逃げ集団もメイン集団も安定しないままの178km。ラスト2kmでアタックしたルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)がステージ優勝。個人総合はメイン集団に9秒差で逃げ切ったジョシュア・プリート(チームバジェット・フォークリフト)へ移った。そのリードはわずか2秒。



ラスト2kmでアタックしたルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)が優勝ラスト2kmでアタックしたルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
十勝平野の戦いが始まる十勝平野の戦いが始まる photo:Hideaki TAKAGIツール・ド・北海道第2ステージが9月14日(日)、幕別町から大樹町など十勝平野南部を巡る178.9kmで行なわれた。コースは全体的には平坦に近いが、所々にアップダウンがあり攻撃を仕掛けるポイントは逆に多い。リーダーチームのヴィーニファンティーニNIPPOに対して、ブリヂストンアンカーなど他チームがどう攻めるかが注目された。
十勝平野を進むメイン集団十勝平野を進むメイン集団 photo:Satoru KATO
序盤に窪木一茂ら7人の逃げ
メイン集団からアタックする地元幕別町出身の山本幸平(北海道地域選抜)メイン集団からアタックする地元幕別町出身の山本幸平(北海道地域選抜) photo:Hideaki TAKAGI
9時30分に幕別町をスタートした集団はすぐにアタック合戦となり、開始早々にメイン集団は二分割されてしまう。15分ほどの攻防を経てようやく集団はひとつに。その後もアタックがかかり
おもにNIPPOがそれに対応する。23km地点で窪木一茂(チーム右京)、クリスティアン・ジュエル(チームバジェット・フォークリフト)、早川朋宏(愛三工業レーシングチーム)、普久原奨(那須ブラーゼン)、シリル・ティエリー(ヴェロクラブ・メンドリシオ)が抜け出し、さらに増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が追いつき6人の逃げができる。
十勝平野南部を走る先頭集団十勝平野南部を走る先頭集団 photo:Hideaki TAKAGI
28.8km地点のホットスポットをジュエル、窪木、増田の順に通過し3秒2秒1秒のボーナスタイムを獲得。その後窪木はメイン集団に下がる。メイン集団からは大場政登志(Cプロジェクト)、スティーヴ・フィッシャー(ジェリーベリーP/Bマキシス)が追いつき逃げは7人でメイン集団とは40秒の差。このメイン集団も安定せず常にアタックと牽制の状態。
98km地点林道出口でルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)がアタック98km地点林道出口でルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)がアタック photo:Hideaki TAKAGI
52.8km地点のKOMは争わずジュエルが獲得。いっぽうティエリーはパンクで下がり先頭は6人に。そしてメイン集団からは8人の追走集団ができる。この8人は先頭に追いつき、85km地点では逃げ14人にメイン集団の構図に。さらにその後逃げはチーム右京らの引きにより吸収されて、晩成温泉付近で集団は一つにまとまる。
98km地点で決まった16人の逃げ98km地点で決まった16人の逃げ photo:Hideaki TAKAGI
98km地点でゴールまで届く逃げができる

晩成温泉横から太平洋岸を過ぎ狭い林道に入るとNIPPOとブリヂストンアンカーが、落車など危険回避のため先頭を固めてペースを落とす。98km地点、その林道を出て広い道道に出た瞬間にルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)がアタック。これに数人が続き一気に16人の逃げが完成する。結局この集団は勝ち逃げとなりフィニッシュ地点まで80kmを逃げることに。

逃げの16人はダヴィラ、窪木、寺崎武郎(ブリヂストンアンカー)、リカルド・スタキオッティ(ヴィーニファンティーニNIPPO)、木村圭佑(シマノレーシング)、早川と平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)、鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)、佐野淳哉と小野寺玲(那須ブラーゼン)、エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)、ジョシュア・プリートとブロディ・ダブロット(チームバジェット・フォークリフト)、徳田優(鹿屋体育大)、フラヴィオ・ヴァルセッキ(シエルヴォ奈良メリダサイクリングチーム)、クォン・スンヨン(KSPO)。

この16人のうち総合で最も上位はプリートの6秒差3位。そして窪木の28秒差6位など続く。NIPPOそしてブリヂストンアンカーにとっては逃げに乗せているスタキオッティと寺崎での勝負も見据えながらメイン集団をコントロールしていく。NIPPOから黒枝士揮と山本元喜、ブリヂストンアンカーは清水都貴、トマ・ルバ、ダミアン・モニエが先頭を引く。
メイン集団はNIPPO2人とブリヂストンアンカー3人で引くメイン集団はNIPPO2人とブリヂストンアンカー3人で引く photo:Hideaki TAKAGI
逃げ16人とメイン集団の攻防
逃げ集団は協調してフィニッシュ地点を目指す逃げ集団は協調してフィニッシュ地点を目指す photo:Hideaki TAKAGI
先頭集団とメイン集団とのタイム差は最大3分にまで広がる。ラスト30kmを切ってようやく差は2分台になる。しかし逃げ集団も特に個人総合がかかるバジェット勢が強力に牽引、ダヴィラもそれに加わりタイム差は減少傾向だが急には縮まらない。およそ均等に回る16人の逃げに対し、メイン集団を引くのは5人。5人の力が勝り差を縮めていくが、逃げ集団はそれまでのアドバンテージがあって残り20kmでも2分。
ラスト20km、ルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)が抜け出すラスト20km、ルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)が抜け出す photo:Hideaki TAKAGI佐野淳哉(那須ブラーゼン)がラスト18kmからラスト8kmまでの10kmを独走する佐野淳哉(那須ブラーゼン)がラスト18kmからラスト8kmまでの10kmを独走する photo:Hideaki TAKAGI
ラスト18kmの上り2箇所で佐野が満を持してアタック。すぐに決まり独走体制に持ち込む。しかしフィニッシュまではおよそ平坦の17km。残りのメンバーも協調して追い、10kmを独走した後に佐野はつかまってしまう。そしてフィニッシュまで2kmでダヴィラがアタック。タイミングがよくほかのメンバーが追えない。いっぽうでメイン集団も迫り来る。そしてフィニッシュ、先行したダヴィラが1秒差で逃げ切り優勝、メイン集団はダヴィラから9秒遅れでフィニッシュ。リーダージャージ擁するメイン集団は9秒差がついたため10位ゴールのプリートが総合タイムで2秒上回りリーダーに。
ラスト2kmでアタックしたルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)が逃げ切るラスト2kmでアタックしたルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)が逃げ切る photo:Hideaki TAKAGI
昨日3位に入ったプリートが小集団で逃げ切ったためタイム差9秒を得、いっぽうでマラグーティと内間はそれぞれタイム差とともに順位もひとつずつ落とした。メイン集団が追いつけなかったことが要因だが「何があるかわからない日本のレースではリーダージャージを着続けることに固執していない。最終日に着ることができれば」と語るように、最終ステージは激しい攻防が予想される。ボーナスタイムがカギだが第3ステージのHSは2つのKOMを終えた終盤の123.2km地点にある。序盤からあるいはKOMをきっかけとした逃げでHSを取るのか、集団ゴールか逃げ切りか、最終ステージの興味は尽きない。
個人総合リーダーはジョシュア・プリート(チームバジェット・フォークリフト)個人総合リーダーはジョシュア・プリート(チームバジェット・フォークリフト) photo:Hideaki TAKAGI
ステージ優勝のルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)

終盤に佐野選手がアタックしたけど、逃げグループのメンバーと協力して追走し、差が詰まってきたところでチャンスと思ってアタックした。今日の勝利は、レース展開にうまく対応出来たチームのおかげ。来日は3回目で、過去2回はメキシコチャンピオンジャージでのジャパンカップだ。

総合首位のジョシュア・プリート(チームバジェット・フォークリフト)

レース後半に出来た16人の逃げ集団が強力でペースが速かったおかげで、2秒だけ上回ってリーダージャージを着る事が出来た。
明日は他のチームが攻撃してくるだろうが、リーダージャージを守る事は得意なチームなので、自分は自分の仕事をしっかりこなして明日のレースを終えたい。

個人総合山岳リーダー・総合2位アレッサンドロ・マラグーティ(ヴィーニファンティーニNIPPO)

監督からは、イタリアのレースと違ってチームがレースをコントロールするのが難しいから、リーダージャージの為だけに走らないようにと言われていた。たった2秒差ではあるけど、明日の第3ステージを走ってみないと、リーダージャージを奪還できるかどうかはわからない。

ラスト18kmでアタックした佐野淳哉(那須ブラーゼン)

残り20㎞付近にふたつ連続する登りがあり、そこを使ってアタックした。本当は3~4人ついて来て欲しかったのだけど、結果として独走になってしまった。集団に戻ったところでスプリントは避けたいと思っていたら、ダヴィラ選手に行かれてしまった。逃げ切り勝ちしたかったけど、ツール・ド・北海道でそれをするのは難しい。自分の力はまだまだだったって事ですね。

結果

第2ステージ 183km
1位 ルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)4時間1分5秒
2位 窪木一茂(チーム右京)+01秒
3位 寺崎武郎(ブリヂストンアンカー)
4位 リカルド・スタキオッティ(ヴィーニファンティーニNIPPO)
5位 木村圭祐(シマノレーシング)
6位 早川朋宏(愛三工業レーシングチーム)
7位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)
8位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)
9位 エドワード・プラデスレ(マトリックスパワータグ)
10位 ジョシュア・プリート(チームバジェット・フォークリフト)

個人総合成績 第2ステージ終了時点
1位 ジョシュア・プリート(チームバジェット・フォークリフト)8時間35分44秒
2位 アレッサンドロ・マラグーティ(ヴィーニファンティーニNIPPO)+02秒
3位 内間康平(ブリヂストンアンカー)+06秒
4位 ルイスエンリケ・ダヴィラ(ジェリーベリーP/Bマキシス)+12秒
5位 窪木一茂(チーム右京)+14秒
6位 寺崎武郎(ブリヂストンアンカー)+19秒
7位 リカルド・スタキオッティ(ヴィーニファンティーニNIPPO)+23秒
8位 エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)
9位 佐野淳哉(那須ブラーゼン)
10位 早川朋宏(愛三工業レーシングチーム)

個人総合ポイント賞 第2ステージ終了時点
1位 窪木一茂(チーム右京)26点
2位 リカルド・スタキオッティ(ヴィーニファンティーニNIPPO)26点
3位 アレッサンドロ・マラグーティ(ヴィーニファンティーニNIPPO)25点

個人総合山岳賞 第1ステージ終了時点
1位 アレッサンドロ・マラグーティ(ヴィーニファンティーニNIPPO)7点
2位 ダニエル・バリー(チームバジェット・フォークリフト)7点
3位 クリスティアン・ジュエル(チームバジェット・フォークリフト)5点

チーム総合順位 第2ステージ終了時点
1位 ヴィーニファンティーニNIPPO 25時間48分18秒
2位 チームバジェット・フォークリフト 
3位 ブリヂストンアンカー

photo&text:Hideaki TAKAGI、Satoru KATO

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