo:Yuya.Yamamoto
ワンタッチ着脱機構 Ezy Superiorを搭載したモデル。奥は通常モデルだワンタッチ着脱機構 Ezy Superiorを搭載したモデル。奥は通常モデルだ photo:So.IsobeMKSからはEzyペダル用3.2mm厚のレンチが別売されている。こちらもあわせて揃えたいMKSからはEzyペダル用3.2mm厚のレンチが別売されている。こちらもあわせて揃えたい photo:So.Isobe自転車用ペダルを中心に高品質な製品を埼玉県所沢市で一括生産するMKS(三ヶ島製作所)。今回登場した「US-B NUEVO」は、主にツーリングやオフロードでの使用を目的とした、いわゆるSPD式の両面ペダルだ。

MKSには従来から「US-B」がラインナップされていたが、ステップインに慣れないとペダル本体の形状によってシューズの裏でペダルが転がってしまう場合があった。それを改善すべくステップガイド(写真の黒いパーツ)を設け、よりクリートを嵌めやすくしたモデルが今回紹介する「US-B NUEVO」である。

ベースモデル同様に、本体のベアリングにはMKSが得意とするシールドベアリングを3つ搭載したことで、NJS認定品にも迫るほどのスムーズな回転性能を実現。泥づまりしにくいシンプルな構造や、3段階でスプリングテンションを変更できる調節機構を採用し、使い勝手も良く仕上がっている。

通常モデルの他に、シャフトにクランクからペダル本体を工具なしで脱着できる「Ezy Superior(イージースーペリア)」機構を搭載した「US-B NUEVO Ezy Superior」(今回のインプレッションモデル)が用意されている。

カラーはいずれもブラック、ブルー、レッドという3種類が揃う。価格は通常モデルが8,900円(税抜)、Ezy Superiorモデルが13,500円(税抜) だ。



インプレッション

今回は、普段シマノSPDを使用する編集部員・藤原がEzy Superiorモデルをテストした。使用したシチュエーションは沖縄のロングライドイベント「美ら島オキナワセンチュリーラン」取材時。飛行機輪行もあるため、テストにはピッタリの条件だ。

さて、しっかりとした造りで堅牢性を期待できる「US-B NUEVO Ezy Superior」。このペダルの特長であるEzy Superiorとは、クランクからペダルレンチやアーレンキーを使わずともペダルを取り外せる機構。クランク本体にEzy Superiorアダプターを介してペダルを装着するようになっている。

Ezy Superiorアダプターをクランクに装着するにあたっては少し注意が必要だ。着脱機構を搭載しているため、通常のペダルよりもペダルレンチのかかりしろが薄くなっている。そのため、アダプターを取り付ける際には厚さ4mm未満のペダルレンチが必要となる。なお、MKSからはEzyペダル用の3.2mm厚のレンチがリリースされているため、そちらもあわせて揃えれば良いだろう。

ペダルのシャフトが抜けるため、輪行に最適だペダルのシャフトが抜けるため、輪行に最適だ photo:Naoki.Yasuoka
バイクに取り付けたMKS US-B NUEVOバイクに取り付けたMKS US-B NUEVO photo:Makoto.AYANOクリートガイドがソールにあたることでペダルの空転を防いでいるクリートガイドがソールにあたることでペダルの空転を防いでいる photo:Makoto.AYANO飛行機輪行のために自転車をパッキングする時に、Ezy Superiorシステムは非常に役立ってくれた。Ezy Superiorアダプターに記された目印をイモネジの位置に合わせて押しこむだけでストッパーが解除され、ペダルシャフトがアダプターから抜けるのだ。正直、簡単すぎて拍子抜けするほど。力も要らず、手も汚れることがないので女性にも嬉しいだろう。

輪行解除時もEzy Superiorシステムは活躍してくれる。ペダルを抜く時と同様に、目印の位置を合わせて押しこみながら、ペダルを差しこむだけ。最後にストッパーが戻っていることを確認すればペダル装着は終わり。左右合わせて、20秒もかからない間にペダルを取り付けできる。他の編集部員がペダル装着に手間取っているのを尻目に準備完了できたのも、Ezy Superiorシステムのおかげだ。

専用クリート(US-A CLEAT)は2つ穴のシンプルなもので、クリートの位置調整はシューズの調整範囲内のみで動かせるようになっている。普段使用しているシマノのクリートに比べると専用クリートはやや小ぶりなためか、最初はステップインしづらかったものの、これは慣れの範囲内だろう。数度着脱を繰り返したら、まるで長年使ったペダルのように自然とステップインできるようになった。

短い間でペダルキャッチに慣れたのは、クリートガイドの存在は大きいと感じる。ペダルをうまくキャッチできなかった時も、クリートガイドがソールに当たることでペダルが空転せず、ステップインをやり直しやすい。ちなみにガイドは取り外しも出来るので、ペダルキャッチに慣れてきたら軽量化のために外すことも出来る。

3段階で変更できるスプリングテンションも、それぞれ絶妙な設定になっている。最も柔らかいテンション時にはステップイン、アウトともに力むことなく脱着出来る。一方、最も硬いテンションに設定すれば、しっかりとホールドしてくれるのでレースなどでも使うことが出来そうだ。初めて使用する場合は何回かステップインの練習をして、好みの硬さを見つけたほうが良いだろう。

付属するレンチでスプリングの硬さを3段階で調節可能なこともこのペダルの特徴だ。柔らかいテンションスプリングの際はストレスフリーに脱着でき、最も硬いテンションの際はしっかりとしたホールド力を感じ取ることができた。初めて使用する場合は何回かステップインの練習をして、好みの硬さを見つけたほうが良いだろう。

MKS US-B NUEVOを使用し、沖縄で約110kmの実走行+輪行テストを行ったMKS US-B NUEVOを使用し、沖縄で約110kmの実走行+輪行テストを行った photo:Naoki.Yasuoka
さて、実走行してみるとスピンドルの回転が非常にスムースであることにまず気がつく。軽量をウリにしたペダルではないはずなのだが、走ってみるといつもより軽くクランクが回っているように感じられた。

脱着機構があるということで、信頼性に疑問を持つ人もいるかもしれないが、そんな心配は無用だ。力を込めて踏み込んだり、足を引いてみたり、左右に動かしてみたりしたが、2日間で100km以上に渡る使用期間中にガタが出るようなことは一切なかった。

優れた回転性能や、ペダルキャッチのしやすさといったペダルとしての基本的な性能もしっかりとしているUS-B NUEVO Ezy Superior。加えて、Ezy Superiorシステムによる利便性を考えると頻繁に輪行するロングライド派やツーリング愛好家に、ぜひ1度使ってみてほしい逸品だと感じた。



MKS US-B NUEVO、US-B NUEVO Ezy Superior
材 質:本体-ナイロン強化樹脂
重 量:418g/ペア(US-B NUEVO、実測値)、474g/ペア(NUEVO Ezy Superior、実測値)
カラー:ブラック、ブルー、レッド
付属品:MKSオリジナル2つ穴クリート(US-A CLEAT)、US-B CLEAT GUIDEセット、スプリング調整スパナ
価 格:8,900円(税抜)、 13,500円(税抜、Ezy Superior)

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