イタリアの名門ブランド、カレラ。プロロードレース界に登場してから常に革新的な自転車を投入してきた。今回テストするのは2014年ロードモデルでセカンドグレードに位置する「エラクルTS」。アルミモデルからの系譜を受け継ぐフルカーボンバイクの性能を2名のライダーが明らかにする。



カレラ エラクルTSカレラ エラクルTS (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
イタリアのロンバルディア州に本拠地を置く、1989年に創業されたポディウム社のバイクブランドがカレラだ。創業者の中でも中心人物であるダビデ・ボイファヴァ氏はエディ・メルクスやフェリーチェ・ジモンディなど伝説的な選手たちと共にヨーロッパのロードレース全盛期を支え、引退後はカレラやLPRなどのチームマネージャーとしてロードレースと深く関係を続けてきた。

革新的なシステムやデザインを次々とプロレースに投入し続けることで、その性能を洗練させてきたカレラ。なかでも、1995年のツール・ド・フランス第10ステージ、難関山岳ラルプ・デュエズの頂上ゴールをマルコ・パンターニによって制したことは、レーシングブランドとしての不動の地位をカレラにもたらした。

バイク名のTSはトラディショナル・シートポストの略バイク名のTSはトラディショナル・シートポストの略 ストッピングパワーを支えるフロントフォークストッピングパワーを支えるフロントフォーク ペダリングパワーを受け止めるためボリューム感があるBB周りとされたペダリングパワーを受け止めるためボリューム感があるBB周りとされた


カーボン素材が自転車業界にも取り入れられはじめた1997年。カレラは世界に先駆けてカーボンをリアバックに配したアルミフレームを開発するなど、常に時代の一歩先を行くバイク造りを行ってきた。2001年にはフルカーボンバイクを登場させたり、近年では曲線を多用したアグレッシブなフォルムの「フィブラ」を発表したりと、その独創性は色褪せていない。

その独創的なバイク造りは今もなお続いている一方で、伝統的なフォルムを持つバイクもラインナップされている。今回のテスト車両である「エラクルTS」は、イタリアの名選手パオロ・ベッティーニも駆っていたカレラの名作アルミバイク「ハーキュレス」の流れを汲むモデルだ。2010年にフルカーボン化を果たしたハーキュレスは、商標の問題で翌年に「エラクル」と名称変更された。そのエラクルのテクノロジーを受け継ぎ、マイナーチェンジが施されているのが「エラクルTS」だ。

上ワン1-1/8、下ワン1.5インチの上下異径ヘッドチューブ上ワン1-1/8、下ワン1.5インチの上下異径ヘッドチューブ

ケーブル類のフレーム内装は機械式と電子式の両対応ケーブル類のフレーム内装は機械式と電子式の両対応 大胆な造形のダウンチューブ大胆な造形のダウンチューブ


従来のエラクルは翼断面形状のインテグラルシートポストを採用していたが、エラクルTSではモデル名のTS(traditional sheatpost)の通りノーマルタイプへと変更され、利便性を高めている。また、使用されているカーボン素材T-700SCとHM50T、HS40、HS60 T 1Kという4種類はそのままに、成形方法を変更することで、軽量化を果たしている。

中央部の膨らみが特徴的なダウンチューブや、逆三角形のトップチューブなど、ボリュームにあふれる前三角の造形は、コンピュータによる応力解析がもたらしたもの。ダウンチューブのユニークな形状はペダリングパワーを受け止める剛性と路面からの振動をいなす快適性を備えていることを物語る。

メンテナンス性を考慮しBBはBSA規格を採用しているメンテナンス性を考慮しBBはBSA規格を採用している エンドに向かうに連れて細くなるチェーンステーエンドに向かうに連れて細くなるチェーンステー


近年主流となっている上ワン1-1/8、下ワン1.5インチという大口径の上下異径ヘッドチューブを採用。60HM1Kカーボンが使用され、高い強度と剛性を持つフォークによって、よりしっかりとしたフロント周りの剛性を獲得している。ハンドリングやブレーキングなど走行性能に直結するフロント周りの強化はさすがカレラと言えよう。

ボトムブラケットハンガーは独自の規格が多く出てきているなかでBSA規格を採用。トラディショナルだが、トラブルが起こりづらい堅実な規格だ。革新的なバイク作りを行ってきたカレラらしく、伝統的な規格を採用する一方で、ケーブルは内装処理されるとともに、電動コンポーネントに対応するなど流行の規格も取り入れている。

チューブを湾曲させることで快適性の向上を図ったリアバックチューブを湾曲させることで快適性の向上を図ったリアバック 振動吸収を担うモノシートステー振動吸収を担うモノシートステー フロントディレイラーの動作を最適化するためえぐられたシートチューブフロントディレイラーの動作を最適化するためえぐられたシートチューブ


今回テストするバイクはコンポーネントに「カンパニョーロ スーパーレコードEPS」が搭載され、ホイールは「カンパニョーロ ボーラ ウルトラ」をアッセンブルする。生粋のレーシングブランドであるカレラの伝統を受け継ぐこのバイクを、2人のテストライダーはどう評価するのだろうか。それではインプレッションに移ろう。



ーインプレッション

「どの速度域でもペダリングパワーを無駄にせず加速する」鈴木雅彦(サイクルショップDADDY)

プライベートでもほぼ同じ仕様のバイクに乗っているため、性能については熟知しているつもりだったのですが、「エラクルTS」は他ブランドのハイエンドバイクに劣らないほどの走行性能を備えたバイクだという認識を新たにしました。ボリュームがあるBB付近はペダリングパワーを受け止める高い剛性を持つ一方、シートチューブに寄るにつれて細くなるトップチューブは、しなりが生まれるような柔らかさに調整されています。

BB付近でダイレクトに力を受け止めながら、トップチューブのしなりで力を溜め、ワンテンポ置いてから放出するような加速の仕方をしますね。そのため、普段よりも1枚重いギアを選択しても踏みきれてしまう懐の深さを持っています。ダンシング時にはそのしなりをはっきりと感じることができます。

「どの速度域でもペダリングパワーを無駄にせず加速するバイク」鈴木雅彦(サイクルショップDADDY)「どの速度域でもペダリングパワーを無駄にせず加速するバイク」鈴木雅彦(サイクルショップDADDY) また、剛性バランスが非常に優れているため、ペダリングパワーをムダにしない高いエネルギー伝達性を実現したフレームとなっています。乗り始めの元気なときはもちろんのこと、疲れてパワーが出なくなった時でも、少ないペダリングパワーを跳ね返さずに推進力に変えてくれる優しさがあります。

加速に関してはゼロ発進、中速域、高速域といういずれの速度域からでもペダルの掛かりが良く、スピードが伸びていきます。特に40km/hからの加速が良く、トップスピードに到達するまでが速いです。ツール・ド・おきなわのようにゴール前で牽制が入るようなレースでは心強い武器となるでしょう。また、高速域から更にスピードをあげようとした時でも、しっかりとパワーをかけることができるため、加速に関しての守備範囲が非常に広いです。

登りに関しては、全体の剛性が高いため反応良く進んでくれます。タイプで言うなれば、インナーギアでケイデンスを上げて登るライダーに向いています。高いケイデンスを維持しても、自転車が反発して挙動が乱れないため、急勾配もこなせると思います。

フロントフォークの剛性が高いため、スピードの出る下りのコーナーにおいても安心して曲がることができます。また、9000系デュラエースのような制動力の高いブレーキキャリパーでも、フォークが負けることなくしっかりとブレーキが効いてくれます。横方向への剛性も高いため、狙ったラインをトレースできるハンドリング性能の高さも備えています。

サイズの違いによる走行性能の変化に関しては、ジオメトリの違いが大きく影響していると感じます。小さいサイズになるにつれてヘッドチューブの角度が寝ていくため、ダンシングなどの動きが緩慢になっていきます。反対に、大きいサイズのバイクではダンシングの軽快感が強くなるでしょう。ハンドルが高くて近いセッティングも市民権を得てきているので、このバイクは大きめのサイズを選んでみるといいでしょう。

また、コストパフォーマンスが非常に優れているのは大きな特長です。自分の好みに合わせたパーツチョイスに応えてくれるだけの高い基本性能をもっているので、高級なパーツの性能を生かしきることができます。オールマイティな味付けが好みであればカンパニョーロ ボーラONEなど、癖の無いカーボンディープホイールをアッセンブルするとよいでしょう。コンポーネントはシマノ アルテグラで組めば実業団レースでも十分通用するでしょう。

どの速度域でも発揮される優れた加速性能や、トップスピードにのったシーンでのかかりの良さ、卓越したハンドリング性能とブレーキングフィール。レースでの勝利を求める、シリアスなサイクリストに応えてくれるピュアレーシングフレームです。


「トップスピードに乗るまでの加速感が優れている」二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)

私が監督をつとめる東京ヴェントスのチームバイクであるのですが、私は所有していません。なるしまフレンド時代からスタッフ仲間が乗っていたためおなじみのバイク。しかししっかり乗るのは初めてでした。

フレームのボリューム感が高いため、一見して「高剛性バイクかな?」と思いましたが、実際は剛性と柔軟性を兼ね備えた意外性のあるバイクでした。特にトップスピードに乗るまでのパワーの掛かりが優れていますね。

優れた加速性能は、特にBB周りの剛性の高さと合わせてチェーンステーのしなやかさに起因するものだと感じます。スプリントのようにダッシュを掛けた時でも安定して路面に追従するため、トラクションが抜けません。ダイレクトなレスポンスこそありませんが、ペダルを踏んだら踏んだ分だけ加速していき、そのスピードが伸びていく感覚に気持ち良さがありました。巡航性能に関しても何ら不満が無く、高速域でも小気味良くスピードが乗ってくれますね。

「トップスピードに乗るまでの加速感が優れるバイク」二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)「トップスピードに乗るまでの加速感が優れるバイク」二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)
ペダリングの傾向としては、ケイデンスのペースを一定に保ちながら、じっくりとパワーを掛けていくやり方が良いでしょう。レスポンスを重視したハイケイデンスでは、パワーを少しロスしている感覚がありました。

スムーズな走りであるため、ダウンヒルでも安心して走行できますね。フロント周りの高剛性と余分な力をいなすシートチューブとシートステー、トップチューブの集合部が効いています。狙ったラインをトレースすることができ、コーナーに対して車体が粘るフィーリングですね。それゆえリアの振動吸収性能は高く、フレームがしなることで安定感を高めていると感じました。

ヘッドチューブが長いジオメトリーであるため、ハンドルとシートの落差を出したいライダーではポジション出しに苦労しそう。無理をして下向きステムをアッセンブルするとハンドリングがシビアになるでしょう。ここが唯一の難点でしょうか。一方アップライトポジションで乗りたい方でしたら、コラムスペーサーを高く積まずに済むため、ルックスも崩れずグッドポイントです。

フレームの素性が良く、性能が高いため、コンポーネントもアルテグラのような中級グレード以上の製品がしっくりきます。ニュートラルな乗り味ですから、ホイールはロープロファイルからディープリムまで何でもフィットするでしょう。ややマイルドなテイストですから、レース派ライダーには軽くて高剛性のホイールを組み合わせることをお勧めします。

エラクルTSの走行性能はトップレベルのレースでも通用します。クリテリウムからロードレースまで幅広く対応できるオールラウンドフレームとして、私が監督を勤める東京ヴェントスにおいても選手たちの評価が高いです。供給される選手たちは特に加速感に優れる点を気に入っているようです。

ほどよい価格設定、左右非対称の存在感があるデザインなど、走行性能以外でもこのフレームを選ぶ理由はたくさんあるでしょう。フレームデザインで選ぶとすれば、アッセンブルするパーツにも存在感があるものを選びたいですね。走る、曲がる、止まるといった、フレームとしての基本的な性能に優れているため、レースで結果を求めるライダーにおススメのバイクです。

カレラ エラクルTS 反対側からカラーを見る。各チューブごとに半分づつ2色のカラーで塗り分けられるカレラ エラクルTS 反対側からカラーを見る。各チューブごとに半分づつ2色のカラーで塗り分けられる photo:MakotoAYANO/cyclowired.jp
カレラ エラクルTS
カラー:RED/WHITE、SILVER CHROME ANTHRACITE、CARBON ORANGE、MATT CARBON BLACK
付属品:専用エアロシートポスト
サイズ:XS、S、M、L、XL
素材:T-700SC/HM50T/HS40/HS60 T 1K
フォーク:TK1カーボン60HM 1-1/8”-1.5”
価格:250,000円(税抜)



インプレライダーのプロフィール

鈴木雅彦(サイクルショップDADDY)鈴木雅彦(サイクルショップDADDY) 鈴木雅彦(サイクルショップDADDY)

岐阜県瑞浪市にあるロードバイク専門プロショップ「サイクルショップDADDY」店主。20年間の競輪選手として経験、機材やフィッティングに対するこだわりから特に実装派ライダーからの定評が高い。現在も積極的にレースに参加しツール・ド・おきなわ市民50kmで2007、09、10年と3度の優勝を誇る一方で、グランフォンド東濃の実行委員長を努めるなどサイクルスポーツの普及活動にも力を入れている。

CWレコメンドショップ
サイクルショップDADDY


二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos) 二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)
高校時代から自転車競技を始め、卒業後は日本鋪道レーシングチーム(現 TEAM NIPPO)に5年間所属しツール・ド・北海道などで活躍。引退後は13年間なるしまフレンドに勤務し、現在は東京都立川市を拠点とする地域密着型ロードレースチーム「東京ヴェントス」を率いる。同時に立川市に「Punto Ventos」をオープンし、最新の解析機材や動画を用いて、初心者からシリアスレーサーまで幅広い層を対象としたスキルアップのためのカウンセリングを行っている。

東京ヴェントス
Punto Ventos


ウェア協力:アソス

text:Gakuto.Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
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