アンカーラボと呼ばれる独自の研究施設を持ち、長年にわたって蓄積された科学的解析データを基に開発を行うブリヂストンサイクルのスポーツサイクルブランド「アンカー」。アンカーのMTBラインナップの中でも「日本での山遊びの原点に回帰する」というコンセプトのもとに開発されたバイクが今回インプレッションを行う「XG6」だ。



アンカー XG6 ELITEアンカー XG6 ELITE (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
依然として海外ブランドが幅をきかせる日本のスポーツバイクマーケットの中でも、安定して多くのライダーの支持を集める国内総合バイクブランドがアンカーだ。その人気の源泉は「ライダーを知ること」。アンカーのR&Dセンターである「アンカーラボ」では、数多くのライダーのペダリングスキルやポジションといったデータを計測・数値化し、バイクの開発に活かしている。

また製品開発ライダーのインプレッションも経験則や感覚に頼るのではなく、科学的解析により数値化し、バイク設計へとフィードバックする。そのように膨大なデータとリサーチをベースに自転車を開発するアンカーが、世界的トレンドである650BのMTBを製品化した。

XCワールドカップに投入するライダーは増えて以降、世界中のMTBシーンに急速に広まった650Bホイール。アンカーはこの規格をXCレーシングモデルに加え、欧米と比較して狭い道が連なる日本の山々に適していると考えトレイルライドモデルにも投入。その結果誕生したのが「XG6」だ。

泥など様々な状況に対応するワイヤー内蔵式のフレーム設計泥など様々な状況に対応するワイヤー内蔵式のフレーム設計 下側1.5インチのテーパードヘッドチューブ下側1.5インチのテーパードヘッドチューブ 今やMTB界の主流となりつつある27.5インチホイール今やMTB界の主流となりつつある27.5インチホイール


ここ数年の流行であった29インチのハードテールでは、バイクの取り回しにくさや重量により、加速はもとよりMTBの醍醐味である縦横の動きの軽快さを損ねてしまうのも事実であった。そこでXG6は、29インチが持つ大径ホイールの転がりの良さと、縦横に軽い動きのできる26インチホイールの両者の特徴を兼ね備えた650Bサイズをチョイスすることでトレイルで求められる様々な性能を追求している。

フレームを構成する各チューブには、役割に応じた設計がなされている。ハンドリングに影響する前三角を構成するダウンチューブは角型に、トップチューブは横方向に扁平した楕円形状に成型され、横方向へのねじれを極力排除し、安定感のある操作性に寄与している。シートステーとチェーンステーからなるバックセクションはU字型に一体成型され、そこに142×12mmのEスルーアクスルを組み合わせることで剛性を向上し、腰砕け感のないリア三角に仕上げられている。

サドルはセライタリア X1がアッセンブルされているサドルはセライタリア X1がアッセンブルされている トップチューブは楕円形状でダウンチューブは台形状の設計トップチューブは楕円形状でダウンチューブは台形状の設計

シートステーにはブリッジが設けられているシートステーにはブリッジが設けられている ストローク量140mmのロックショックスのサスペンションストローク量140mmのロックショックスのサスペンション


新たに開発されたXG6のジオメトリーは従来のXCバイクのジオメトリーをベースにヘッドチューブ長を伸ばしアップライトなポジションを可能にすると共に、ヘッドアングルを70.5度まで寝かせロングホイールベース化によって安定感を高めている。ハンガー下がりは地面とのクリアランスの確保とこぎ出しの軽さを得るために、XCレースモデルより5mmほど上げている。

また下りでの性能を向上させるために、フォークトラベルを従来のアルミハードテールで標準だった100mmから140mmへと増大させている。サスペンションのロングトラベル化によってポジションがアップライトになりすぎると、下りでハンドルを押さえ込むことが難しくなるが、650Bホイールの採用はロングトラベルと適切なライディングポジションの両立を可能とした。さらに、下側1.5インチのテーパーコラムと15mmのスルーアクスルを搭載することで、フロント部の剛性を向上させ、より下りでの安定感を向上させている。

15mmスルーアクスルとディスクブレーキはMTBの基本装備15mmスルーアクスルとディスクブレーキはMTBの基本装備 ハードな状況でも安心感があるシマノ BB70を採用しているハードな状況でも安心感があるシマノ BB70を採用している


多様化するライドスタイルに応じて、チェーンリングにデバイスを組み合わせるためのISCG05台座も標準装備。フロントシングルギアのパーツアッセンブルにも対応している。ブレーキラインやシフトケーブルは全て内装処理がなされており、すっきりとしたシルエットに仕上がるだろう。取り付けに手間は掛かってしまうワイヤー内装化だが、露出したワイヤは障害物に引っかけたり濡れたりとメンテナンスの頻度が上がるため、長い目で見た時のライダーのメンテナンス性が考慮されている。

さらにパーツアッセンブルも、650Bの性能を最大に生かせるようにギア比を最適化した40×30×20Tのクランクセットを装備。タイヤはエアボリュームの大きな2.25"サイズがチョイスされ、十分なクッション性とグリップ力を得ており、トレイル初心者にも扱いやすいバイクとなっている。

一体成型されたU字型のリアバック一体成型されたU字型のリアバック 内蔵されたワイヤーはBB周辺部から外へ誘導されている内蔵されたワイヤーはBB周辺部から外へ誘導されている カラーリングは2色のレーシングカラーと33色のシングルカラーから選択可能カラーリングは2色のレーシングカラーと33色のシングルカラーから選択可能


140mmトラベルのフロントフォークがもたらす下り性能と、フロントトリプルチェーンリングや650Bホイールによる優れた走破性を兼ね備え、1台でさまざまなトレイルを楽しめる「XG6 ELITE」。日本の里山を楽しむことにフォーカスした純日本製MTBのインプレッションをお届けしよう。



ーインプレッション

「パーツアッセンブリを考えたり、ゆるく乗るのが楽しいプレイバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

見た目の重量感とは裏腹なとても軽い走行感が特徴的な楽しいバイクというのが第一印象です。非常に軽快とまでは行かないですが、よく進んでくれるバイクで楽しく乗れました。コンセプト通りの乗り味に仕上がっており、里山で楽しく遊べる自転車だと思います。

フレームはアルミが持つシャキッとした硬さは感じられなかったものの、別種類の金属の様な柔らかさが目立っていました。特にヘッド周りに柔らかさがあり、コーナーを極限まで攻めるようなアグレッシブな乗り方をした時は剛性不足を感じるかもしれません。コーナリングでハンドルを切るような曲がり方ではリアがばたついてしまうため、バイクを倒してコーナリングしていくほうがいいでしょう。いったん乗り方に慣れてしまえば、その柔らかさは体に優しく感じるかもしれませんね。

「パーツアッセンブリを考えるライダーやゆるく楽しみたいライダー向けのプレイバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)「パーツアッセンブリを考えるライダーやゆるく楽しみたいライダー向けのプレイバイク」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 下側1.5インチのテーパーコラムによってフレームフロント部の剛性を確保していますが、フォークの先端部が柔らかいという印象は受けました。そのため、低速域の登りではサスペンションの挙動がチグハグに感じてしまう時もありそうです。

乗り味に関してはロングトラベルフォークを採用していることもあり脚高な印象を受けたのですが、登りのダンシングでもふらついたりすることはなく安定した乗り味です。サスペンションがフロート式ではなくコンプレッションを段階的に調整できるので、調整を覚えれば好みにあった乗り味を出すことができます。

ジオメトリーによって細かいところの癖が出ていることはなかったですね。アンカーらしくBBハイトで味付けをしているとのことでしたが、全体的によく仕上げられていると思います。

最近の風潮として、アルミがセカンドグレード、サードグレードのマテリアルではなく、アルミにはアルミの良さがあると再認識されているので、もっとアルミらしさを演出してもよかったでしょう。

完成車には2.25インチ幅と太めのタイヤがチョイスされていて、タイヤクリアランスが足りないと感じる方もいると思いますが、日本の風土に根ざしたというコンセプトに沿うコースを走るときはこのタイヤで問題は無いと思います。街乗りや軽い芝の上などを走るのであれば、細めのタイヤをチョイスしてもいいかもしれませんね。特に、ケンダのスモールロック8などはマッチするはずです。

パッケージとして28万円という価格設定はトレイルをゆっくりのんびり走りたいと目的がはっきりしている人にはお買い得だと思います。フルサスペンションではオーバースペック、一方で26インチのハードテールでは少し不安で650Bタイヤのクッション性が必要なコース、というニッチなところを狙って開発されているのではないでしょうか。

そのため、このバイクの遊び方を理解しているライダーや適切なセッティングが出来るショップなどにとっては、懐の深いバイクといえるでしょう。フレーム単体販売もあるため、オリジナルなセッティング、パーツを組み上げていくという楽しみもあります。一方で、全くの初心者の方にとっては遊び方をはっきりさせてないと全ての魅力を引きだしきれないかもしれません。逆説的ですが、初心者にとっては山の遊び方をひとつひとつ知っていくこともできるバイクです。

山の中を楽しむというユニークなコンセプトを作ったという意味合いが強いバイクだと思います。スピードを競うというよりは、山の中に連れて行ってくれるという位置づけで、フィットネスプラスアルファを楽しむためのモデルと考えたほうがいいかもしれません。

既にMTBを楽しんでいる方、これからMTBを楽しもうとしている方、どちらにとっても、コストパフォーマンスが良く感じられるプレイバイクでしょう。日本の風土に合うようにバイク製作をしてきた歴史を持つアンカーの信頼性を感じられる、山遊び用の自転車としてオススメの1台です。

アンカー XG6 ELITEアンカー XG6 ELITE (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
アンカー XG6 ELITE
サイズ:390-440-490mm
フレーム:SQ-SHAPE Aluminium 650B インテグラルヘッド スーパーオーバーサイズ 上1-1/8 下1-1/2
フォーク:ROCKSHOX SEKTOR GOLD RL ストローク量140mm ロックアウト スーパーオーバーサイズ 15mmスルーアクスル
コンポーネント:シマノ XT
クランクセット:シマノ XT 40-30-22T
ホイール:シマノ XT WH-M785
価 格:266,667円(税抜)



インプレライダーのプロフィール

戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。

ショップHP

ウェア協力:レリック

text:Gakuto.Fujiwara
photo:Makoto.AYANO

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