幅広くニッチかつ、非常にコストパフォーマンスの高い製品ラインナップで人気を誇るTNIが、遂に最新トレンドを盛り込んだフルカーボンロードバイク、Podium(ポディウム)を発表した。エアロデザインやシステムインテグレーションを取り入れ、855gというフレーム重量を達成したバイクの性能に迫る。

TNI Podium(写真はロゴを合成した完成車イメージ)TNI Podium(写真はロゴを合成した完成車イメージ)
TNIというブランドに何を思い浮かべるだろう。ホイールやBB、プーリーなどのグレードアップパーツから、オリジナルのフレームやフォーク、ヘッドパーツに、果てはツールやスペーサーなどのアクセサリー類…。とかくニッチ市場をコストパフォーマンスの高い製品で攻めるメーカーというイメージが強いのではないだろうか。

だがフレームに関してはここのところ新製品に恵まれず、チタンからカーボンまでを有しているにも関わらずあまり注目を集めていなかったのが実状だろう。しかし、TNIは2013年のサイクルモードでフレーム重量855gという新型フルカーボンフレームをデビューさせ、来場者からの熱い注目を集めてみせた。それが今回インプレッションを行う「ポディウム」だ。

シートステーの取り付け位置は通常よりも下にあり、リアバックのコンパクト化を助けているシートステーの取り付け位置は通常よりも下にあり、リアバックのコンパクト化を助けている ヘッドチューブはエアロ形状を採用 ケーブルの取り入れ口もルーティングを考えているヘッドチューブはエアロ形状を採用 ケーブルの取り入れ口もルーティングを考えている ボリューム感あるフロントフォーク。エンド部分までフルカーボン製だボリューム感あるフロントフォーク。エンド部分までフルカーボン製だ


ポディウムが目指したのは、剛性、強度、耐久性をバランスよく持ち合わせたレーシングバイク。エアロ形状のダウンチューブやフォークなど、最新トレンドを取り入れたルックスは、これまでのTNIフレームのイメージを大きく覆すものだ。精悍なデザインと革新的なケーブル内蔵デザインには多くの時間が費やされたという。

フレームはセミスローピングスタイルを採用しており、ヘッドチューブとフォーク、ダウンチューブ、シートチューブは翼断面形状の後端をカットしたようなカムテール形状を採用し、高速走行時の巡航性能を高めている。

無骨なフレームデザインは空力を意識したものだ無骨なフレームデザインは空力を意識したものだ ケーブルの取り回しは無理が無いケーブルの取り回しは無理が無い

BB周辺のボリューム感は高く、がっしりとした乗り味に通じているBB周辺のボリューム感は高く、がっしりとした乗り味に通じている カムテールデザインのエアロチューブカムテールデザインのエアロチューブ


また、シートステーとシートチューブの接続位置を下げることでリア三角をコンパクトにし、入力に対するリニアな反応と、極細のシートステーによる振動吸収性能を狙うという現代ロードバイクの要素を詰め込んだ。フロント、リア共にエンドはカーボン製とされており、軽量化に対するこだわりも垣間見える。シートポストはシートチューブと同形状の断面を取り入れた専用品だ。

このポディウムは某北米有名メーカーのOEM生産も請け負う中国の工場で生産されており、長年に渡る高性能モデルの生産で培ったカーボン加工技術が存分に活かされていることが隠されたアピールポイントだ。カーボンはサプライヤーからプリプレグシートを買うのではなく、自社工場でカーボン繊維からシートを生産。これによって注入するレジンの質と量をコントロールし、対衝撃性に優れた高品質素材を使えるメリットがある。

緩いアールを描くシートステーとチェーンステー緩いアールを描くシートステーとチェーンステー リアドロップもフルカーボン製とされているリアドロップもフルカーボン製とされている


ポディウムを成形する金型にはカーボン繊維の「付き」を向上させる特殊なコーティングが施され、フレームの内側、外側共になめらかな仕上がりが特徴だ。実際にテストバイクのシートポストを外して内部を確認しても大きなシワやバリは認められず、高度な成形技術を見てとることができた。

エアロ形状のフロントフォークについても触れておきたい。大きなボリュームを持ちつつも360gと軽量なフォークは、フレームと同様に高度な技術をもって成形されており、下玉押しも含めて100%カーボン製だ。コラム部分にはコストを下げるためファイバーグラスが使われることも一般的だが、ポディウムに関しては高強度カーボンのみを使い、軽いステアリングレスポンスを追い求めている。

コンパクトかつ直線的なリアバックは、フレームしなりを生み出すコンパクトかつ直線的なリアバックは、フレームしなりを生み出す エアロを意識したオリジナル形状のシートポストエアロを意識したオリジナル形状のシートポスト ボトルケージ台座は3つ用意され、ケージの数に合わせて位置を調整できるボトルケージ台座は3つ用意され、ケージの数に合わせて位置を調整できる


高度な成形技術をもって生まれたポディウムは、フレームセット価格は専用シートポストとTNIセラミックBB付属で189,000円(予定)という破格のプライスタグを付けてのデビューが予定されている。学生をはじめとするホビーレーサーには願っても無い朗報であるだろう。

今回のテストバイクは、コンポーネントに6800系アルテグラ、ホイールにエンヴィ1.45を装着したショーモデル。デカールやデザインは仮のものだ。早速インプレッションに移ろう。


ーインプレッション

「レース出場を考えている方に向いている、バランスが良いバイク」新保光起(Sprint)

特に苦手な部分が見当たらないほどにバランス良くできたレーシングバイクですね。どっしりとしたフィーリングがあり、ハンドリングにもその性格が共通しています。

「レース出場を考えている方に向いている、バランスが良いバイク」新保光起(Sprint)「レース出場を考えている方に向いている、バランスが良いバイク」新保光起(Sprint) エアロ系であるフレームはボリュームのあるBB周り、ダウンチューブ、チェーンステーで剛性を稼ぎ、一方で細身のシートステーは振動吸収に貢献しています。このマッチングが良く、適度にバランスがとれているのだと感じました。硬すぎず、柔らか過ぎない剛性感があるため、踏みに対するやや丸みを帯びたレスポンスと、気持ちの良い加速感を味わうことができました。

細いシートステーが生み出す振動吸収性は比較的レーシーな仕上がりで、大きなショックは伝えるものの、細かいストレスとなる振動はカットしてくれます。チェーンステーは重いギアを踏み込んだ時にはしなりが発生し、それが路面を捉えトルクを逃がすことなく前進できますね。

特に、一定のペースで力を加えた際のレスポンスには光るものがありました。ややしなりがあるためハイパワーで踏み切った場合にはしなりがややマイナス方面に出てしまい、瞬発的な加速は苦手かもしれません。ですからヒルクライムシーンではゆるく長い勾配、レースシーンではサーキットエンデューロなど、最後まで足を残したい場合にはもってこいと言えるでしょう。

カーボンドロップアウトの採用でフレーム重量は855gに抑えられていますが、大手ブランドの同レベルの軽量性を持つレーシングバイクと比較するとやや軽快感に薄いですね。ただ価格目線で見た場合には他社バイクと比べて圧倒的と言って良いほどの性能があります。大手ブランドの中級機や、もう一つ上に位置するモデルと性能面では良い勝負でしょう。

ハンドリングに関しては、ニュートラルよりも若干オーバーステア気味。リアの接地感が良く扱いやすいバイクですから、体重移動を意識してコーナーリングをすることで、気持ちよく曲がってくれました。

今回のバイクは長時間のレースで望まれる能力をバランスよく持っています。フレームは電動コンポーネントにも対応できていたり、フレームセットにシートピラーが付属することや、カーボンドロップアウトなど、価格以上の満足感が得られると思います。リーズナブルですから、レースに出たい方にオススメしたいですね。


「様々なシチュエーションにマッチするクセのないバイク」鈴木祐一(Rise Ride)

現在のレーシングバイクに求められる性能をバランス良くこなしており、突出したユニークポイントこそ無いものの、平均レベルが高くハイクラスのレースにも対応できる車体だと感じます。

レースバイクというと高剛性であるイメージですが、このポディウムはそれとは違い、しなやかさによってトラクションを掛けるバイクですね。特にリアバックが積極的にしなることでレース場面で活きる振動吸収と路面追従性の両立が実現できていると感じました。

フレームはレーシングバイクの「入れたパワーだけのレスポンスを返す」という基本に忠実であり、一定パワーでも、ハイパワーを入れても、伝えた力に対してしっかりと応えてくれています。状況に応じたペダリングをすることで、登りや平地巡航などどのような場面にも対応できるでしょう。

「様々なシチュエーションにマッチできるクセのないバイク」鈴木祐一(Rise Ride)「様々なシチュエーションにマッチできるクセのないバイク」鈴木祐一(Rise Ride)
振動吸収に関してはコンフォート系バイクとは全く異なりますが、不必要な突き上げはカットしてくれていますね。通じて荒れた路面で力を入れた際も上手く突き上げを逃がしれくれるので、リアバックが路面に弾かれることなく、路面にべったり張り付くような安定感がありました。

しかし単にソフトなだけではなく、ヘッド周りとフォークは比較的剛性が高く設定されており、それはスプリント時のハンドリングと対ねじれ性能に現れていました。BB周りもしっかりとパワーを受け止めてくれているため、しなやかさと剛性のバランスがとても良いレベルにあると思います。非常に軽く仕上がっていますが、それによる不安感は無く、有名ブランドと比較しても大きな差がないと思えるほどでした。

下りやブレーキングについても有名ブランドのバイクに劣ることは無く、ブレーキングでもフレームが負けることがありません。とても基本に忠実に作っていますね。

とても素直なレーシングバイクですから、逆に何かをサポートするような性格はありません。特徴が無いゆえにスキルを求められるため、レース入門用というよりは既にレースに参加している人向き。組み合わせるホイールは選ばないでしょう。

有名ブランドに劣らないフレーム性能がありますから、このプライスパフォーマンスは抜群ですね。その分で高級ホイールを入れたり、遠征費にしたり。特に学生ライダーには良いチョイスだと思いますよ。

TNI PodiumTNI Podium (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp

TNI Podium
カラー:マットブラック
サイズ:48、51、54、56、58
重 量:フレーム855g(54サイズ)、フォーク360g
価 格:189,000円(予定)


インプレライダーのプロフィール

鈴木祐一(Rise Ride)鈴木祐一(Rise Ride) 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。

サイクルショップ・ライズライド

新保 光起(Sprint)新保 光起(Sprint) 新保 光起(Sprint)

1995年に日本舗道よりプロデビュー。以後スミタラバネロパールイズミから愛三工業レーシングと渡り歩き、2000年ツール・ド・北海道での山岳賞獲得や2002年ジャパンカップで日本人最高位の7位に入るなどオールラウンダーとして活躍する。引退後は関東近郊のプロショップにて修行を積み、今年6月、横浜にプロショップ「Sprint」をオープン。普段はMTBでトレイルライドを楽しむ。

Sprint



ウエア協力:biciビエンメ

text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO

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