日本が誇る自転車パーツメーカー「シマノ」より、ハイエンドモデルのデュラエースの名前を冠した軽量カーボンチューブラーホイール、「WH-9000-C24-TU」が登場した。目標重量で前後セット1100gというシマノ史上最軽量のロードホイールセットのインプレッションを行った。



シマノ WH-9000-C24-TUシマノ WH-9000-C24-TU (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
2013年のツール・ド・フランスでは参加した22チーム中6チームが選択するなど、トップチームからの信頼度が非常に高いデュラエースホイール。リムハイト別にC75(75mm)、C50(50mm)、C35(35mm)、C24(24mm)と4種類が展開されていおり、どのような状況にも対応できるラインナップが揃っている。その中でリムハイトが24mmと低いC24は最軽量で、踏み出しの軽さや加速力に長けるといった特徴から、特に山岳レースで愛用されてきた。

メンテナンス性を向上させるための外出しニップルメンテナンス性を向上させるための外出しニップル スポークホール周辺は補強されているスポークホール周辺は補強されている


今回、インプレッションを行った「シマノ WH-9000-C24-TU」は、2014年にデビューした24mmハイトの最新モデル。9000系デュラエースホイールがデビューした当初はラインナップに存在せず、販売が待ち望まれていたモデルだ。2013年のツール・ド・フランスではクリス・フルームが山岳でこれを使用し、総合優勝を手にしている。

シマノ WH-9000-C24-TUでは左右のテンションバランスを図る2:1スポークシステムが採用されており、軽量ホイールに見受けられる力抜けを解決する高い安定性や横の剛性を確保。ニップルが外出しになっていることで、メンテナンス性を向上させている。フランジはワイド形状となっており、スポーク長を短くし剛性強化を図っている。一方で旧モデルと比較し大幅な肉抜きが行われているため、シマノ史上最軽量となる、前後セット1,151gという重量を実現した。

軽量化と剛性強化を果たしたエクストラワイドフランジ軽量化と剛性強化を果たしたエクストラワイドフランジ 優れた強度を持つ軽量チタン製フリーハブボディ優れた強度を持つ軽量チタン製フリーハブボディ

ハブに輝く「DURA-ACE」ロゴハブに輝く「DURA-ACE」ロゴ エアロを意識したクイックリリースレバーエアロを意識したクイックリリースレバー


軽量ホイールではあるものの空力性能にも重点が置かれており、スポークやクイックリリースはエアロを意識した形状に。スポークはフロント20H、リア21H。ベアリングはデュラエース伝統のカップ&コーン式だ。アルミリムのCL(クリンチャー)とTL(チューブレス)がラインナップされていた9000系「C24」シリーズに登場した、期待のフルカーボンのチューブラーホイール、WH-9000-C24-TU。インプレッションに移ろう。



ーインプレッション

「ヒルクライム向けの軽量ホイールをブルベで使用したら面白い」
 鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)


「ヒルクライム向けの軽量ホイールをブルベで使用したら面白い」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和  スズキ)「ヒルクライム向けの軽量ホイールをブルベで使用したら面白い」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和 スズキ) C24を試乗してみて始めに感じたことは「軽い」です。重量スペックがシマノ最軽量ということもありますが、実際に乗ったフィーリングとして重量がどう感じるかという点に注目して乗ってみました。乗り込んだ後もやはり、同じようなフィーリングを感じましたね。

ホイールの軽量さは漕ぎ出しの良さで感じましたね。その性能はC35やC50といった他のリムハイトホイールより群を抜いていて、特にゼロ発進をした時の軽快さはギア1枚分軽いというイメージでした。漕ぎ出しの軽さの反面、剛性比やエアロ性能の面で、ある速度域へ達するとスピードの伸びが弱くなってきます。

今回はC35も同時に試乗させて頂きましたが、やはり、漕ぎ出しはC24がより軽快感がありスムーズに加速していきました。リムハイトが長いとスポークが短くなるため、力を入れて漕いだ時にホイールのよれ感がなくなるので、30km/hからのスピードの伸びはC35に軍配が上がりますね。

そのため、C24が活かせる場面は漕ぎ出しが何回も起こるゼロから淡々と登るヒルクライムでしょう。持ち前の漕ぎ出しの軽さは、100mでアドバンテージが起こり、距離を長くしていくほどそのアドバンテージは大きくなってくると思います。一方、登り返しのような勢いで行ける登りや3~4%の登りでは、C35のほうが得意だと思います。

それに加えて、一般道路を走っていく関係上でおこるストップアンドゴーや横風の影響を考えた時、ブルベなどでの使用も面白いと思います。ヒルクライム一辺倒ではなく、遊び心を入れた活かし方があってもいいと思います。

C35との対比C35との対比 2:1スポークシステム2:1スポークシステム シマノ WH-9000-C24-TUシマノ WH-9000-C24-TU このホイールが活かせるペダリングに関しては、どのようなペダリングの仕方でもパワー入力に対して反応をしてくれました。特に、立ち漕ぎへの移行がスムーズに行えるので、気持よく乗れましたね。この面でも、ヒルクライム性能に優れていると言えるかもしれません。

しかし、力強いペダリングに対してはリムハイトが低くスポークが長くよれが出てしまうので、どうしても伸びが弱くなってしまいます。コンスタントなペダリングならば、中速域でも対応できますが、エアロ性能が欲しいところですね。下りはC24の剛性不足は感じませんが、バイクを振った時の収まり方はより剛性があるC35のほうによさがあります。

軽量ホイールに見受けられ、よく言われるひらひら感や危うさというものは感じませんでしたね。2:1スポークシステムを採用していることで適切なスポークテンションを確保しており、リムがしっかりと作られているので、そのような問題は気にしなくてもいいですね。

ブレーキングに関してはアルミと違った感覚なので、しっかりと慣れる必要がありますね。ただ、制動力は強いですが、雨の日は弱くなってしまうので注意が必要ですね。ブレーキシューを当てた時のフィーリングはアルミリムよりシビアで、レバーをグッと握った時は反応良く効いてくれます。

数多くあるローハイトリムホイールの中では剛性が高く完成度が高いですね。タイヤの組み合わせは軽さを活かしたいところですが、耐久性との兼ね合いで選ぶと良いでしょう。特にしなやかさを持ち路面抵抗を減らすようなタイヤを装着した時はよりスムーズになると思いますね。

シマノ デュラエースを冠したC24チューブラーホイールは登りで明らかな違いを味わうことのできるホイールです。ヒルクライムが好きでタイムを求める方や、ストップアンドゴーが多いブルベ的な乗り方をする人は足残りが良く、おススメの1本ですね。


シマノ WH-9000-C24-TU
リムハイト:24mm
リム幅:20.8mm
ハブボディ:チタン製
スポーク:バテッドアルミニウム、F20H、R21H
平均重量:483g(フロント)、668g(リア)、1,151g(前後セット)
価 格:106,332円(フロント)、124,618円(リア)(税抜)



インプレライダーのプロフィール

鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ) 鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)

スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役を務める。過去には大手自転車ショップで修行を積んだ後、独立し現在の北浦和に店を構える。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。ショップでは個人のポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考えている。「買ってもらった方に自転車を続けてもらう」ことをモットーに魅力あるバイクライフを提案する日々を送っている。

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ウェア協力:レリック

text:Gakuto.Fujiwara
photo:Makoto.AYANO
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