「コークスクリュー(コルク栓抜き)」という一風変わった名前がつけられたKOM(山岳賞)で、2011年のツール・ド・フランス覇者が飛び出した。オリカ・グリーンエッジやチームスカイの目論みを打ち砕くアタックで、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が首位に立っている。



チームバンの中でシューズを履く新城幸也(ユーロップカー)チームバンの中でシューズを履く新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsuji
エヴァンスのインタビューを見守るポディウムガールのローラン・シャーケさんエヴァンスのインタビューを見守るポディウムガールのローラン・シャーケさん photo:Kei Tsuji山岳賞ジャージを着るアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)山岳賞ジャージを着るアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsuji



逃げるトラヴィス・マイヤー(オーストラリア、ドラパック)やイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)逃げるトラヴィス・マイヤー(オーストラリア、ドラパック)やイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji全長145km。ステージレースとしては短めの、ツアー・ダウンアンダーとしては標準的な距離で行なわれた第3ステージ。昨年初登場した平均勾配9%・登坂距離2.5kmの「コークスクリュー」の登りがゴールの8km手前に位置する。リーダージャージを着るサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が「ある意味、一番危険な一日になるかも知れない」と警戒するステージが、アデレード近郊のノーウッドをスタートした。

内陸部のアデレードヒルズを駆ける内陸部のアデレードヒルズを駆ける photo:Kei Tsujiアタックの口火を切ったのは、オリカ・グリーンエッジからドラパックに移籍したトラヴィス・マイヤー(オーストラリア)。ワイルドカード枠のチームとしての使命感をもって飛び出したマイヤーに、ジェローム・キュザン(フランス、ユーロップカー)とアンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)、そしてイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)が合流する。今大会初めてUniSAオーストラリアは逃げに選手を送り損ねた。

スタッフからサコッシュを受け取るイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)スタッフからサコッシュを受け取るイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiオリカ・グリーンエッジのマイケル・マシューズ(オーストラリア)やマシュー・ゴス(オーストラリア)、ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)による集団コントロールによって、先頭4名のリードが3分以内に抑え込まれた状態でレースは進行。

レース後半に差し掛かると、新城幸也(ユーロップカー)が「調子が良くないので逃げに乗ったみたい。逃げに乗ると自分のペースで走れるから」と証言するキュザンは早めに先頭から脱落。逃げ続けたフォイクトら3名も、KOMコークスクリューに向けて位置取りを繰り広げるプロトンに飲み込まれてしまう。

道幅のあるハイスピードダウンヒルで、チームスカイやオメガファーマ・クイックステップ、BMCレーシングチームが位置取り合戦を繰り広げ、左に折れてコークスクリューの登りがスタート。ステージ優勝と総合優勝を懸けた勝負が始まった。



集団内で勝負どころに控える全日本チャンピオンジャージの新城幸也(ユーロップカー)集団内で勝負どころに控える全日本チャンピオンジャージの新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsujiリーダージャージを着て走るサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)リーダージャージを着て走るサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji
KOMコークスクリューで飛び出したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)KOMコークスクリューで飛び出したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
KOMコークスクリューの登りを進むプロトンKOMコークスクリューの登りを進むプロトン photo:Kei TsujiKOMコークスクリューでライバルたちを振り切ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)KOMコークスクリューでライバルたちを振り切ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji



KOMコークスクリューでライバルたちを振り切ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)KOMコークスクリューでライバルたちを振り切ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji徐々に勾配が増し、コークスクリュー名物のスイッチバックが近づくと、メイン集団の中からカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)がアタック。そこからエヴァンスがダンシングでポートを振り切った。

エヴァンスを追うサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)エヴァンスを追うサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji前年比で少し観客は減ったものの、アデレードから駆けつけたサイクリストに埋まったコークスクリューを独走で駆け上がり、そのまま頂上をクリアしたエヴァンス。遅れたポートにはリーダージャージのサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が追いつく。オーストラリア選手権のトップスリーによる競演。ポートとゲランスはエヴァンスから17秒遅れで頂上をクリアする。

小さくポーズをとってゴールするカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)小さくポーズをとってゴールするカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Mark Gunter100km/h近く出るダウンヒルで独走を続けるエヴァンス。思うように追撃出来ないポートとゲランスにはディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)ら10名が追いつき、合計12名でエヴァンスを追う。しかしエヴァンスは登りで築いたリードを最後まで守り抜いた。

リーダージャージに袖を通したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)リーダージャージに袖を通したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Mark Gunter軽く親指を上げてフィニッシュラインを切ったエヴァンスから15秒遅れで、ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)を先頭に集団がフィニッシュ。総合首位の座はゲランスからエヴァンスに移った。

リーダージャージに袖を通したエヴァンスは「コークスクリューでチャンスを掴めると思っていた。だから出来ることを実行した。登りに向けて最高のポジションをキープして、この勝利を演出してくれたチームに感謝している。オーストラリアのトップレースに戻ってきて勝利するのは最高の気分だ」と、スタート前に強張っていた表情を緩ます。

「でもまだ総合優勝を決めたわけじゃない。この先、ボーナスタイムが重要になってくるから」。エヴァンスからゲランスから12秒、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)から15秒の総合リードを得ている。エヴァンスの言葉通り、まだまだボーナスタイムでひっくり返るタイム差だ。

「ジャージを失ったことは悲しいが、まだ終わったわけじゃない。決して(逆転は)不可能ではない。これからカデル(エヴァンス)に対して全力で攻撃を仕掛ける。それは保証する」。総合2位にダウンしたゲランスは攻撃的なコメントを残す。土曜日のウィランガヒル山頂フィニッシュが総合争いを決定づけるだろう。

「登りの途中で遅れてしまった」と語る新城はトップから1分34秒遅れの39位でフィニッシュ。新城はダウンヒルにおけるオーストラリア人選手たちの攻め方に驚きながら、「UCIワールドツアーで結果を残すためには、リスクを冒して飛び込んでいかないといけない。でも今はまだそこまで飛び込めるコンディションじゃないので、冷静に判断してチャンスを狙いたい」と語る。「総合で2分近く遅れたので、(山頂フィニッシュの)第5ステージで勝利を狙って逃げようかな」と、マッサージを受けながら軽く微笑んだ。



1分34秒遅れでゴールした新城幸也(ユーロップカー)1分34秒遅れでゴールした新城幸也(ユーロップカー) photo:Mark Gunter第3ステージ終了後にマッサージを受ける新城幸也(ユーロップカー)第3ステージ終了後にマッサージを受ける新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsuji

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ツアー・ダウンアンダー2014第3ステージ結果
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)     3h34'06"
2位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)         +15"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)
5位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ロリー・スザーランド(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)
7位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)
8位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)
9位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
39位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                  +1'34"

個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)    10h46'39"
2位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)      +12"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)            +15"
4位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)         +27"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)       +29"
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)         +33"
8位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)
9位 ロリー・スザーランド(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)
10位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)
37位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                   +1'52"

スプリント賞
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)      42pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)            40pts
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)       35pts

山岳賞
1位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)          20pts
2位 ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック)           20pts
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)       16pts

ヤングライダー賞
1位 ケニー・エリッソンド(フランス、FRJ.fr)             10h47'40"
2位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)           +17"
3位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、UniSAオーストラリア)

チーム総合成績
1位 BMCレーシングチーム                        32h21'17""
2位 オリカ・グリーンエッジ                         +43"
3位 ガーミン・シャープ                          +1'45"

text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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