ツール・ド・フランスを沸かせたアンディとフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)が、10月25日に栃木県・宇都宮市で開催されるジャパンカップ・サイクルロードレースに参戦することが決まった。世界最強と謳われるこの兄弟の出場により、例年にも増してハイレベルな闘いが見られそうだ。

2度目のツールで総合2位に輝いたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)2度目のツールで総合2位に輝いたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Makoto Ayanoジャパンカップに初参戦するサクソバンクが、シュレク兄弟を「アジア最高峰のワンデーレース」に送り込む!今年のツール・ド・フランスで総合2位と総合5位に入った世界最強ブラザーズが、晩秋の栃木県宇都宮市森林公園を駆けることになった。

シュレク兄弟の経歴を軽く振り返っておくと、弟アンディが24歳で、兄フランクが29歳。チームの公式プロフィールによると、ともに身長186cmで体重は67kg。2人とも山岳に強いクライマー系のオールラウンダーに分類される。

ツールで果敢に攻撃を仕掛けるアンディとフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ツールで果敢に攻撃を仕掛けるアンディとフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Cor Vos兄フランクは2003年からチームCSC(現サクソバンク)に所属。2002年にはチームCSCのスタジエール(研修生)としてジャパンカップに出場している。2006年にはアムステル・ゴールドレースで優勝。同年初出場したツールのラルプ・デュエズで優勝し、総合10位でフィニッシュした。

その兄を上回る逸材と期待され、2005年にプロ入りした弟のアンディは、グランツール初挑戦の2007年ジロ・デ・イタリアで総合2位というセンセーショナルなデビューを飾った。昨年のツールでは、チームメイトをアシストしながら総合12位&新人賞獲得。今年は世界屈指の難易度を誇るワンディレース、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュを制している。

ツールで自身2度目のステージ優勝を飾ったフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ツールで自身2度目のステージ優勝を飾ったフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Makoto Ayanoチームのエースとして出場した7月のツールでは、アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)の唯一の対抗馬として兄フランクと果敢に攻撃を仕掛け、グランツールで2度目の総合2位フィニッシュ。フランクは難関山岳ステージで優勝を飾り、“世界最強の兄弟”の称号を不動のものにした。

体格と顔立ちが似ているため、ノーマルジャージを着ていると遠目には判別が難しい。しかし弟アンディは今年のルクセンブルク選手権で優勝してナショナルチャンピオンジャージを獲得。ジャパンカップでも薄い青白赤のチャンピオンジャージが目印になるだろう。

現在開催中のブエルタ・ア・エスパーニャに出場しているシュレク兄弟は、今月末にスイス・メンドリシオで開催されるロード世界選手権に出場予定。メンドリシオのコースはアップダウンの厳しさが特徴で、兄弟揃ってアルカンシェル(世界チャンピオンジャージ)の有力候補に挙げられている。

ルクセンブルクのチャンピオンジャージを着るアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ルクセンブルクのチャンピオンジャージを着るアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Makoto Ayanoジャパンカップは開催時期がヨーロッパのシーズン終了後のため、参加する選手のコンディションにバラツキがあるのは事実。本来はほとんどの選手がシーズンを終えている時期だが、シュレク兄弟に関してコンディションの心配は無い。

シュレク兄弟は10月17日にイタリアで開催されるヨーロッパ最終戦のジロ・ディ・ロンバルディアに出場予定であり、今年もシーズンの最後の最後までコンディションを落とさない。ロンバルディアでは2005年にフランクが3位、2007年にアンディが4位に入っている。

ジャパンカップはロンバルディアの1週間後に開催されることから、兄弟揃ってコンディションを維持したまま来日することになる。

苦手とするスプリント勝負を避けるため、終盤の古賀志林道では兄弟揃って攻撃を仕掛けてくるだろう。世界最高峰のツールで実証された走りをその目で見る絶好のチャンスだ!!
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano,Cor Vos

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