若手育成を目指し、欧州遠征を行なう平均年齢23歳のシマノレーシング

2014/02/25(火) - 13:12

22歳の木村圭佑と18歳の横山航太を迎え、さらに若返ったシマノレーシングは、2014年も引き続きヨーロッパとアジアのUCIレースを視野に入れて活動する。トレーニングキャンプの合間をぬって、大阪府和泉市にあるチームのクラブハウスで野寺監督や選手たちに話を聞いた。

腰を痛めた西村大輝を除く6名でトレーニングを積むシマノレーシング photo:Kei Tsuji

アジアとヨーロッパに積極的に参戦する2014年

選手たちに指示を出す野寺秀徳監督 photo:Kei Tsuji2014年からチームの活動拠点を大阪府和泉市に移したシマノレーシング。南を眺めるとすぐそこには大阪府と和歌山県を分ける葛城山系が佇んでおり、歴代の名選手たちがトレーニングを行なってきた鍋谷峠へのアクセスも良い。

大阪府和泉市に拠点を置いて活動するシマノレーシング photo:Kei Tsuji2014年はツアー・オブ・台湾の出場がなくなったことで、これまでと比べてシーズンインは遅めだ。しかしそれを逆手にとり、2〜3月を乗り込みやベース強化の時期に充てている。2月に和歌山県で1週間のトレーニングキャンプを行ない、3月には2週間におよぶトレーニングキャンプのために沖縄県に飛ぶ。

2014年のチームバイクはジャイアントTCR ADVANCED SL photo:Kei Tsuji「今年はベース作りに重点を置いてます。ウエイトトレーニングなど、自転車に乗ること以外のアプローチも時間を取っています。実際に成果が出ている選手が何人もいるので、シーズン開幕が楽しみですね」と話すのは、クラブハウス近くの自宅から駆けつけた野寺秀徳監督。引き続きチームの采配を振るうのは野寺監督で、アドバイザーの岡島伸平氏やメカニックの大久保修一氏、マッサージャーの鳴島孝至氏らがチームを影で支える。

シーズン初戦は4月1日のツアー・オブ・タイランドが予定されており、その後は国内UCIレースとJプロツアーレース、UCIアジアツアーレースを組み合わせ、シーズン前半の目標に掲げる全日本選手権に調整を合わせていく。

「これまで4月にヨーロッパ遠征を行なっていましたが、ツアー・オブ・ジャパンや全日本選手権の前のタイミングなので体調管理が難しくなる。今年はUCIアジアツアーや全日本選手権で勝てる選手を出し、目に見える形でステップアップしたい。ヨーロッパを走る上で、やはりアジアでしっかり走れることが目安になるんです」と野寺監督。

今年は夏場にかけてヨーロッパ遠征を行ない、フランスやベルギーのUCIレースやケルメスを転戦するという。「出来るだけステージレースを入れて、これまでよりも出場レースを増やしました。そのため、国内レースを走る機会はこれまでと同様に少なめです。Jプロツアーも重視しているのでその点は残念ですが、意欲的に海外レースを走るためのプログラムを組みました」。

シマノレーシング2014年度暫定スケジュール
2月4日〜10日　第一次強化合宿　和歌山県
3月5日〜19日　第二次強化合宿　沖縄県
4月1日〜6日　ツアー・オブ・タイランド（UCI2.2）タイ
4月13日　伊吹山ヒルクライム（JPT第2戦）岐阜県
4月21日〜24日　ツアー・オブ・フィリピン（UCI2.2）フィリピン
5月6日〜10日　ツール・ド・カトゥリスティワ（UCI2.2）インドネシア
5月18日〜25日　ツアー・オブ・ジャパン（UCI2.2）大阪府〜東京都
5月29日〜6月1日　ツール・ド・熊野（UCI2.2）和歌山県／三重県
6月8日〜15日　ツール・ド・コリア（UCI2.2）韓国
6月22日　JBCF西日本ロードクラシック（JPT第9戦）広島県
6月29日　ロード全日本選手権　岩手県
7月11日　GPファンデスタッドヘール（UCI1.2）ベルギー
7月13日　GPデポンアマルク（UCI1.2）フランス
7月17日〜20日　シビウサイクリングツアー（UCI2.1）ルーマニア
7月27日　GPヴィル・ド・ペロンシー（UCI1.2）フランス
7月30日〜8月3日　ツール・アルザス（UCI2.2）フランス
8月12日〜16日　ツール・ド・ラン（UCI2.1）フランス
8月24日　シマノ鈴鹿ロードレース　三重県
8月31日　JBCFRみやだクリテリウム（JPT第13戦）長野県
9月7日　JBCFタイムトライアルチャンピオンシップ（JPT第14戦）栃木県
9月13日〜15日　ツール・ド・北海道（UCI2.2）北海道
9月21日　経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ（JPT第15戦）広島県
9月24日〜28日　ツアー・オブ・ブルネイ（UCI2.2）ブルネイ
9月28日　JBCF南魚沼ロードレース（JPT第16戦）新潟県
10月12日　JBCF輪島ロードレース（JPT第18戦）石川県
10月18日〜19日　ジャパンカップ（UCI1.HC）栃木県
10月26日　知多半島美浜クリテリウム（JPT第19戦）愛知県
11月2日　大分ロードレース（JPT第20戦）大分県
11月3日　大分クリテリウム（JPT第21戦）大分県
11月9日　ツール・ド・おきなわ（UCI1.2）沖縄県

シマノレーシング2014年度メンバー photo:Shimano Racing

平均年齢は23.5歳　引き続き若手の育成に力を入れる

キャプテンとしてチームを率いる畑中勇介 photo:Kei Tsuji今年は京都産業大学の木村圭佑（22歳）と篠ノ井高等学校の横山航太（18歳）が加入。現在高校在籍中の横山が4月1日にチームに合流すると、さらにチームの平均年齢は下がる。それはチームが若手育成に力を入れている証拠だ。

吉田隼人（シマノレーシング） photo:Kei Tsuji「夢を持った若い選手にチャレンジの場を提供したい。もし身体的にその夢が叶わないのであれば、早めにその立ち位置を理解し、違う目標に切り替えることが出来る。大学を出てからプロになる道もあるのですが、世界基準の選手を育てるならば、大学を出てからでは遅すぎるというのが世界的な流れでもあります。シンガポールの注目を集めるダレンも在籍していますし、UCIアジアツアーの参戦レース数も増えています。若い選手に、早い段階でアジアでベースを作り、このチームを足がかりにしてステップアップしてもらいたい。自分の自身の経験として、若いうちにレースの風土に馴染むことが大切」と、野寺監督は自分の経験を交えて話す。

野寺秀徳監督（シマノレーシング） photo:Kei Tsujiそんな若いチームを率いるのは、チーム最年長28歳の畑中勇介だ。畑中はキャプテンとして「言葉にするのが苦手なので、貪欲に勝利を狙う姿を見て若い選手についてきて欲しい。チームの中で切磋琢磨し、全体としてレベルアップしたい」とチームの成長を願う。「去年までと出場レースがかなり変わり、バランスの取れたレーススケジュールになりました。UCIアジアツアーで結果を残し、今まで走りたかったヨーロッパレースで成績を出したい」。

SRMを活用し、パワートレーニングを行なう photo:Kei Tsujiまた、2013年のJプロツアーで海外選手の活躍が目立ったことについて畑中は「海外選手の国内レース参戦には色んな意見がありますが、日本人選手の勝利数が減る中で、スポット参戦のシマノレーシングは昨年Jプロツアー3勝という成績を残せています。レースのレベルアップに繋がるし、個人的には歓迎しています」とも。

シーズンインを待ちきれない様子を見せているのが、2013年ツアー・オブ・台湾でステージ優勝した吉田隼人だ。「今までここまでシーズンインが遅くなることはなかったものの、ベース作りに集中したことで、数字として結果が出ています。原点に戻った感じです。早くレースを走りたい」。

「去年は台湾やタイで調子が良かったのですが、落車が続いてリズムを崩してしまいました。前方でレースを展開している証拠でもあるけど、今までで一番多く落車したシーズンだった。自分の強みは、苦手なところが無く、スプリント力があること。今年は更に一歩前で走りたい。準備はできています」。

ニューデザインの黒いチームジャージを着用し、ジャイアントのTCR ADVANCED SLを駆り、シマノレーシングは2014年シーズンを闘う。

シマノレーシング2014チームメンバー
畑中勇介　28歳
吉田隼人　24歳
入部正太朗　24歳
野中竜馬　24歳　
西村大輝　19歳　
ダレン・ロー　25歳　シンガポール　
木村圭佑　22歳　新加入
横山航太　18歳　新加入（4月1日より）