相次いで発覚したイグリンスキー兄弟のEPO(エリスロポエチン)陽性。兄マキシムがBサンプルの再検査を要請しないことを決めたことで、アスタナはMPCC(サイクルスポーツ倫理団体)のルールに則り、ツアー・オブ・北京(UCIワールドツアー)を欠場することを発表した。



ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)をツール総合優勝に導いたアスタナヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)をツール総合優勝に導いたアスタナ photo:Kei Tsuji2012年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ覇者マキシム・イグリンスキーのEPO陽性が発覚したのは10月1日のこと。弟ヴァレンティンのEPO陽性からわずか3週間の出来事だった。先にEPO使用を認めた弟ヴァレンティンと兄マキシムの陽性反応検出日は10日しか離れていない。

2012年リエージュを制したマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)2012年リエージュを制したマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) photo:Kei Tsuji2013年にアスタナが加入したMPCC(サイクルスポーツ倫理団体)は「12ヶ月の間にドーピング陽性者が2名出た場合は次のUCIワールドツアーレースから8日間チーム活動を自粛しなければならない」と取り決めている。過去にはAG2Rラモンディアールとルスヴェロが複数のドーピング陽性者を出したことでレース自粛を行なっている。

暫定的に出場停止状態に置かれたイグリンスキーが再検査についての発表を遅らせたため、アスタナは10月5日のイル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)とカザフスタンのツアー・オブ・アルマティ(UCI1.1)に出場。しかし10月6日にイグリンスキーが再検査を要請しないことを発表したため、アスタナは次戦UCIワールドツアーのツアー・オブ・北京開幕日(10月10日)から8日間レース活動を自粛することを決めた。アスタナはジロ・デル・エミリア(UCI1.HC)やGPブルーノベゲッリ(UCI1.1)の欠場を余儀なくされる(10月12日のパリ〜トゥールの出場リストには元々入っていない)。

実質的にイグリンスキーはEPO摂取の事実を認めたことになる。カザフスタンを代表する兄弟揃ってのドーピング陽性はアスタナチームの今後に大きく影響しそうだ。

text:Kei Tsuji