フランスのプロツアーチームであるFDJ.frと強力なパートナーシップを結び、アングリル峠に登るブエルタ2013の最難関ステージを制した、ラピエールのフラッグシップモデルが「Xelius EFI Ultimate」。完全新設計のフロントフォークはこのフレンチバイクにどれほどの進化をもたらしたのか、その性能を紐解いていく。


ラピエール Xelius EFI Ultimateラピエール Xelius EFI Ultimate (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
フランスはディジョンに本拠地を置き、開発から性能テスト、組み上げまでを一貫して自社ファクトリー内で行うラピエールは、1946年創業の歴史あるブランド。シティサイクルからピュアレーシングモデルまでをラインナップする総合バイクブランドであり、長い歴史で培われた技術を活かした設計とフランスらしさを感じさせるハイセンスなデザインの製品づくりを得意としている。

ラピエールのラインナップにおいて、カーボンロードモデルのオールラウンドレーシングラインに位置づけられるのがゼリウスシリーズ。2013年モデルで大幅なモデルチェンジが行われ、車名には新たに「EFI」と冠することとなった。デビュー戦となった2012年ツール・ド・フランスの第8ステージで劇的な逃げ切り勝利を挙げたティボー・ピノ(フランス)の活躍は記憶に新しいところだろう。

ダイレクトマウントブレーキを装備し、インテグレートされたデザインのフロントフォークダイレクトマウントブレーキを装備し、インテグレートされたデザインのフロントフォーク シートステーはトラディショナルな形状となり、リアブレーキは通常のタイプとされるシートステーはトラディショナルな形状となり、リアブレーキは通常のタイプとされる スピード感を演出するトップチューブのグラフィックスピード感を演出するトップチューブのグラフィック


華々しいデビューを遂げた「EFI」の登場から僅か1年で誕生した新たなるフラッグシップが「EFI Ultimate」だ。そのもっとも大きな変更点は、ダイレクトマウントブレーキに対応する「Ultimate」フォークだ。各アームをフォークに直接ボルトオンする構造のブレーキは、アーチのたわみを抑えることで制動力を向上させている。加えて、フォークブレードにブレーキアーチが近くなったことで乱流の発生を抑え、エアロダイナミクスの向上を実現している。

加えて、ダイレクトマウントブレーキ化による効果を更に高めるべく、完全に新設計されたUltimateフォーク。以前のフォークから台座を変更しただけではなく、ブレーキを取り付けた状態でインテグレート化されたようになる特徴的なデザインのブレードや、より大きくなったブレーキングパワーを受け止めるためにカーボンレイアップを見直すなど、前作とは完全に別物のフォークとなっている。

シフトワイヤーはダウンチューブから内蔵されるシフトワイヤーはダウンチューブから内蔵される 少しくぼみが設けられたトップチューブとシートチューブ接合部にはFDJロゴがペイントされる少しくぼみが設けられたトップチューブとシートチューブ接合部にはFDJロゴがペイントされる

リアシフトワイヤーはチェーンステー上から排出され、理想的なアールを描くリアシフトワイヤーはチェーンステー上から排出され、理想的なアールを描く 内蔵式でありつつも、メンテナンス性にも配慮したBB下のワイヤリング内蔵式でありつつも、メンテナンス性にも配慮したBB下のワイヤリング


新型ゼリウスのメインテーマであり、車名の一部ともなっている「Efficient Frame Interactive」、つまり高剛性と快適性という相反する性能を効率的に作用させあうことを実現するために、さまざまなテクノロジーが駆使されている。カーボンの積層を調整することで、駆動力の伝達を司るフレームのボトムラインを強化すると同時に、シートステーやシートチューブなどの快適性を担う部分はしなやかに設計されている。

下側1-1/4インチのテーパードヘッドチューブから伸びるダウンチューブは、BB86を採用する幅広のハンガー部へと向かうにつれて太く変化していく。チェーンステーはBB86の横幅をフルに活かし、左右の間隔を広く開けて配置され、ライダーの踏力を受けてもねじれを最小限に抑える構造となっている。

ダイレクトマウントブレーキのため、穴がないフォーク裏ダイレクトマウントブレーキのため、穴がないフォーク裏 まるでラグのようなデザインのトップチューブとヘッドチューブの接合部まるでラグのようなデザインのトップチューブとヘッドチューブの接合部


シートステーは路面からの衝撃を吸収するために、弓なりのアーチを描いている。フレキシブルな動きを出すために細いチューブが用いられているが、ブレーキングパワーをしっかりと受け止める強度も確保されている。トップチューブは中央部が絞られる形となって、しなやかさを演出している。ただ、ハンドリングに影響を与えるヘッドチューブ側は1段太くなっており、まるでラグの様な形状となっている事が特徴的だ。

フロントはダイレクトマウントブレーキなのに対し、リアはノーマルブレーキとされているのはメンテナンス性にも気を配った結果。プロチームからのフィードバックを最大限に開発に取り入れているラピエールだからこそ、単純にスペックを追い求めるのではなく、レース現場で重要視される要素をないがしろにしないバイクデザインを行うことができる。わずかな性能の向上と引き換えに、デリケートで気を使うバイクになることをラピエールの開発陣は望んでいないのだろう。

トップチューブから流れるような曲線を描いてリアエンドに伸びるシートステートップチューブから流れるような曲線を描いてリアエンドに伸びるシートステー BB86を採用するハンガー部にはバッテリー台座が設けられるBB86を採用するハンガー部にはバッテリー台座が設けられる 少し後方にベンドするフロントフォーク裏には大きくFDJロゴが配される少し後方にベンドするフロントフォーク裏には大きくFDJロゴが配される


シマノヨーロッパと緊密な関係を築いていることで、ダイレクトマウントブレーキやBB86といった最先端の規格を身にまといつつも、ロードレーサーとしての本質を見失わないフレンチブランド、ラピエール。今回のテストバイクはコンポーネントがワイヤー式デュラエース、ホイールがXentis SQUAD 4.2 DARK MATT クリンチャー、タイヤがヴィットリア ルビノプロスリック23cというアッセンブルだ。それでは早速インプレッションをお届けしよう。



―インプレッション

「どんどん前へ前へとバイクが進んでいく」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)

何といってもフロントのダイレクトマウントブレーキが興味深いトピックスですね。2013モデルからの最も大きな変更点がフロントフォークの変更ですので、ここに興味のある方が多いと思われます。効きとしては、通常のシマノのブレーキよりもよく効きます。怖いくらいに効き、フォークブレードが少しダイブするほどです。上級者がレースなどで使う分には、よりコーナーの奥まで突っ込めるためアドバンテージになるでしょう。

フレーム自体は、グランツールを走っているだけのことはあるなと納得させられるフラッグシップモデルらしい軽快感を持っています。実力のある人が乗ったときに喜ぶような踏みの軽さと、質の高いカーボンを使っているフレーム特有の伸びの良さを感じます。どんどん前へ前へとバイクが進んでくれて、「ダンシングでもっと踏め」とフレームが語りかけてくるため、気持ちよくってつい頑張ってしまう。いい意味でゆっくり走れない自転車ですね。

「どんどん前へ前へとバイクが進んでいく」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)「どんどん前へ前へとバイクが進んでいく」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
ただ、脚に来るツッパリ感のある硬さではなく、踏み込んだ時にフレームの奥、芯のほうでパワーを受け止めるような少ししっとりとした乗り味が印象的です。上りでは、シッティングよりもダンシングでリズミカルに上っていった時により魅力を引き出すことができるバイクでしょう。

下りは、強力な制動力があるため、ブレーキコントロールに気をつければ安心して下ることができます。コーナーリングも、ダイレクトマウントブレーキを装着するために強化されたヘッド回りが高い剛性を発揮するため、アンダーが出るようなことはありません。むしろ、ストレートフォークとあいまって、スパッと気持ちよく切れ込んでいくクイックなハンドリングで、テクニックのある人が乗れば、下りはかなりのアドバンテージになるでしょう。

ただ、フロント周りの剛性が高いためかなり路面の状況をダイレクトに伝えてくる乗り味になっています。リアはBBも含めて少ししなやかになっているため、フロントの硬さがより目立ちます。ダイレクトマウントブレーキが主流になっていくとすれば、ストッピングパワーを受け止める剛性と、衝撃をいなすしなやかさのバランスをどう取っていくのか、ということが各メーカーの腕の見せ所になるでしょう。

ストッピングパワーを活かしつつ、乗り心地を改善するために25c程度の太いタイヤとの相性も良いでしょう。前だけでも太いタイヤを入れることで、グリップとエアボリュームを稼ぎ、性能を底上げすることができると思います。ホイールはルックス的にはディープリムが似合いますが、登り性能の良さを活かすために35mm~40mm程度のミドルハイトのホイールがオールラウンドに活躍できるのではないでしょうか。

価格に対して非常に優れたパフォーマンスを持っていると感じます。競合するブランドのバイクに比べて10万円以上安い価格設定は魅力的ですね。登りが得意ですが、その他の性能も非常に高いレベルでまとまっており、ヒルクライマーはもちろん、上りが得意なオールラウンダーやパンチャーといった脚質のライダーにもぴったりのバイクです。コースでいえば、修善寺などのアップダウンのあるコースに適正があるでしょう。


「レーシングバイクという観点からは満点に近い」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

「レーシングバイクという観点からは満点に近い」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)「レーシングバイクという観点からは満点に近い」戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 世界のトップレベルで活躍するレーシングバイクとして、狙った通りの性能を与えることに成功しているバイクです。軽さ、反応性、剛性の高さといったレーシング性能は非常に高い水準にあり、スポーツバイクとしてはピークに達しているレベルです。

自分の能力をどんどん出させてくれるフレームで、つい踏みすぎてしまうような性格のバイクです。元気なうちはいいのですが、気持ちのよい速度域が高く、知らない間に脚を使ってしまうため、慣れが必要ですね。ペース配分に慣れない初心者が乗ると、前半飛ばし過ぎてしまい、後半にどっと疲れてしまう可能性が高いでしょう。

トップチューブやシートステーなどの形状を見てもわかるように、ある程度振動吸収性に配慮されているのは事実ですが、ロードインフォメーションはかなりダイレクトに身体に伝わってきます。身体が元気で、しっかりと積極的に踏めているときは、その角のとれた伝え方が心地良いのですが、少し気を抜いてゆっくり走っていると、バタつく感覚を覚えます。

コーナーリングもマージンを取ってアウト側から進入しなくとも、インベタで回って行けるような非常に切れ味鋭いクイックなハンドリングです。ダイレクトマウントブレーキによる、非常にダイレクトでガツンと効くブレーキングフィールも含めて、テクニックがある人には魅力的なバイクでしょう。

気持ちよく走ることのできるように想定された速度域が高いため、誰が乗っても乗りやすいというバイクではなく、体力面、テクニック面でも中・上級者が乗ってこそ真価が発揮できるレーシングバイクです。そして、レーシングバイクという観点からは満点に近いバイクでしょう。車で例えるならば、ラリーカーではなくF1のようなバイクですね。

フレームを組み上げるのであれば、最低でもアルテグラ以上のコンポーネントを使用し、ホイールもグレードの高い物を使いたいところです。FDJカラーもあるため、ハンドルなどはPRO製品を使うなどレーサーレプリカのように組み上げるのも良いでしょう。それは車格という側面もありますが、このバイクに乗るのであれば、シリアスなレーサーのような乗り方を目指したいという意気込みを込めたアッセンブルをしたいですね。

ラピエール Xelius EFI Ultimateラピエール Xelius EFI Ultimate (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
ラピエール Xelius EFI Ultimate
サイズ:46、49、52、55
フレーム:NEW EFI CARBON FRAME
フォーク:LP CARBON FORK (ダイレクトマウントブレーキのみ対応)
カラー:FDJ、ブルーイエロー、レッド
重 量:890g(55サイズ)
※ワイヤー式/電動式変速両対応
価 格:299,000円(税抜、フレームセット)



インプレライダーのプロフィール

鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ) 鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)

スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役を務める。過去には大手自転車ショップで修行を積んだ後、独立し現在の北浦和に店を構える。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。ショップでは個人のポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考えている。「買ってもらった方に自転車を続けてもらう」ことをモットーに魅力あるバイクライフを提案する日々を送っている。

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スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ


戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート) 戸津井俊介(OVER-DOバイカーズサポート)

1990年代から2000年代にかけて、日本を代表するマウンテンバイクライダーとして世界を舞台に活躍した経歴を持つ。1999年アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。MTBレースと並行してロードでも活躍しており、2002年の3DAY CYCLE ROAD熊野BR-2 第3ステージ優勝など、数多くの優勝・入賞経験を持つ。現在はOVER-DOバイカーズサポート代表。ショップ経営のかたわら、お客さんとのトレーニングやツーリングなどで飛び回り、忙しい毎日を送っている。09年からは「キャノンデール・ジャパンMTBチーム」のメカニカルディレクターも務める。

OVER-DOバイカーズサポート

ウェア協力:reric

text:Naoki,YASUOKA
photo:Makoto,AYANAO

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