新城幸也(Bboxブイグテレコム)が早速逃げた!エネコ・ツアー第1ステージの序盤からユキヤを含む5名の逃げが形成。結果的に逃げは大集団に飲み込まれたが、最後まで諦めない闘志溢れる逃げで見せた。集団スプリントを制したのはタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)。総合成績でもトップに立った。

逃げる新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)やラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク)逃げる新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)やラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク) photo:Cor Vosオランダで開幕したエネコ・ツアーは、大会2日目からベルギーに突入。第1ステージはアールテルからアルドーイェまでの185kmで行なわれた。途中ティーヘンベルクやノケレベルクなど、春のワンディクラシックでお馴染みの短い上りが数カ所登場するが、コースは概ね平坦だ。

レースは18km地点で5名の逃げグループが形成される。この中に新城幸也(Bboxブイグテレコム)が入った。

メイン集団をコントロールするガーミンとクイックステップメイン集団をコントロールするガーミンとクイックステップ photo:Cor Vos逃げグループには他にもラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク)、マチェイ・ボドナール(ポーランド、リクイガス)、ウイム・デヴォフト(ベルギー、ヴァカンソレイユ)、ピーテル・ファンスペイブロック(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)が入り、協力してメイン集団を突き放す。レース中盤にタイム差は最大3分50秒まで広がった。

メイン集団はリーダージャージ擁するクイックステップがコントロールし、後半にかけてガーミン・スリップストリームも集団牽引に合流。踏切でメイン集団がストップするハプニングも起こったが、タイム差は残り65kmで3分、残り40kmで2分と、着実に縮まり続けた。

リーダージャージを着て走るシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)リーダージャージを着て走るシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) photo:Cor Vos残り25km地点に設定された3つ目のスプリントポイントでファンスペイブロックが逃げグループから脱落すると、残り22km地点でボドナールがアタック。これにはユキヤだけが反応し、メイン集団を1分引き離したまま2人で逃げ続けた。

タイム差が43秒まで縮まった残り13km地点でボドナールが再びアタックを仕掛けたが、ユキヤは諦めずに単独追走して合流。残り10kmでタイム差33秒。チームコロンビア・HTCが集団牽引に加わるとタイム差縮小は加速した。

逃げる新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)やラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク)逃げる新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)やラルスイティング・バク(デンマーク、サクソバンク) photo:Cor Vos結局ゴールまで6kmを残してユキヤらは吸収されたが、スプリンターチーム相手に勇猛に立ち向かうユキヤの姿は、観る者に大きなインパクトを与えたことだろう。

スプリンターチームが集団先頭で競り合う中、残り4km地点からリクイガスが5名を揃えて先頭へ。しかし完全に主導権を握るには至らず、混戦のまま最終ストレートに突入した。

スプリントバトルを繰り広げる選手たち、その後方で落車が発生スプリントバトルを繰り広げる選手たち、その後方で落車が発生 photo:Cor Vos先頭でスプリントバトルを繰り広げたのは、地元ベルギーチャンピオンのトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)と、3日前のヴァッテンフォール・サイクラシックスでキャリア最大の勝利を飾ったファラー。ボーネンのスプリントは伸びず、先頭に立ったファラーがそのままゴールに飛び込んだ。

「過去最高のコンディションだ。僕のスプリントに尽くしてくれているチームメイトたちを失望させたくなかった。ツール・ド・フランスを終えた時点で、とてもコンディションが良かったんだ。少しの休養期間を経て、まだ好調さをキープ出来ている。スピードでは負けない」。レキップ紙に掲載されたファラーのコメントは自信に溢れている。

ボーネンらを下したタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)が優勝ボーネンらを下したタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)が優勝 photo:Cor Vos初日のプロローグでトップから僅か0.23秒遅れの2位に入ったファラー。アメリカが生んだこの次世代スプリンターが好調なのは明らかだ。ファラーはボーナスタイム10秒を獲得し、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)からリーダージャージを奪い取った。

スプリント中、集団10番手付近ではコルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)とバーデン・クック(オーストラリア、ヴァカンソレイユ)の接触に伴う激しい落車が発生し、クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)やセバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグテレコム)らがこれに巻き込まれた。

リーダージャージを獲得したタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)リーダージャージを獲得したタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン) photo:Cor Vos落車の最大の被害者はホリック・ハルディン(ベルギー、サイレンス・ロット)。ハルディンは何とか立ち上がってゴールラインを切ったが、肋骨骨折の診断を受けている。

また、レース中盤に落車したルイス・パサモンテス(スペイン、ケースデパーニュ)とウィム・ストロティンガ(オランダ、ミルラム)は途中リタイア。パサモンテスは脳しんとう、ストロティンガは鎖骨骨折を負った。

翌第2ステージはオウデ・クワレモントやクルイスベルク、ミュール・カペルミュールなど、ロンド・ファン・フラーンデレンでお馴染みの急坂が合計10カ所登場する。ワンディクラシックさながらの激しいバトルが繰り広げられるだろう。



エネコ・ツアー2009第1ステージ結果
1位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)4h18'40"
2位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア・HTC)
4位 グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)
5位 ロベルト・フェルスター(ドイツ、ミルラム)
6位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、フランセーズデジュー)
7位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
8位 ロイ・センチェンス(ベルギー、サイレンス・ロット)
9位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、ラボバンク)
10位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
147位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)

個人総合成績
1位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)4h23'26"
2位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)+04"
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+09"
4位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア・HTC)+10"
5位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+11"
6位 ヨースト・ポストゥーマ(オランダ、ラボバンク)
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+13"
8位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)
9位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ラボバンク)+14"
10位 ニコラス・マース(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
107位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+33"

ポイント賞
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)

チーム総合成績
ラボバンク

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