ジロ・デ・イタリア第2ステージはベルファストを発着する219km。気温10〜15度の雨の中、選手たちは美しいアイルランドの海岸線を駆け抜けた。最終ゴールスプリントでマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)がジロのステージ初優勝を飾った。



第2ステージはタイタニック博物館前をスタート第2ステージはタイタニック博物館前をスタート photo:Kei Tsuji


マリアローザを着て登場したスヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)マリアローザを着て登場したスヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji第2ステージのスタート地点はベルファストのタイタニック博物館で、フィニッシュ地点はドネガル広場。つまり第1ステージのチームTTとスタート&フィニッシュが共通だ。

雨の中を逃げるサンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ベリソル)ら雨の中を逃げるサンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ベリソル)ら photo:Kei Tsujiベルファストを発って内陸の幹線道路を北上し、ユネスコ世界遺産に登録されているコーズウェー海岸に沿って南下。途中2つの4級山岳を越えてベルファストに戻ってくる。

オリカ・グリーンエッジがメイン集団を牽引するオリカ・グリーンエッジがメイン集団を牽引する photo:Kei Tsujiマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)着用のチャンスがあるだけに、正式なスタートが切られると同時にアタック合戦が始まる。3km地点で、アンドレア・フェーディ(イタリア、ネーリソットリ)、サンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ベリソル)、マーティン・チャリンギ(オランダ、ベルキン)、ジェフリー・ロメロ(コロンビア、コロンビア)の4人が雨のエスケープを開始した。

この日はスタートからフィニッシュまでほぼ全行程が冷たい雨に降られた。レインジャケットを着込んだプロトンがコーズウェー海岸を駆け抜けていく。

逃げグループのタイム差は最大7分20秒まで広がったものの、オリカ・グリーンエッジがリーダーチームとしてメイン集団の先頭に立って状況をコントロール。レース後半にかけてキャノンデールやオメガファーマ・クイックステップ、チームスカイ、ジャイアント・シマノが集団牽引に合流したため、逃げのリードを抑え込まれた。

心配された海風はそこまで吹かなかったが、完全にウェットな路面が落車を誘発。ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)をはじめ、多くの選手が濡れたアスファルトに叩き付けられた。

リードが徐々に削り取られる中、4級山岳で力を見せたのはチャリンギ。ゴール勝負さながらのスプリントでチャリンギが2つの4級山岳を先頭通過し、マリアアッズーラ着用のチャンスを掴むことに成功する。そのチャリンギが残り9kmから独走に持ち込んだものの、平坦で直線的なコースで大集団を振り切ることは出来ない。20〜30秒ほどのリードでチャリンギが抵抗し続けたものの、残り4kmを切って全ての逃げは吸収された。



観客たちに見守られながら、コーズウェー海岸を行く観客たちに見守られながら、コーズウェー海岸を行く photo:Kei Tsujiオリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団オリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団 photo:Kei Tsuji
最大7分30秒リードで逃げる先頭の4名最大7分30秒リードで逃げる先頭の4名 photo:Kei Tsuji


残り9kmを切ってからアタックするマーティン・チャリンギ(オランダ、ベルキン)残り9kmを切ってからアタックするマーティン・チャリンギ(オランダ、ベルキン) photo:Kei Tsujiスプリンターチームがバトルを繰り広げながら、雨雲に包まれたベルファストへ。残り3kmを切ってから別府史之(トレックファクトリーレーシング)が渾身の表情でメイン集団を牽引する。

先頭のマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が伸びる先頭のマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が伸びる photo:Kei Tsujiジャイアント・シマノやFDJ.frが競り合いながら残り1km。オリカ・グリーンエッジを先頭に残り300mの左90度コーナーを抜け、スプリンターたちが腰を上げてペダルに力を込める。ラインを見つけて後方から仕掛けたマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)のスプリントが伸びた。

ブアニやニッツォロを振り切ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ブアニやニッツォロを振り切ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Kei Tsuji別ラインからナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を抜き去ったキッテルが、何度もフィニッシュラインの位置を確認しながらもがききった。ポツリポツリと雨粒を落とす空の下、キッテルのガッツポーズが決まった。

ジロ初勝利を飾ったキッテルは「今日は何度かチームメイトから離れてしまって、何とか最終コーナーを抜けたところで前に上がることが出来た。ずっと雨が降り続いたステージの最後に、こうしてチームメイトたちの働きに応えて勝利したことを誇りに思う。最初の平坦ステージで勝利してジロを良いカタチでスタートさせるのがチームの目標だったんだ」と振り返る。キッテルはこれでグランツール全てでステージ優勝を達成したことになる。

翌日の5月11日に26歳の誕生日を迎えるキッテルは「明日もプレッシャーを感じることなく勝利を目指すよ」と、余計な気負いはない。

この日はステージ21位以下で集団が割れて3秒差がついたため、ステージ8位のマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がチームメイトのスヴェイン・タフト(カナダ)からマリアローザを譲り受けた。第2ステージを終えてマシューズが3秒差で総合首位に。マシューズはマリアビアンカも同時に手にしている。

総合エースとスプリンターの位置取りに力を使った別府史之と新城幸也(ユーロップカー)は、それぞれの役割をこなし、ステージ45位と49位。トレックファクトリーレーシングのニッツォロがステージ3位に入っている。



豪快にシャンパンを開けるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)豪快にシャンパンを開けるマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Kei Tsuji


ジロ・デ・イタリア2014第1ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)
5位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
7位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
8位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
45位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
49位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
5h13'12"










+03"


マリアローザ 個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)
3位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 スヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)
6位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ピーター・セリー(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
5h37'54"
+03"




+08"




マリアロッサ ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

マリアアッズーラ 山岳賞
マーティン・チャリンギ(オランダ、ベルキン)

マリアビアンカ ヤングライダー賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
オリカ・グリーンエッジ


text&photo:Kei Tsuji in Belfast, Northern Ireland

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