ヨーロッパを代表する工業立国ドイツにおいて最大級の規模を誇るスポーツバイクブランドがフォーカスだ。今回はレーシングモデルIZALCOと双璧をなすCAYO EVのミドルグレード「3.0 CP」をインプレッションする。



フォーカス CAYO EV 3.0 CPフォーカス CAYO EV 3.0 CP (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
チームミルラム、カチューシャ、AG2Rとここ数年は連続してUCIワールドツアーチームにバイクを供給し、ドイツはもとよりヨーロッパを代表するスポーツバイクブランドに成長したフォーカス。世界トップクラスのレースを走るバイクの中には長い歴史を持つブランドが多い中、創業から20年あまりで名だたるメーカーと肩を並べるようになった。

その躍進の原動力は、情熱、成果、完璧という3つのファクターからなる「German Engineered」というフィロソフィーにある。工業立国ドイツらしく最先端のテクノロジーを貪欲にとり入れ、プロライダーによるテストを繰り返し、厳しい品質管理を経てフォーカスのバイクは世に送り出されて行くのだ。

トップチューブの中心部は細く絞られているトップチューブの中心部は細く絞られている 下1.25インチのテーパードヘッド下1.25インチのテーパードヘッド 振動吸収を狙い先細りさせたフロントフォーク振動吸収を狙い先細りさせたフロントフォーク


今回インプレッションを行うCAYO EVはロングライド向けモデルに位置づけられ、AG2Rが使用するレーシングモデルのIZALCOとはラインナップの双璧をなすモデルだ。しかしながら「快適性を高めることで結果的に速く走れる」という他社のコンフォートモデルとは異なり、レースにも対応する走行性能を持ちあわせている。そのポテンシャルは、フレッド・ロドリゲス(ジェリーベリー)による2013アメリカチャンピオン獲得を始め数々の戦績によって示されている。

昨今のコンフォートモデルの中ではおとなしいルックスのバイクではあるが、実際に目の前にするとチューブ断面の形状や面積を巧みに変化させることで、剛性を保ちつつも快適性を高める工夫をしていることがわかる。中でも目を引くのが、独自のLIQUID SHAPE FORCEFLOW DESIGNを取り入れたトップチューブだ。両端を幅広くした一方で中央を細くし衝撃吸収性を高め、カムテール状の断面形状とすることで空力性能を向上させている。

ボリュームがあるフロント周りは高剛性を実現したボリュームがあるフロント周りは高剛性を実現した 内装ワイヤーの取り回しは綺麗にまとめられている内装ワイヤーの取り回しは綺麗にまとめられている

プレスフィット式のBB30を採用プレスフィット式のBB30を採用 ペダリングパワーを受け止めるチェーンステーペダリングパワーを受け止めるチェーンステー


同様にリアトライアングルも快適性に大きく貢献している。シートステーは扁平断面としてゆるやかにベンドさせつつ、モノステータイプのシートチューブ付け根付近を拡幅させることでねじれ剛性を維持。チェーンステーはエンド付近を扁平とし急激に屈折させることで横方向の剛性を維持しつつ、縦方向のショック吸収性を高めている。また、エンド付近の屈折によって悪路走行時のチェーンとシートステーの干渉を防止し、破損の可能性を低減した。

一方でダウンチューブとヘッドチューブ、BB周りはライダーが入力したパワーを逃さないために、ボリュームのある造形とされている。BBはシェル幅が広く取れるPF30規格とされ、そこから伸びるダウンチューブはトップチューブと同じく半円状のカムテール断面ながら、対照的に大口径とすることで剛性を高めている。

カーボンドロップアウトを採用し軽量化を実現カーボンドロップアウトを採用し軽量化を実現 シートチューブに近づくにつれて絞られているトップチューブシートチューブに近づくにつれて絞られているトップチューブ


ヘッドチューブはBB周り同様にマッシブな印象で、下側が1.25インチのテーパー形状とすることでブレーキング性能やハンドリング性能を高めている。組み合わせられるフロントフォークは素材こそ異なるものの、上位モデルと同様のデザインを持つ。緩やかにベンドし、先端をピンヒールのように細くすることで振動を積極的に吸収してくれる。

そしてドイツブランドらしく、細部の造りも抜かりない。各チューブの断面積をフレームサイズごとに変更することで、体型や体重に合った剛性を実現。前後ともにエンドは高い技術力が必要とされるカーボンドロップアウトとして軽量化を図ると共に、アルミドロップアウトに対して優れた剛性と安定性、衝撃吸収性を達成している。ケーブル類は全て内蔵され、スッキリとした見た目を得るとともに、空気抵抗の低減を図っている。

ねじれ剛性を確保するためモノステーとなったシートステーねじれ剛性を確保するためモノステーとなったシートステー BB付近はボリュームを増しているBB付近はボリュームを増している 剛性を向上させる大口径ダウンチューブ剛性を向上させる大口径ダウンチューブ


バイクの乗り味を大きく左右するジオメトリーはレースに対応した寸法となっている。素材や造形によって快適性や安定性を高めた一方、IZALCOに対してわずかにシート角とヘッド角が寝かされ、ホイールベースがやや延長された程度。ヘッドチューブやリアセンターに至っては、ほぼ同じ値である。

今回インプレッションするCAYO EV 3.0 CPはプロユースのフルカーボンフレームに11SのシマノULTEGRAという組み合わせで276,00円としたコストパフォーマンスの高いバイク。ホイールにはフルクラムWH-CEX7.0、をアッセンブルし、ハンドルやサドルなどのパーツをCONCEPTで統一している。それでは早速インプレッションに移ろう。。



ーインプレッション

「グランフォンドやロングライドをゆっくり楽しめるバイク」鈴木雅彦(サイクルショップDADDY)

このバイクは乗り心地が非常に良いバイクです。フレーム形状を一見して受けた印象通りにフレームの前三角形がとてもしなり、振動などをカットしてくれるなどバイクの性能に寄与していると感じました。速さを追求するというよりは、グランフォンドなどのゆっくりとした時間を楽しめるでしょう。

「グランフォンドやロングライドをゆっくり楽しめるバイク」鈴木雅彦(サイクルショップDADDY)「グランフォンドやロングライドをゆっくり楽しめるバイク」鈴木雅彦(サイクルショップDADDY) バイクの加速の仕方は大きいギアを踏み込んだ時にワンテンポ置いてから反応して加速します。アウターギアを多用する人や、ゆっくりとしたケイデンスをするライダーに向いていると思います。短い距離のダッシュにおいてはフレームが反応してグングンと加速してくれます。一方で、軽いギアでのダッシュではフレームにパワーが吸収されているという印象を抱きました。

平地巡航に関しては、大きいギアを掛けている時や一定のペースでペダリングをした時に安定して前進していきます。高い速度域になった時も不安定さが前面に出てくることがない安心感がありますね。この性能はサイクリングなどを目的とする一般的なライダーには最適でしょう。

登りの場面でも、平地と同じように一定ペースでトルクをかけ続けるペダリングが最もよく進んでくれました。急斜面というよりは緩やかな勾配の長い坂に向いていると思います。軽いギアを選択してケイデンスを上げてペースをあげようとしたら、体が弾んでしまい思うようにバイクを進められませんでした。

コーナリングに関してはフレームの柔らかさが活きていますね。外ペダルに荷重を乗せた時にBBがしなってバイクが路面に押し付けられることでグリップしています。フロントフォークは剛性バランスが整えられており、硬すぎて跳ねたり柔らかくてたわみすぎたりせずに路面に追従してくれ、狙ったコースラインを外さず曲がれます。下りの場面においてもブレーキング性能と相まり、安心感を感じました。

完成車にアッセンブルされているFSAのクランクなど各パーツは、しなるフレームとの相性がいいです。カスタマイズを施すのであれば、全てのパーツをシマノの純正パーツに変えてみたいですね。乗り味や走り方の印象が変わってくるでしょう。ホイールはレーシングゼロなどの軽量アルミホイールを履かせることで、フレームの柔らかさが補われて登坂しやすくなると思います。タイヤは25cなどをチョイスしてのんびり乗ってみたいです。

コストパフォーマンスに関しては、アルミバイクから乗り換えるにはちょうどいい価格帯ですね。初心者が1台目として選択しても問題なく乗れますが、いざレースに出ようと思った時に物足りなさを感じてしまうかもしれないので、最初からグランフォンドやツーリング系と使用用途をはっきりと絞っていると良いでしょう。

このバイクは初心者から中級者まで幅広く乗ることができるでしょう。エンデューロなどをマイペースで完走を狙うバイクです。レースでは勝ちを狙いに行くとしたら物足りなさがあると思います。バイクの特性上、グランフォンドやロングライドに目的を絞っていて、ロードサイクリングを長い時間かけてじっくり楽しみたい方にオススメです。


「軽快な走行感がロングライドを可能にするコンフォートバイク」二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)

乗り味と走行感のバランスが非常に良いため、気持ちよく走れました。レース志向の方から中級の方まで幅広いライダーが楽しく乗れると感じたバイクでした。コンセプトがロングライドに行けるコンフォートということでしたが、一般的なコンフォートバイクのような振動吸収に優れるマイルドな乗り味ということはなく、キレがあるシャープな走行感が気持ち良い、そのコンセプトをしっかり実現しているバイクであると思います。

フレームのトップチューブの細さに関しては、一見したところ「細く柔らかいだろう」という印象以上に硬く作られています。フロント周りとBB周りの高い剛性の設計とのバランスがとれていて、硬さと柔らかさの両方の乗り味を両立させたシャープな走り方をするバイクに仕上がっていると感じました。

「軽快な走行感がロングライドを可能にするコンフォートバイク」二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)「軽快な走行感がロングライドを可能にするコンフォートバイク」二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)
登りの場面では踏み出しが軽いため、テンポ良くケイデンスを維持するペダリングをした時に気持ちよく走ることができます。トルクを掛けるペダリングをした時は、ダイレクトな反応こそ見せませんが踏んだパワーの分だけ加速していく反応があります。一方で、ハイパワーをかけ続けるライダーには物足りなさを感じさせてしまうかもしれませんね。平地ではドロップを持って踏み込んだ時にレスポンスが良く加速してくれます。スピードが乗るまでの加速感が気持ちいいです。

ハンドリング性能に関してはステアリングを切った時のレスポンスに優れていることに加えて、狙ったラインをトレースできるニュートラルステアです。ハイエンドモデルと比べてダウングレードされたフロントフォークを備えながらも、下りのコーナリングで柔らかさが出てきてしまうことがなく、安心してコーナーに入ることができますね。ハンドリングの軽快感もバイク全体の軽快感に寄与しているのでしょう。

ロングライドはもちろん、ホビーから実業団まで幅広いレベルのレースでバイクの性能を引き出せます。平地、登り、下りというどのような場面でも活用できるので、このバイクがライダーのタイプにマッチしていたり、バイクが求める走り方をした時はプロレースでも通用できると思います。

これからレースを始めようとするライダーに向けては価格設定も適切なもので、完成車のレースバイクとしてはコストパフォーマンスに優れています。特に、アッセンブルされているホイールのFULCRUM WH-CEX 7.0は信頼性が高く、様々な場面でも使えます。レースの出場を考えていて、そのレースがヒルクライムならばシマノC24のような軽量ホイールで、平地系であれば30~40mmハイトのホイールを履かせたほうが、このバイクの特性にマッチすると思います。

ある程度の期間乗ってからパーツを変えるとしたら、安定性を重視している幅の広いハンドルから換えていきたいですね。レースを目的として乗るのであれば、ハンドル幅を狭めて反応性やエアロダイナミクスを向上させたいです。さらに、様々なパーツでカスタマイズする余地があるので、軽量性やシフトフィーリングの軽さを追求する楽しみもあります。

パーツを好みの物に変更するなど楽しみがあり、上位カテゴリのレースでも十分なフレーム性能を備えているので長い期間にわたって乗ることができます。これからレースを始めようとする方はもちろん、既にレースにでていて上位カテゴリにいる人にもおススメのバイクです。

フォーカス CAYO EV 3.0 CPフォーカス CAYO EV 3.0 CP (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
フォーカス CAYO EV 3.0 CP
カラー:CARBON/GREEN
フレーム:CAYO EV カーボン PF30
フォーク:FOCUS CRF カーボン T4
サイズ:48、51、54、57
価格:276,000円(税抜)



インプレライダーのプロフィール

鈴木雅彦(サイクルショップDADDY)鈴木雅彦(サイクルショップDADDY) 鈴木雅彦(サイクルショップDADDY)

岐阜県瑞浪市にあるロードバイク専門プロショップ「サイクルショップDADDY」店主。20年間の競輪選手として経験、機材やフィッティングに対するこだわりから特に実装派ライダーからの定評が高い。現在も積極的にレースに参加しツール・ド・おきなわ市民50kmで2007、09、10年と3度の優勝を誇る一方で、グランフォンド東濃の実行委員長を努めるなどサイクルスポーツの普及活動にも力を入れている。

CWレコメンドショップ
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二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos) 二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)
高校時代から自転車競技を始め、卒業後は日本鋪道レーシングチーム(現 TEAM NIPPO)に5年間所属しツール・ド・北海道などで活躍。引退後は13年間なるしまフレンドに勤務し、現在は東京都立川市を拠点とする地域密着型ロードレースチーム「東京ヴェントス」を率いる。同時に立川市に「Punto Ventos」をオープンし、最新の解析機材や動画を用いて、初心者からシリアスレーサーまで幅広い層を対象としたスキルアップのためのカウンセリングを行っている。

東京ヴェントス
Punto Ventos


ウェア協力:アソス

text:Yuya.Yamamoto, Gakuto.Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
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カテゴリー: Book
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