自身の誕生日を、豪快なスプリント勝利で祝ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)は、「番手を落としたが、諦める訳にはいかなかった。誕生日に勝利できるなんて、特別な気分だよ」と語る。リードアウト役を務めたフィーラースや、別府・新城両選手などのコメント紹介する。



マルセル・キッテル(ドイツ)と、発射台役を務めたトム・フィーラース(オランダ)

「ステージ優勝をするためにジロに参加して、第2ステージの勝利で少しプレッシャーから解放されていた。でも今日は簡単(なスプリント)では無かったし、とても際どかった。ゴールまでの2kmは道幅がとても狭かったから、集団の前方に位置取らなければいけないことは分かっていた。でも挟み込まれてしまい、トム(フィーラース)の番手から離れてしまったんだ。30番手あたりまでポジションを下げてしまった。でも『諦めるわけにはいかない』と言い聞かせた。

「諦める訳にはいかない、と言い聞かせて全力でダッシュした」(キッテル)「諦める訳にはいかない、と言い聞かせて全力でダッシュした」(キッテル) photo:Kei Tsuji
チームメイトを称えるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)チームメイトを称えるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Cor.Vos残り300〜400mの時点でまだポジションを下げたままだったので、いつもよりかなり長めのスプリントに出た。最終コーナーを曲がってゴールラインが見えて、持てる力のすべてを尽くしてダッシュをかけた。とても際どいタイミングだったけれど、集中して、一人一人抜いていったんだ。スプリントというよりもアタックだった。エネルギーを使い切ったので、フィニッシュ後に倒れ込んでしまったぐらいだ。

慣れた手つきでシャンパンを開けるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)慣れた手つきでシャンパンを開けるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Kei Tsuji自分の誕生日に勝利できるなんてとても特別な気分だし、今日僕のために働いてくれたチームメイトに感謝しなければならないね。次なるターゲットステージまでは日があるから、落ち着いて過ごすことができると思う。」

また、「フィニッシュがどうだったかはよく見えなかったけれど、凄いこと(勝った選手の場内実況など)が聞こえたよ。ホテルに戻ってビデオを何度も見返したいと思う。」とは、リードアウト役を担ったトム・フィーラース。

「個人的に、今日は昨日と比べてとても調子が良かった。残り1kmまではスプリントの準備がとても上手くいっていたよ。その後でマルセルが僕の後ろから離れてしまったけれど、コーナーが続く難しいレイアウトだったから、対応策はほとんど無かった。普通だったらあの位置から復帰して勝つなんてとても難しい。でもマルセルは持ち前のパワーで、不可能なことなんて無いと証明してみせたね。」

ステージ3位に入ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)

ステージ3位に入ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)ステージ3位に入ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール) photo:Cor.Vosチームメイト達も僕も、今日はベストを尽くした。でもキッテルを向こうに回してはもうお手上げだった、最終盤は本当にテクニカルなコースレイアウトだったけれど、キャノンデールは完璧に主導権を握っていた。皆は僕をパーフェクトな形でゴールまで連れて行ってくれたんだ。スプリントは僕と(ベン)スウィフトとの一騎打ちになると思っていたけれど、横からキッテルが抜いていくのが見えた。

マリアローザを守ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)マリアローザを守ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji僕のパフォーマンスが良いのは自分でも把握している。キッテルを倒すにはトライ&トライしか無い。彼はとても強いけれど、僕だってとても調子が良い。今日僕は最前線でスプリントできることを証明できた。全てのスプリント勝負でチャンスを掴みにいく。

スプリントに絡み、マリアローザを守ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

観客が詰めかけたコースを逃げるマーティン・チャリンギ(オランダ、ベルキン)ら観客が詰めかけたコースを逃げるマーティン・チャリンギ(オランダ、ベルキン)ら photo:Kei Tsujiクレイジーな一日だった。あちこちで落車が起こっていて、僕も含めて何人かのチームメイトが落車の巻き添えを食ってしまった。レース中盤の道路がとても狭く、それがクラッシュを引き起こしたんだ。ちょうど僕はその後ろにいたせいで転んでしまったけれど、ちょっとケガをしただけで済んだ。幸運なことに、ジャージは守ることができた。スプリントで上位に絡むことはできなかったけれど、チームとしてのミッションはコンプリートできたね。

逃げに乗ったバルト・ドックス(ベルギー、ロット・ベリソル)

チームが今日、僕に逃げに乗れるかと聞いてきたから、それに応えたんだ。先頭を走るのはとても気分が良いものだよ。僕が逃げることでチームメイトは全員がリラックスして走ることができるし、僕はナーバスな集団内にいなくて良いのだから。

今日は調子の良さを感じていたよ。シーズン序盤のドワーズドアでクラッシュしてから、まだ10回目のレースだったんだ。レースの勘は徐々に取り戻しているし、それが僕を強くする。次の僕のタスクは、リーダーである(マキシム)モンフォールの手助けをして、彼を楽に走らせてあげることだ。

談笑しながら走る別府史之(トレックファクトリーレーシング)と新城幸也(ユーロップカー)談笑しながら走る別府史之(トレックファクトリーレーシング)と新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsuji
落車を回避してゴールした新城幸也(ユーロップカー)

「まずは無事にゴールできてよかった。そう思うくらい、落車があった。今日はゴール前にトニーのアシストもできたし、とにかく早く太陽の日差しが降り注ぐ下で走りたいね。イタリアは天気が良いらしいから、楽しみ。」

ステージ30位でゴールした別府史之(トレックファクトリーレーシング)

「ケルトミュージックに包まれスタートした。今日は落車が多くナーバスで緊張感が続いた。終盤はコースがテクニカルだったので、さらに落車の危険が多くあったため、総合狙いのキセロフスキーがタイムを失わないようにしサポートして、スプリントのアシストには加わらなかった。結果、ゴールでタイム差がつき、11秒の時間を稼ぐことができた。」

各コメントはチーム公式ウェブサイト、新城幸也のコメントはTeamユキヤ通信より。

text:So.Isobe
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