2016年に開催されるリオデジャネイロ夏季オリンピックに向けて、日本ナショナルチームジャージデザインが刷新された。新ジャージの最たる特徴は背中に描かれたゼブラ柄のグラフィック。カラー間の温度差によって冷却効果を生むという、最先端デザインを採用した。

新日本ナショナルジャージ発表会に登壇した白戸太朗氏、福島晋一、伊丹健治、小林優香、石井貴子、飯島誠氏新日本ナショナルジャージ発表会に登壇した白戸太朗氏、福島晋一、伊丹健治、小林優香、石井貴子、飯島誠氏 photo:Yuya.Yamamoto
新ジャージの最たる特徴である背面のゼブラ柄のグラフィック新ジャージの最たる特徴である背面のゼブラ柄のグラフィック photo:Yuya.Yamamoto赤いストライプや、肩口と大腿部の細かなドット柄がトレインを組んだ時の一体感を演出する赤いストライプや、肩口と大腿部の細かなドット柄がトレインを組んだ時の一体感を演出する photo:Yuya.Yamamoto


新たな日本ナショナルチームジャージがお披露目されたのは、幕張メッセにて開催されたサイクルモード2013の東京会場。この度リニューアルされた日本ナショナルチームジャージのコンセプトは「ゼブラに学ぶ"知性"と野性的な"強さ"の両面を兼ね備えるデザイン」だ。

シドニーとアテネ、北京の3回のオリンピックをはじめ、数々の国際大会で日の丸を背負って走り、現在は日本代表強化コーチを務める飯島誠氏は「今後オリンピックなどの世界大会で上位を狙う上では、1%でも効率を向上させていくことが絶対条件」と新ジャージ制作の経緯を明かした。

ロード界からは福島晋一(チームNIPPO・デローザ)と伊丹健治(ブリヂストン・アンカー)が登場ロード界からは福島晋一(チームNIPPO・デローザ)と伊丹健治(ブリヂストン・アンカー)が登場 photo:Yuya.Yamamoto新日本代表ジャージはシマウマの柄模様を参考にしており、白と黒の温度差に起因してジャージ表面に発生する対流による冷却効果を狙っている。これは生物の機能や性質を真似る技術・バイオミミクリー(生物模倣)と呼ばれ、サメの肌を応用した競泳用水着など、高機能ウェア開発の最先端をいくものだ。2016年のオリンピック開催地であるリオデジャネイロでは大きなアドバンテージとなるだろう。

9月に女子チームスプリントで日本新記録を樹立した小林優香(左)と石井貴子(右)のコンビ9月に女子チームスプリントで日本新記録を樹立した小林優香(左)と石井貴子(右)のコンビ photo:Yuya.Yamamoto冷却効果が前述した「知性」であるのに対し、上腕から脇腹にかけての赤いストライプや、肩口と大腿部の細かなドット柄は「強さ」を表現したもの。トレインを組んだ時の一体感を演出する狙いだ。

イベントの進行を務めたのは白戸太朗氏と日本代表強化コーチを務める飯島誠氏イベントの進行を務めたのは白戸太朗氏と日本代表強化コーチを務める飯島誠氏 photo:Yuya.Yamamoto製造は従来通りパールイズミが行い、カッティングや生地、パッドなど基本はそのままだが、選手の要望に応じた細かい改良が加えられる予定という。この発表会ではロードとトラック用のみ披露されたが、シクロクロスやマウンテンバイクのオフロード系競技でも同じデザインが採用されるとのことだ。

引退を記念して飯島誠氏から福島晋一へ花束が贈呈された引退を記念して飯島誠氏から福島晋一へ花束が贈呈された photo:Yuya.Yamamoto発表会では、新ジャージのモデルとしてロード男子エリート強化選手から福島晋一(チームNIPPO・デローザ)と伊丹健治(ブリヂストン・アンカー)、そして女子トラックレースからは9月に行われた国体のエキシビジョンレースでチームスプリント日本新記録を樹立した小林優香と石井貴子のコンビが登壇。

新しいジャージについて伊丹は「デザインが改善され、レースの朝に着用した瞬間にやってやろう!と言う気にさせてくれる」とコメント。また、福島はこれまで日本代表として走った経験と指導者としての抱負を踏まえ「日本代表として走ることはやはり特別なこと。更にこのジャージが格好良いと思われるためには、このジャージを着た選手が活躍できる様に強化をしなければならない」と語っている。

福島晋一は当初予定されていた清水都貴(ブリヂストン・アンカー)に代わっての登場であったが、新ジャージに身を包む機会は最初で最後。

時には日本代表のチームメイトとして、時にはライバルとして鎬を削った飯島氏より花束贈呈され「長い間お疲れ様でした。指導者の世界でお待ちしています」との言葉に「精進します」と答えた。シクロワイアードでもお伝えした通り、福島はフランスの名門クラブチーム「ラポム・マルセイユ」に日本オリンピック委員会スポーツ指導者海外研修員として派遣される。

JCF(日本自転車競技連盟)によれば、新ジャージの実戦投入は2014年4月ごろを予定しているとのこと。日本国内での披露は5月開催のツアー・オブ・ジャパンとなる見込みだ。


text&photo:Yuya.Yamamoto


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